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星川哲視(Hossy)の個人サイト Hossy.org は、これまでの起業・経営・卒業など、さまざまな経験からの情報をブログ記事やPodcastなどさまざまな活動を通じてアウトプットするサイトです。

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Episode 18|「ブランドストーリーのリアル|Simplism編」【Part 3】次元、ものづくりへの目覚めと純日本製への挑戦。

【エピソード概要】

Simplism「次元」シリーズ誕生秘話。 自社製品に情熱を傾けるきっかけとなったターニングポイントを語る。

キーパーソンとなる、ある技術者との運命的な出会い。 そして、中国では絶対に真似できないと言われた唯一無二の技術に惚れ込み、コストを度外視してでも「純日本製」にこだわった理由とは。

会社に大きな成功をもたらす一方で、日本国内でのものづくりの難しさも浮き彫りにする。
「次元」Webサイト→ https://jigen.simplism.jp/

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    オープニング

    Hossy

    「リアル経営|企業経営の成功と失敗。等身大で語る台本なき社長のリアル」

    この番組は私、Hossyこと星川哲視が自らの体験をもとに、経営やその舞台裏などをリアルに語っていきます。

    リアル経営は、毎週金曜日朝6時に配信しています。

    Hossy

    おはようございます。自由人のHossyこと、星川哲視です。

    がじろう

    おはようございます。STRKのがじろうです。

    Hossy

    はい。今週もよろしくお願いします。

    がじろう

    よろしくお願いします。

    Hossy

    ちなみに、いつの回だっけ? 結構前の回に、事業譲渡・株式譲渡の話ををしたと思うんですけれども、「NDAがあるから言えません」っていう、金額とかいくつかの部分があったと思うんですよ。一応調べてみました。

    がじろう

    秘密保持の契約のことですね、NDAって。

    Hossy

    3年でした。締結したのがもう1年ちょっと前だから、あと2年ですね。

    がじろう

    あと2年後だったら話してもいいということですね。

    Hossy

    それまでこのリアル経営が、万が一続いていたら話してもいいかなと思っています。

    がじろう

    あと2年続けられるように頑張りますので。

    Hossy

    お楽しみにしててください。

    がじろう

    了解です。楽しみです。

    Hossy

    というわけで、先週まで「ブランドストーリーのリアル」という大きなテーマがあって、その中でSimplismというトリニティでも一番大きな主力ブランドの話をしました。その時は誕生の話とか、その後のコラボや展開の話までしてきたと思います。

    がじろう

    はい。

    Simplismからサブブランドへ

    Hossy

    Simplismっていうブランドの中でも、少し毛色が違うものをサブブランドにしたものがいくつかあるので、今回はそこを紹介したいなと思っています。

    がじろう

    わかりました。

    Hossy

    前回までは、Simplismのブランドの中にある例えばケースの「Turtle」とか、そういう話はしたと思うんですけど、今回はブランド自体をちょっと分けたものとしてのお話になります。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    Simplismの始まりの回でお話ししたと思うんですけれども、実際には自分はそんなにものづくりに何かできることもなかったし、やったこともあんまりなかった。ほんの少しだけプラスを付け加えよう、というのと、「できない」というのを逆手にとって「シンプル」みたいなコンセプトで売り出していったのが、このSimplismの始まりだったんですよ。

    今の僕を知っている人からすると、「ものづくりが何もできなかった時代があったんだ」っていうのはなかなか想像しづらいぐらいの状態だとは思うんですけれども、今という状態と、Simplismが始まった、ものづくりを全然できなかった頃のターニングポイントに、なるかなと思っているサブブランドがありまして、これが「次元」というシリーズなんですね。

    がじろう

    もともと、トリニティの強み、なぜここまで成長できたのかを紐解いていくと、ものづくりをしている人と売っている人が一緒で、販売がすごく強かった、みたいなことがあったじゃないですか。

    Hossy

    はい。

    がじろう

    それで、ものづくりの強みというのが、結構本質的なところのきっかけになったってことなんですね。

    Hossy

    そうですね。前に出てきた現社長の山本洋平は、元々家具などを企画・設計して、営業をして、プロモーションをしてっていうのを彼1人でやっていたんです。むしろものづくりの人間で、それをアウトプットまで全部やっていましたが、僕は逆に売ることだけを考えていて、最初は人が作ったものを売っていたんです。

    売っているうちに、「これ、もしかしてただ人が作ったものを売っているだけだと、市場にちゃんと受け入れられないんじゃないか」と思うことがあって。それで、価格だったりスピード感だったり、製品の仕様だったり、みたいなところを日本の市場にマッチさせるために、ちょっとオリジナルを作り始めました。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    でも、大したことはできなかったという始まりなんですけど、この「次元」というシリーズで、今の僕につながるものづくりとしての面白さとか、これからお話しするいろんな関係者のこだわりとか、そういった部分にすごく面白さを感じて、製品をちゃんとしっかり考えて作ることが、最終的にビジネスとしての売りにもつながっていく、というのを最初に感じたプロジェクトとして「次元」というのがありました。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    「次元」って言ってるんですけど、ルパン三世に「次元大介」っているじゃないですか。若い人は知らないかもしれないけれども、40歳以降の人は「次元」と言ったら次元大介を思い浮かべると思うんですけど、その次元大介と同じ「次元」と書くんですが、このサブブランドの名前は、読み方としては「ジゲ/ン」なんですよ。

    がじろう

    なるほど、一次元、二次元とかそういうことなんですね。

    Hossy

    そうです。これからお話しするのは三次元のものなので、「ジゲ/ン」ということです。結構間違えられがちで、社内ですら「ジ\ゲン」って言っちゃう人も多かったぐらい。

    がじろう

    発音もちょっと違うってことですね。

    Hossy

    「ジ\ゲン」って言ったら大介になっちゃうんで、こっちは「ジゲ/ン」です。

    がじろう

    気を付けます(笑)

    Hossy

    結構、前なんですよ。2011年の11月25日に、このプロジェクトの始まりのきっかけになったことがあって。普通に考えても、もう14年とか前なんで、あんまり覚えてないんですけど。これに関しては、他のことと比べればかなり覚えていますね。

    がじろう

    ふ〜ん。

    キーパーソンとの出会い

    Hossy

    僕はAppleユーザーとして、20歳ぐらいの頃に音楽を始める、というので「音楽といえばMacでしょ」って言ってMacを買って以来のAppleユーザーだったんです。そこで、Appleユーザーが集まる「AUGM(Apple User Group Meeting)」っていうイベントがありまして、一番最初に行ったのは大阪だったかな。トリニティを始める前に参加させてもらって、その後、起業してからもほぼすべてのイベントに参加させてもらっていたんです。

    2011年に大阪で開催された時にも参加していたんですけれども、このApple界隈では知らない人はいない、というぐらいの林信行さんという方がいるんです。

    がじろう

    ノビさん。

    Hossy

    そう。通称「ノビさん」で、元々アスキーとかで記事を書いていて、今でも最前線でIT系もあれば、ファッションやデザイン、アートとかの分野にも活動を広げて色々とやられている方がいて、結構仲良くさせてもらっていたんですが、その方が「面白い人がいるから、ちょっと会わせたい」って言ってくれて、大阪のお好み焼き屋で会ったのが今回の「次元」というシリーズのキーパーソンなんです。

    その人と出会わなければ、この「次元」というシリーズはなかったんですけれども、当時、今はまた別の会社(を起業)になっているんですが、「ケイズデザインラボ」という会社の原雄二さんという人に、ノビさんの紹介で出会いました。さっきも言ったように、僕はSimplismという自分の立ち上げたブランドがあったけれど、本当に大したことはしていなかったんです。

    少ししか工夫していなかったし、製品を作る技術の根底まで自分ではあんまり理解していなくて、「こういうことをやりたい」っていうのを中国の工場にやってもらっていたので、本質的には分かっていなかったんですね。

    がじろう

    うん。

    D3テクスチャー技術

    Hossy

    なんですけれども、原さんは元々、3D、三次元表面加工の「テクスチャー」という、デジタル技術をオリジナルで開発されている方だったんです。何が面白いかというと、想像してもらうとわかるんですが、プラスチックとか、僕らが作っていたシリコンなどのケースって、基本的には工業製品的な表面。

    がじろう

    ツルツルとか、そういうものですね。

    Hossy

    そう、ツルツルとか。

    がじろう

    そういうことですね。

    Hossy

    直線的で真っ平ら、みたいなものが大半です。最近だとペットボトルとかでもう少し凹凸が付いていたり、一時期、「氷結」っていうお酒は缶に凸凹が付いていたのがあったと思うんですけど、そういう形で少し工夫するものもありつつ、一般的には透明ケースであれば直線的で、多少曲面があっても真っ平ら、というようなものが多かったと思うんですけれども、この「次元」というシリーズをやり始める時の原さんの技術っていうのは、プラスチックでありながら、表面加工とデジタル技術によって、革とかそういった実際の有機物にかなり近いような造形を作り出すことができる、というのが「D3テクスチャー」という、この原さんが持っていた技術なんです。

    がじろう

    なるほど。

    Hossy

    Simplismを始めて数年経って、展開も広がってきて、それなりに売れてきて。Simplismの回でちょっと言いましたけど、最初はプレイヤーも少なかったので、競争もあまり激しくなかったっていうのもあって、そんなにすごく差別化されていない製品でもなんとかやってきていたんですけれども、僕自身として、これからより競争が激しくなっていく中で、我々のアイデンティティというか、「じゃあSimplismの製品はこういう特徴があるからね」っていう、差別化された製品は作れていなかったので、何か新しいことをしなければいけないと思っていた矢先に、この原さんにD3テクスチャーというのを教わって。

    この人も本当に簡単な言葉でいうと、やっぱり情熱の人で。さっきのノビさん(林さん)もめちゃくちゃ早口で、マシンガンのようにトークしてくるんですけど、原さんはそこにさらに熱を乗せて話してくるタイプで。

    がじろう

    はははっ。

    Hossy

    何かやっぱり新しい、まだこれからの技術ですけど。その金型技術って、プラスチックなどを作るのって、「金型」と言って、鯛焼き屋さんの鯛焼きを焼いている金属の部分と同じじゃないですか? あれって完全にアナログなんですよ。だけど、作るのはデジタル技術で作ろうという、デジタルとアナログの融合があって。原さんが常にプロモーションで持っているサンプルがあって、それが革のような質感を持ったプラスチックの成形品だったんです。

    本物の革って、やっぱり同じ表面がないんですよ。生き物だから、少しずつ位置がずれてくると、多少の毛穴や血管の筋、皮膚の表面の見え方が本物は全然違うんですよ。普通、プラスチックで若干それを模したものっていうのもあったんだけど、見た目でも全然違うねっていうものだったんですけど、このテクスチャーは本当にすごいなと感じました。

    がじろう

    へぇ。

    Hossy

    この原さんの話もすごいと思ったし、実際のサンプルも本当にすごくて。たとえば、革って縫ったりするじゃないですか、くっつけるために。接着剤で付けるっていうのもありますけど、普通の革製品って結構端っこを縫っていきますよね。縫うと引っ張られるんですよ。糸に引っ張られるところで、革がぐっと一部だけ引っ張られる、みたいな。

    そういったのも含めて、プラスチックの成形品なのにそれが実現できているというのがすごいなと思っていたんです。それまでは台湾や中国で製品を作っていたんですけれども、そういった驚きがあって、技術的にも素晴らしくて。原さん曰く、「モノを見たら模倣できるのが基本的にはあるけれども、これはモノを見たとしても中国では絶対に作れない」と豪語されて。

    僕は、その中国でのクオリティーとか新しい技術みたいなものの限界を少し感じていたところで、原さんの次元に繋がる「D3テクスチャーは中国で絶対できない」というこの一言を聞いたら、これはこれで凄いなと思って。これをどうしても自分たちの製品に入れたいと考えたんです。

    がじろう

    これ、ちょっと質問なんですけど、金型の時点では普通のフラットなものが出来上がって、それに何か削ったりして加工し、本物っぽく見せるってことなんですか?

    Hossy

    いや、金型の時点で、金型に表面加工をするんですよ。

    がじろう

    もうそこからなんですね。

    Hossy

    できたものを後からやるわけじゃなくて、最初から金型にそれを彫り込むという。

    がじろう

    多分、お会いしたタイミングが良かったのかもしれないですよね。3年ぐらい前に会っていたとしたら、その熱量で言われても「すごい技術があるんだな」ぐらいだったかもしれないし。ちょうどHossyさんが、タイミング的にも中国の限界を感じたり、競合が出てきてもう一歩深いところまでいかないと、とアンテナが立っているタイミングでお会いしたのが。

    Hossy

    そうですね。まさに今言ってくれたように、競合が増えてきて、我々としてオリジナリティーを出す必要性があると感じていたんです。それは中国ではなかなかできないんじゃないかなと思っていたし、自分自身にはそんな技術も何もなかった、という中で。あともう一つ、さっき言ったように2011年なので、2006年の創業から考えると5〜6年も経ってるんですよね。

    これも結構前の回で言いましたけど、やっぱり5年目ぐらいからキャッシュフローが安定してきたんですよ。なので、何かをチャレンジする資金的余裕という、ビジネス上の余裕も出てきた、というのもあって。次に何か投資しようとすることができるような状態であった、というのも大きいと思っています。

    やっぱり「中国でできない」ということで、いったん本当なのかなと思って、中国の工場に持っていったんです。「こういうのができているんだけれども、そっちでもできるの?」みたいな話をしたら、最初に「できる」って言ってきたんですよ。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    中国の工場ではいったんはできるって言うんですよ、最初は。でも、実際はできないんです。

    がじろう

    はいはい。

    Hossy

    営業とか社長は「できる」って言ってきたんですけど、結局、金型を設計する人に見せたら、さっき言ったように、まったく同じことが起きないんですね、表面上に。人間の皮膚とか、牛の皮膚とか、木とか、そういう本物のものっていうのは、有機物ですからね。でもそれを金型に作り込むのって、めちゃくちゃ難しいですよね。

    がじろう

    うん。

    純日本製へのへの挑戦と製造の舞台裏

    Hossy

    さっき言った「氷結」なんかはパターンが一緒なんです。それをコピーしてどんどん缶全体に入れているだけなんですけど、これは全エリアが違うものなんですよ。当然、有機物を模しているので、有機物と同じようになっている。それで、結局、中国ではできないという話になって。この技術自体は、まずデジタルデータとして金型を作るためのデータを作る、というのが、さっき言った原さんのケイズデザインラボのD3テクスチャーという技術で。

    このデジタルデータを作るという工程がありつつ、今度は本物の金型に彫り込んだり削ったりすることによって、本物の金型に移さないとプラスチックの成形ができないんです。それができるのは日本の金型屋さんしかない、という話が出てきたので、「そうか、そうするとこれは日本の技術であり、日本の金型工場でないと金型が作れないし、日本でしか生産できないんだ」と。

    それで「純日本製」とか、そういうキャッチコピーで、すべてを日本でやろうと考えたんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    それまでのiPodやiPhoneのアクセサリーで、純日本製のケースなんていうのはほぼなかったんです。いわゆる巾着みたいな、ただ袋に入れるだけみたいなもので、日本のレザーでハンドメイドの形でつくるのはありましたけれども、プラスチックを使った成形品で日本製っていうのは、その時にはなかったんですよね。ということもあって、「純日本製」っていうのをやろう、ということで、日本の金型工場、長野県佐久市にある「樫山金型工業」という金型屋さんがあって。

    これは原さんに、「この技術ができる金型屋さんです」っていうことで紹介してもらって、長野へ行って工場を色々見せてもらいながら、そこで「次元」シリーズを製造するという話になりました。

    がじろう

    ほぉ。

    Hossy

    純日本製なので、製品自体が日本製なのは当然として、パッケージとかパッキングにもこだわっていて。その当時は、ケースなんだけど画面拭きみたいなのも同梱していたので、それも東レの「トレシー」っていうクロス、それも日本製のものを手に入れて。製品の名前も「何かやっぱり和名がいいな」ということで、三次元の製品ということもあって、「次元」という名前にしました。

    製品自体も最初の時は、「」っていうシリーズ。さっき言ったように、ちょっと革が一つ目の特徴だったので、革だったり、あと木のようなものは「」。一つだけ現実にはないやつを最初に作ったものがあるんですけど、「」っていう製品シリーズですね。カラー名も全部和名にしました。赤っぽいのは、さすがに「赤」は面白くないんで「」。

    黒はただの「黒」じゃなくて「漆黒」とか、「紺色」は「鉄紺」とか、なんか色々な和名を使って。「」とかね。

    がじろう

    それは、クリアなんですか?

    Hossy

    無はクリアだったかな。「象牙」とか「」とか「翡翠」とか、そういったのを製品カラーにしましたね。結構、製品本体も日本で作るのは難しいんですね。基本的に何が難しいかというと、コストなんですよ。金型代が、中国で作るのと比べると6倍じゃきかない。7倍ぐらいはいきますね。

    がじろう

    そうですね。

    Hossy

    パッケージとかも結構大変で。ちょっと細かい話になっちゃうんですけど、普通の製品って外箱を開けると、中に僕らは「ブリスター」って呼んでいる、ちょっと透明のプラスチックのトレーに入ってるじゃないですか? あれが高いんですよ。

    がじろう

    ほう。

    Hossy

    そう、あれ用の金型を作るのがめちゃくちゃ高いんです。日本では全然作れないですね。何十万個って作るんだったらまだいけるんですけど、こういう1,000個、2,000個、3,000個みたいなレベルのものだとめちゃくちゃ高いので、この「次元」シリーズはブリスターを使わず、外箱の紙を折り畳んで入れているんですよ。なので中にトレーがないんです。

    本当に色々工夫をして。樫山金型さんにもめちゃくちゃ色々大変なことをやってもらって。最終的にこれを見てもらいたいので、概要欄にURLを載せておきますが、本当に美しい金型ができて。最終の微調整は金属なんですけど、竹串みたいな先っぽで細かくやするというか擦るんですよ。

    がじろう

    えっ? 木で金属を削るんですか?

    Hossy

    竹。

    がじろう

    竹で。

    Hossy

    そう。削るっていうほど大きくは削らないんだけれども、最後の仕上げみたいなものをそういう形でやるんだよね。これは見てもらうとわかると思うんですけど、本当に日本で金型を作るとやっぱりすごいんだな、というのはこの時に思いました。なので、冒頭で言ったように、これで僕はものづくりってすごいし、面白いと感じたんです。

    今回でいえば、日本でしかできない、中国ではできないという誇りを持って、「純日本製」「日本のものづくり」というものを体験できたし、最終的に売り出す時にも、「僕たちにしかできないです」みたいなことを自信を持ってできたのは、本当に大変だったけれども面白かったです。最終的にコストもケースで1,980円という形だったので、高すぎるわけじゃないんですよ。

    がじろう

    そうですね。

    Hossy

    Simplismで一番売れている「Turtle」というクリアケース。これは中国製なんですけど。これも安い頃で1,280円で、今は1,380円ぐらいかな。なので、今回、純日本製ですべて日本で作って1,980円だったんで、それほど高くなく作ることができたので、本当にここから自分が胸を張って、本当に自信を持って「この製品に情熱を傾けて作りました。いいでしょ。どうですか?」って言える最初の一歩だったかなと思います。

    がじろう

    そのコストを抑えられた一番の要因は、金型を普通に5〜7倍とかするけど、ブリスターを紙で作っちゃうとか、そういう工夫で、そもそも金型の量を少なくしたっていうことですか?

    Hossy

    そうですね。一つはちょっとしたコストダウンとか。成形するプラスチック自体を、最終的に1個の製品として固めて作り出す費用自体は、そこまですごい高くないので、金型費だけなんですね。そこら辺のところは、ちょっと自社の通常の利益からすると、少し削ったりしながら、利益率はちょっと減らしながら、リーズナブルな形でやりました。

    メディアへの露出

    がじろう

    なるほど。

    Hossy

    結構、ここらへんは日本のものづくりというところで、テレビ東京の「WBS(ワールドビジネスサテライト)」で「日本のものづくりが変わります」みたいなテーマで取り上げていただいたりして、テレビに出てやりましたね。僕自身は別に金型技術に詳しくはなかったので、毎回登場してくる山本洋平がこういうのは得意技だったので、彼に技術的には動いてもらって。

    WBSでも山本洋平も出てきて、インタビューを受けて、「アイデアさえあれば勝負ができる」みたいなことをアナウンサーに言わされて(笑) まあ、日本のものづくりっていうので取り上げていただいたりしましたね。

    がじろう

    実際これは結構売れたんですか?

    Hossy

    そうですね。当時としてはそれなりには売れたという感じですね。さすがにテクスチャーがあるものは、以前にカラーバリエーションの話をしたときにも言いましたが、結局皆さんが買うのはクリアケースっていうのも大きかったりするので、爆発的に、というわけじゃないんですけれども、値段としては1,980円という、バラ売りのケースの中ではちょっと高い方でも、それなりに売ってもらうことができたかなと思っていますね。

    がじろう

    いいっすね。

    Hossy

    そうですね。ここが僕の一つのターニングポイントだったかなと思います。がじろうさんも、日本製のケースに携わったことがありますが、何かありますか?

    がじろう

    そうですね。僕は「AndMesh(アンドメッシュ)」っていうブランドとか、そういったものの、一応副社長みたいな形でやっていたんですけど、逆にいうと僕は、日本のものづくりの限界を感じた、っていう経験なんですよ。

    Hossy

    なるほど。

    がじろう

    それこそ金型はもう10倍ぐらい高かったんですよ。中国製よりも。それで、もう利益率を低くしてなんとか売ろうとしていたんですけど、海外展開したかったんで、「純日本製」とか「日本製」というのがめちゃくちゃ強いフックだと思っていたんです。

    「日本のモノを作って世界で戦いたいんだ」っていうのがあったから、日本製にかなりこだわっていたんですけど、そうすると一番最初に作ったりすると歩留まりが30%とかだったんです。

    Hossy

    うん。

    がじろう

    作ったものを70%は廃棄しないといけない、みたいな。中国が絶対に真似できないことをやろうと思ってやるがゆえに、歩留まりも悪くなり、金型費も高くなり、あとは製品ができないことによる遅延が起こって。僕は営業をめちゃくちゃ頑張っていたんですけど、売上が上がれば上がるほど、遅延したことによってのキャンセルの量が増えて、どんどん苦しくなって。最後の方はもう中国で作るしかない、みたいな。

    Hossy

    はいはい。

    がじろう

    だから、だいぶ経ってから、どれくらいだろうな、7年、8年とか経ってから、中国に拠点を移すんですけど、その時になるともう金型代は本当に10分の1ぐらいで、さらに価格も、完全に僕がそこをメインでやっているわけじゃないんで、ちょっとうろ覚えなんですけど、6分の1ぐらいで、クオリティーはさらに高かった、みたいな。

    Hossy

    そうなんだ。

    がじろう

    やっぱり、その物量が、世界中のものを作ったのが中国じゃないですか。だから、直近の経験値の数が圧倒的に向こうが多いから、それによってもう勝てないんだ、ってちょっとショックを受けたというか。「中国のものづくりの方が、上なことあるんだ」みたいな、ちょっとそういう苦い思い出はありますね。今の話は、2011年とか2012年とかの頃なんですね。

    Hossy

    そうですね。製品は2012年に出してるのかな。

    がじろう

    時間軸もちょっと違うのかもしれないですけど、むしろ僕は日本でものづくりをやりきれなかったっていう感じですね。

    Hossy

    この時はiPhone 4Sとかの頃で、一応iPhone 5を出して、iPhone 6まで出していたんですよ。このシリーズにちょっとずつ改良を重ねて。まあ、わりと面白かったし、多分このシリーズでいうと、本当に日本でしかできない技術だったので、中国に持っていくことができないっていうものだったので、ちょっと違う感じだったかもしれないですね。

    がじろう

    確かに。

    Hossy

    はい、というわけで、「次元」シリーズ。今回聞いていただいた方にはモノを見てもらいたいので、ぜひウェブサイト、もしくはそれぞれのプラットフォームの概要欄にURLを入れておきますので、一度は見ていただければなと思います。

    これで、僕のものづくり人生というほどすごいことをやっているわけではないんですけれども、この20年間のトリニティの歩みの中で大きなターニングポイントで、自分で情熱を持って、他の人たちにはできないことをつくる面白さを感じられたシリーズだった、というところで、今回のサブブランドの第1弾はこれが大きなところとしてご紹介しました。

    がじろう

    これ、来週はどんな話が聞けるんですか?

    Hossy

    これはサブブランドの僕の中で一番大きい話なんですけれども、売上でいうと、もうちょっと大きいのがあったり、他にもいくつかあるので、来週はそこらへんとか、あとちょっとそれ以外の話もさせてもらえればなと思ってます。

    がじろう

    楽しみです。

    Hossy

    はい。ではまた来週、よろしくお願いします。

    がじろう

    よろしくお願いします。

    エンディング

    Hossy

    「リアル経営|企業経営の成功と失敗。等身大で語る台本なき社長のリアル」

    概要欄にこの番組のWebサイトへのリンクを貼っております。感想、メッセージ、リクエストはこちらからいただけると嬉しいです。

    がじろう

    毎週金曜朝6時配信です。ぜひフォローお願いします。

    Hossy

    ここまでの相手は、Hossyこと星川哲視と

    がじろう

    がじろうでした。

    Hossy

    それではまた来週、お耳にかかりましょう。

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