News
letter

経営や趣味、時事などのブログ記事や、Podcastの発信を日々行なっています。ニュース登録をしていただければ、更新情報を配信していきますのでお気軽にご登録ください。(広告を配信することはありません)

About

星川哲視(Hossy)の個人サイト Hossy.org は、これまでの起業・経営・卒業など、さまざまな経験からの情報をブログ記事やPodcastなどさまざまな活動を通じてアウトプットするサイトです。

  • URLをコピーしました!

Episode 31|「ブランドストーリーのリアル|NuAns NEO [Reloaded]編」【Part 4】大手キャリアへ販路拡大の挑戦

【エピソード概要】

初代モデルの経験を活かし、細部までこだわったハードウェアの改良点を紹介する。

こだわりのある発表会の作り方に触れ、驚きを演出するはずだった発表会の直前に起きたの予期せぬ「事件」とは。

大手キャリアでの取り扱いを目指すも高い壁に直面し、そこからどのようにしてキーパーソンへアプローチし、販売経路を開拓したのか、ビジネスのリアルな戦略についても明かされる。

ご意見・ご感想・ご要望

Podcast:リアル経営」このエピソードに関するご意見・ご感想をぜひお寄せください。今後の配信の参考にさせていただきます。

    お名前 *

    ふりがな *

    番組内で紹介して良いですか?

    ご意見・ご感想 *

    Topic

    オープニング

    Hossy

    リアル経営|企業経営の成功と失敗、等身大で語る台本なき社長のリアル」

    この番組は、私、Hossyこと星川哲視が自らの体験をもとに、経営やその舞台裏などをリアルに語っていきます。

    リアル経営は、毎週金曜日朝6時に配信しています。

    Hossy

    おはようございます。自由人のHossyこと星川哲視です。

    がじろう

    おはようございます。STRKのがじろうです。

    Hossy

    打ち合わせというか、軽く事前に話した時点では、もうちょっといろいろな話をする予定だったんですが、前回はカメラのシャッター音や、カナダでiPhoneを買った話にまで広げてしまったため、少し長くなってしまいました。その他、指紋認証センサーの話や、ディスプレイとガラスについてかなり時間を使ってしまったので、前回はそこまでで終わりにさせてもらいました。

    今回の大きなトピックは一つです。これは世の中になかなか出てこない話だろうと思っていますので、ぜひ一つしたいのですが、その前に少しだけ、小さいトピックを順不同に話していきたいなと思います。

    がじろう

    はい。

    ハードウェアの細部へのこだわり

    Hossy

    小さい話として、一つ目はハードウェアについてです。前回もお話ししたと思うんですけれども、すごく細かい点では、NuAns NEOの初代と2代目の間でカバーが共通だという話をしましたよね。カバーが共通なので、基本的なハードウェア設計は同じなんですが、カメラとディスプレイは少し違うんです。その上で、共通して残っている部分として、上下の樹脂部分があります。

    がじろう

    はいはい。

    Hossy

    黒い部分ですが、これは初代の時に少し反省点がありました。まず、上下の部分が若干割れやすいという点です。大手メーカーでは、ドロップテストといって、いろいろな角度や高さから落としてみてどうなるか、というのを繰り返し行なっているんですよね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    我々は軽くテストはしたものの、そこまで深くはやっていなくて、実際、思っている以上にその部分が割れてしまうということがあったんです。なので、バンパーといって、上下に柔らかい樹脂をはめられるようなものを出したりもしていたんですよね。それによって、落とした時の上下の衝撃と、ちょっと出っ張っている部分があるので左右の衝撃までカバーできるようにしました。

    第2世代では、そこの厚みをほんのり増やしています。あとはね、樹脂って傷つきやすいっていうのもちょっとあったんですよ。プラスチックってツルツルなものがまず思い浮かぶと思うんですけど、たとえばAirPodsのケースなんかはツルツルじゃないですか。

    がじろう

    そうですね。

    Hossy

    ああいうのは、NuAnsというブランドとしてはやらないようにしました。基本的には、素材感というか、こう、サラッとしていたり、ザラッとしていたりするような手触りが良かったんです。シボといって、すごく細かい凹凸をつけるんですが、ただ、凹凸が小さいとサラサラで気持ちいい手触りになる反面、傷つきやすいという面もあります。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    世の中にある電源アダプターなど、いろいろなものを見てみると、ほとんどがツルツルではなく、シボ加工がされています。だいたいは粗めのシボで、これだと本当に傷がつかないんですよ。だから、車の樹脂パーツとかパソコンのパーツとか、結構粗いシボが多いんですけど、ただ、見た目があまり良くないんですよね。

    がじろう

    ふんふん。

    Hossy

    それで、TENTと話し合った結果、シボというよりは、テクスチャー、つまりラインを入れることで、傷がつきにくくなりつつ、デザインとして成立させるという工夫を、細かいところですが施しました。あとは、当時iPhoneにはなかったストラップホールを、今もありませんが、ちょっとした改良として付けたりしていましたね。すごい小さい話ですけどね。

    がじろう

    けど、一つ一つそんなにこだわっていたら、すごいですね。

    Hossy

    そうなんですよ。だから本当にね、みんなが想像している以上に。前に言った中国の工場のリファレンスモデルをそのまま採用しておけば、すべてが完成されてすぐに売れるんですよ。でも、僕らはそこをあえて一つ一つこだわって、しかも初代を売っていたからこそ、第2世代では改良しようという点がいろいろ出てきて、細部のこだわりまで徹底的にやっていたんです。

    がじろう

    ふ〜ん。

    Hossy

    まあこれは小さい話ですけどね。

    がじろう

    はい。 

    発表会の工夫と難しさ

    Hossy

    あと、小さい話としては発表会の話。前にさらっと触れたかと思いますが、初代の時は、まずマイクロソフトの発表会があって、僕がそこに出て、「トリニティのNuAnsでスマホを出します」と発表しました。それから、自分たちで改めて発表会をやったんですよね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    なんですが、このNuAns NEO[Reloaded]の場合は、「NuAns NEO[Reloaded]を出します」ということを一言も言わずに、「新しいものを出します」っていうことで発表したんですよね。

    がじろう

    えっ、それはなぜですか?

    Hossy

    以前にも「別の回でもやる」って言ったけど、軽くだけ言うと、僕はこういう製品、自分たちが約1年ちょっとかけて作った思い入れがある、そしてこだわった製品を出す時には、最初に製品を言わない方がいいと思っているんですよ。

    がじろう

    へぇ〜。

    Hossy

    これは、この後の発表会などでも同じようにしていることですが、発表会にはやはり驚きも必要だと考えているんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    今って、Appleの発表会って事前にいろいろリークされちゃって、だいたい知っていることを「答え合わせしたよね」みたいな感じになってしまっています。でも、そんな中でもやっぱり事前には分からなかったことが出てくると、「おおっ!」ってなるんですよ。やっぱり、知っているものを見に来て、それをトレースするだけだったら面白くないと思っているんです。

    がじろう

    う〜ん、なるほど。

    Hossy

    なので、「何が出るのかな?」といった感じで、職業ライターやメディアの方々にも楽しんでもらいたいんです。僕らはここで、たとえば、カメラはソニーのセンサーを使いましたとか、ディスプレイはシャープのものを採用しましたといったことや、大きなところで言えば「おサイフケータイ対応です」といったことも含めてです。

    以前にもお話ししましたが、SIMフリーでおサイフケータイに対応している端末は、当時世の中にはなかったんですよね。

    がじろう

    初めてですもんね。

    Hossy

    そこがドーンと来ることによって、「あー、面白いじゃん」ってなった方が、聞いた人も面白いし、やっぱり原稿も書きやすいかなと思って。僕はストーリー性があるものに関しては、事前に内容は言わないようにしていますね。発表会をやりますよ、みたいな告知はするけれども、内容についてはあまり書かないようにしています。

    がじろう

    これ、難しいのは、来てくれる関係性とか自信があったらそっちの方がいいかもしれないけど、来てくれるかどうかも分からなかったら、ちょっと出さなさすぎも怖いですよね。

    Hossy

    そういった話も含めて、発表会について改めてじっくり深掘りしていきたいと思いますが、もちろんメリットとデメリットはあるでしょう。いずれにせよ、基本的には何かスマートフォンを発表してくるだろうという前提で、では具体的に何が出てくるのかという点については、初代がよかっただけに期待値がやはり高かったですね。

    Windowsでモバイルはちょっと、というのもその後の取材やインタビューで話していたので、「これはAndroidなんだろうな」というところを匂わせつつ、内容については一切触れず、メディアの方々には「いつ、どこで、何時から発表会をやります」ということだけをお伝えしました。たくさんの方に来ていただいたのですが、ここで一つ大事件が起きてしまって。

    がじろう

    ほう。

    Hossy

    発表会をして、その日に発表会が終わった後に予約していけるっていうのが僕の中ではベストのシナリオです。

    がじろう

    そうですね。

    Hossy

    そうしないケースも結構あるんですよね。なんだけど、僕はやっぱり「面白いね」っていうのが出てきた段階で、メディアに載った時に初めて見て、「お〜!」となったら、ポチっと予約しにいくと思うんですよね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    以前に言いましたけど、発表会は同じ日に午前と午後で2回に分けて実施していて、情報解禁時間を設定しているんです。朝に来た人でも、午後に来た人でも、記事を出していいのはたしか午後7時くらいに設定しているんですよ。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    そうすると、全メディアが共通でその記事を出せるのが午後7時だとすると、朝来ても午後来ても、原稿を書く時間は朝来た方が長く取れるというのはあるにしても、いずれにせよ、それで同時に記事が出て、それを見た人たちが予約するという流れになりますよね。予約ができる状態にするということは、ウェブサイトや販売店の情報なども整っている必要があるということですね。

    がじろう

    そうですね。

    Hossy

    発表会が終わってから用意していては間に合わないですよね。だから、基本的には発表会よりもっと前に、そういう製品ページとか予約サイトは当然できているわけです。そして、Amazonでも予約販売をすることにしていました。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    Amazonでは、「何日に公開する」という設定はもちろんできますが、基本的にデフォルトだと午前0時に公開されるんですよ。

    がじろう

    ほうほう。

    Hossy

    もちろん、ちゃんと事前に特別に指定しておけば、決まった時間に掲載できたはずなんです。ですが、発表会の日の午前0時に、Amazonが掲載してしまったんですよね。

    がじろう

    おぉ。

    Hossy

    たまにあるんですよね。他の製品、たとえばiPhoneなんかの時もそうですが、「どこどこのキャリアのページに出ていました」といった情報で、いきなり公開されてしまうことがあります。さっき話したおサイフケータイやAndroidなど、目玉だった機能も含め、予約ページだったこともあり、すべてのスペックが載っていたんです。

    とんでもない大事件が起きてしまって、すぐに止めてもらおうとしても、夜中だったこともあってなかなかできずに、朝になってようやく止めてもらったんだったかな。だけどね、もう見てて。

    がじろう

    みんな知ってたんですかね。

    Hossy

    そりゃ、そうでしょうね。ネットメディアには、もうAmazonに載った情報が出回ってしまうでしょうから。

    がじろう

    うわぁ。

    Hossy

    だから、僕がさっき言ったような「面白い」とか「驚き」みたいなものを提供するのに失敗しちゃったんですよ。

    がじろう

    なるほどね。

    Hossy

    もちろん、予約サイトだけでは分からないストーリー、自分たちがどんなことを考えて、どんな苦労をして、何を実現したのかというのは、Amazonのページを見ても伝わりません。だからこそ、伝えることはたくさんあるんです。

    とはいえ、「SIMフリーでおサイフケータイが使えるようになった」といった情報も含めて、事前にすっかり知られてしまった状態で発表会を迎えるという、ちょっと悲しいできごとがありました。

    がじろう

    なるほど。

    Hossy

    一応、悔しかったんで、僕も当日ちょっと変えようと思ったんです。もともと作っていたプレゼンのスライドに挿入して、スマホが1ミリになってる薄い画像と、それを指で持ってる今回のAppleのiPhone Airの画像と同じような、1ミリ版を作ったんです。「世界最薄1ミリスマートフォン登場」みたいなのを、発表会の最初に出しました。

    がじろう

    バレているのに(笑)

    Hossy

    「バレてるけど、実は違うものを出します」みたいな感じですかね。実際には1ミリなんてあり得ないじゃないですか。だから、ちょっと笑いが取れるかなと思ったら、誰も笑ってくれなくて(笑)

    がじろう

    おっと!

    Hossy

    最高にすべりましたね。

    がじろう

    ははは。

    Hossy

    一瞬「え?」ってなって笑う、という流れを想定していたんだけど、誰も特に反応がなくて。でも悔しいから、いや、違う内容を言うとあれだからね。午前の回ですべったのに、午後の回でも同じことをやってもう一度すべるっていう(笑) そんな小ネタがありました。あの時は「Amazon何してくれてんだ」って思いましたけどね。

    がじろう

    へぇ。

    キャリアとの接触と交渉の実状

    Hossy

    さて、じゃあ次は少し大きな話にいきますね。NuAns NEO[Reloaded]は、僕の中では、初代のWindows 10 Mobileで「モバイルでこういうことができたらいいのに」と思っていたことが実現できている部分が大きいと感じています。だからこそ、日本のキャリアで販売してもらいたいと強く思っていました。

    初代の時はU-mobileのグループにご協力いただいたんですが、今回はもっと大々的に、ソフトバンク、ドコモ、auといった大手キャリアに扱って欲しいというオファーをしたいという思いがすごく強かったんです。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    最大のハードルは、なんせ「誰に言えばこれが実現できるのか」が分からないことです。ドコモショップで売っている携帯が、誰がどのような経路で提案したら採用されて全国のショップで販売されるようになるのか、その仕組み自体が分からないんですよね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    そもそも、基本的には超大手の端末しかやってないよね。

    がじろう

    でも、既存の事業で何か商品が流れていたりしなかったんですか?

    Hossy

    その話でいうと、ソフトバンクはソフトバンクショップで、我々の製品を一部置かせてもらったりしていましたね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    ただ、キャリアとして端末を販売する部門とアクセサリー部門というのは、全然違うんです。たとえば、超テクニカルな話でいうと、ソフトバンクでソフトバンクショップのアクセサリーを扱っているのは、ソフトバンク本体ではなくてSB C&Sというグループ会社なんですよ。

    ここは僕らが一番付き合いの深い会社で、ここ経由で我々のアクセサリーも置いてもらっています。なんですけど、あくまでアクセサリーなんです。なので、本体はSB C&Sとは関係ないんですよ。

    がじろう

    グループ一は一緒だけど別会社なんですね。

    Hossy

    だからいかにSB C&Sと我々がパイプが太くても、キャリアでの端末を扱うのとはわけが違うんですよ。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    とはいえ、SB C&Sといっても、ソフトバンクでいうと、昔ソフトバンクBBといってソフトバンクの祖業だったんですよ。昔、孫さんがやっていた頃の話で、言ったか覚えていないんですけど、トリニティもソフトバンクの今のSB C&Sとの売買契約書の名前は、孫正義と星川哲視だったりしますからね。

    がじろう

    へぇ。

    Hossy

    とはいえ、そういう形で深い繋がりもあって、紹介の紹介という形でソフトバンク本体の方を紹介してもらいました。そして、端末を担当している方にプレゼンをさせてもらえたんです。ここは、付き合いからいけたので、ある意味一番簡単ではありました。

    ただ、やっぱりソフトバンクで取り扱うには、まず企画の段階からソフトバンクの人たちと一緒になってやらなきゃいけないということでした。すでにできているものをただ扱うっていうのは、基本的にはないそうなんです。

    がじろう

    なるほど。

    Hossy

    向こうの仕様とか、ソフトバンクの基地局とのやり取りも含めた、表には見えていない裏側の最低限必要な部分もあります。発売する前にもちろん話はしているんですが、もうでき上がってしまっているもので対応するのは難しいんですよ。それに、サイクルとしては2年先ぐらいまで見てきちんと進めているので、もし一緒に作って、2年後とか3年後に一緒に出せるという形であれば、検討の余地はある、ということですね。

    がじろう

    へぇ。

    Hossy

    うちの初代を見て、デザインとかコンセプトとか、面白いと思ってくれた。ただ、現時点ではお断りしているんだよね。

    がじろう

    まあまあ。

    Hossy

    これはやらないという話だから。そこでも諦めきれず、ソフトバンクの当時の社長の宮内さん、孫さんから受け継いだ方ですね、その方が年始に出席される賀詞交換会というソフトバンクと関係者の名刺交換会のようなものに、ちょっとツテを使って行かせてもらいました。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    基本的には並べば必ず名刺交換させてもらえるんですよ。そこに入り込んで、まず一瞬でもいいから話したいと。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    やっぱり、日本の超大手の会社の社長と、少しでもいいから話せる機会って、なかなかないじゃないですか

    がじろう

    なかなかないですね。

    Hossy

    どうしても宮内さんと10秒でもいいから話したいと思いまして。それで、賀詞交換会に行って、宮内さんと名刺交換するのと同時に、「実はうちの会社、スマホを作ってまして、どうしても御社で取り扱いして欲しいんです」とお願いしたんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    10秒ぐらいでみんなどんどんあいさつだけして入れ替わっていたんだけど、自分計測では5分ぐらい話せました。

    がじろう

    おぉ、すごい。

    Hossy

    スマホを扱っているようには見えないし。スマホをやっているメーカーで、知らないメーカーはそんなに多くはないと思うんだけど、全然知らない人が来て、そこで急に「スマホをやってて」って。カタログと最初からサンプルを用意していて、「これがこうでこうで」と。

    僕の中では5分ぐらい話せたという認識があるんだけど、もちろん宮内さんがいきなり決めるわけじゃないから、担当を紹介してもらうという話になりました。もともと話していたところよりは上のレイヤーを紹介してもらったわけだよね。社長経由だから。

    がじろう

    成功ってことですね。

    Hossy

    そう。ただ、実際問題、現場の意見と変わらない話だったんですよ。やっぱりソフトバンクとして出すから、というのがあります。

    シャッター音の時も言いましたけれども、iPhoneを扱っていても、Appleとしてではなく、ソフトバンクのiPhoneとして出すから、ちょっとAppleは特別なので、彼らと相談して仕様を決めて出すなんてことはないんですけれども、普通のメーカーはそうなんですね。その分、買い取る形になるんですよ。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    宮内さんには、現場よりも上のレイヤーも紹介してもらったんですが、残念ながらダメでした。ただ、ソフトバンクにはY!mobileというグループで、格安スマホのラインナップを取り扱っていますが、そちら側で検討してくれるっていう話になりました。Y!mobileはソフトバンクとは違って、独自で企画して端末を作るみたいなところまではやってなかったんですね。

    がじろう

    へぇ。

    Hossy

    なので、Y!mobileのトップの方を紹介していただいて、その時はちゃんとプレゼンさせてもらう時間をいただいて、1時間ぐらいいろいろな話をして、「これは面白いね」という評価をいただきました。ただ、構造上の話で、ちょっと僕も詳しくは聞いていないのですが、ソフトバンクでもY!mobileでも、基本的にフランチャイズなんですよね。

    ソフトバンクショップとかY!mobileのショップというのは、直営は本当に一握りですから。そうすると、ショップに売るという形になるんですよね。端末を直接やる場合と、一次流通があったりする時もあるんですけれど、ショップは基本的には僕の理解では買い取りなんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    だから、我々の製品をちょっとやろうっていうのには、フランチャイズしているショップは厳しいというのもあって、「直営店だけならいいよ」っていうことで、直営店でやってもらったんですよ。当時、六本木とかにもあったんです。

    がじろう

    Y!mobileって何店舗ぐらいあったんですか?

    Hossy

    忘れちゃったんですよ。でもね、店舗数はそんなに多くないんです。5店舗くらい。ただ、直営店は場所がいいところにあるんですよ。それで、我々の什器も置かせてもらったり。我々の製品を、ソフトバンクでは叶いませんでしたが、Y!mobileでは取り扱ってもらえました。

    がじろう

    すごい。

    Hossy

    次は、NTTドコモと取引きをしたいと考えました。ただ、ドコモに関しては、コネもツテも一切ない状況です。どう進めるべきか。もしがじろうがうちのコンサルタントだとして、経営者から「ドコモと取引したい」と相談を受けたら、どのような経路で進めますか?

    がじろう

    分かりやすいところからいくと、まずはドコモ本社にまず行くっていうのが一つじゃないですか。

    Hossy

    いきなり本社に行くの?

    がじろう

    そうそう。

    Hossy

    受付ではまず、入れてもらえないけどね。

    がじろう

    だけど受付からヨドバシカメラ、口座開いたことありますよ。

    Hossy

    なるほど。

    がじろう

    受付で門前払いされたんですけど、その受付の目の前に2時間ぐらいずっと居座っていたら通してくれたんですよ。「もう、担当者に会うって言ってるんで、行ってください」みたいな感じで。

    Hossy

    なるほど。

    がじろう

    ということもあり得るかなと。

    Hossy

    ヨドバシとNTTドコモでいえば、会社の規模が全然違う。

    がじろう

    なるほどね。

    Hossy

    あとヨドバシはわりとそういうとこあるんだよね。人情深いというか。あとやっぱりいろいろなメーカーを扱うのが重要だから。

    がじろう

    ドコモか。まずドコモとかのキャリアの1リアル店舗のコンサルってのは存在するんですよ。そこにとりあえずまず相談して、どこ経由でいけるのかってのを聞くのと。

    Hossy

    うん。

    がじろう

    でも、それもなかったとしたら。もう何もあてがない状態だったら、店舗に行って聞いてみる方が早いかもしれませんよね。

    Hossy

    そうだね。

    がじろう

    こういうお話をしようと思っているんですが、どういった部署からいけばいいでしょうか。正直にいくのが早い気がしますね。

    Hossy

    そうだね。僕がトリニティを始めた時、量販店に広げる時には、そういうところもやっていたんだけどね。ただ、たぶんだけど、さっき言ったようにフランチャイズだから、店舗に行くとしても直営店に行くしかないのかな。

    がじろう

    たしかに。

    Hossy

    じゃあ、何をしたかというと、こういう新規営業で一番大変なのは、キーパーソンに会えないっていうことなんですよね。特に大きな話になっていく場合、さっきの宮内さんの話や、以前話したソニーの時もそうでしたが、平井さんのようにトップから話が来ると、扱いが違ってくるということがあります。

    ボトムからいくと、たとえ良い話だったとしても、なかなか真剣に取り合ってもらえない、ということもあるんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    トップにいきなり、できる限り商談できるようにするために、僕が使ったサービスがあるんです。それが「顧問名鑑」っていうサービスなんですよね。顧問名鑑というのは、大手企業などで社長や役員を務めていた人の人脈を活かして、紹介してくれるサービスなんですよ。

    がじろう

    へぇ。

    Hossy

    で、その方がトリニティの顧問として契約して、間を取り持ってくれる仕組みなんですね。もちろん、紹介してくれる方にもリスクがあるので、変な人ばかり紹介していたら嫌われてしまいます。ですから、その方もどういう会社で何を紹介したいのかをちゃんと精査した上で顧問契約をするわけですが、そこから何人か紹介してもらい、その方たちの人脈を使わせてもらった、ということです。

    がじろう

    ふ〜ん。

    Hossy

    これは、僕としてはかなり良いサービスだと感じています。僕たちのような小さな会社でも、最終的にはNTTドコモの商品部、つまりスマートフォンの機種やどういうものを作るかを決めている部署の部長、執行役員の事業部長にプレゼンをする機会を得られたんです。普通なら、なかなかできないことですよね。

    がじろう

    そうですね。

    Hossy

    このサービスは本当に人気で、今では類似のサービスがたくさん出てきているくらいなんですが、いわゆる「ドアノッカー」と言って、ドアを開けてもらうところが一番大変なんです。話さえ聞いてもらえれば次にいけるのに、というケースはやっぱり多いですよね。

    がじろう

    そうですね。

    Hossy

    この仕組みを使ってNTTドコモにプレゼンをさせていただいたんですが、結局のところ、話は同じなんですよね、ソフトバンクと。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    やっぱりドコモのプロダクトのポートフォリオがあるから、それに合わせてこういう端末も今までやってないし、面白いとは思うけれど、彼らの企画チームと一緒に2年後ぐらいのものをやっていかないとできない、ということになったんです。

    それで、NTTドコモ経由ではないのですが、今も大手でやってますけど、IIJっていうMVNOがあって、そこのIIJで取り扱いをしてもらうっていうところまではいけたんです。IIJもかなり力を入れてやってくれて、予約を始めたときは、すごい予約がたくさん来たんですよ。

    がじろう

    へ〜。

    Hossy

    IIJもSIMフリーを普通にやっているMVNOで、キャリアではないので、特徴のあるものをやりたいという思いもあって、やらせてもらったという経緯があります。

    あとはKDDIですね。KDDIも似たような話で、顧問を使って動いてはいたんですが、こちらも結局はKDDIのau本体としては同じ話で、「もうできているものを扱うのは難しい」ということでした。

    がじろう

    うん

    Hossy

    ソフトバンクにY!mobileがあるように、auにもUQ mobileというのがあって、グループでね、そちらであれば検討できるという話があったんです。それで、UQ mobileを紹介してもらいました。ただ、UQは若干厳しくて、UQで取り扱う端末はauのIOT(相互接続性試験)というものを通す必要があったんです。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    auの基地局に正しく接続し、データのやり取りができ、問題なく使えるかという、auが実施している試験がありまして、それに通っていないとUQでは取り扱ってもらえないという話があったんです。なので、「それはやるしかない」ということで。その代わり、向こうも割引してくれるという話で進めてもらいました。

    そのIOTを通すために、以前少し話したように、試験場は本来ものすごく高いんですが、そこを少し割引してくれて、検査してもらったんです。永山さん、その他の方々のおかげもあって、無事に試験をクリアし、UQの取り扱いラインナップに入れてもらうことができました。

    がじろう

    大手3社の直接取引は難しくても、その下のグループの会社をすべて入れたんですね。

    Hossy

    しかも、UQはきちんとカタログにも載っていますからね。

    がじろう

    へぇ。

    Hossy

    ぽっと出でドコモから発売されるとなると、むしろすごい話になってしまうんですよ。僕らだけでは作りきれないかもしれないし、品質管理なども僕らのレベルでは追いつけなかったかもしれない、というくらいの規模の話なんです。当時は、いったん全キャリアでトライしてみようという気持ちでいましたし、iPhoneの代わりとしてはNuAns NEOが一番いいんじゃないか、くらいのつもりでいたんです。

    がじろう

    すごい。

    Hossy

    あらゆる手段を使って、当時はまだ楽天モバイルがなかったので、この3つのキャリアに話を持ち込みました。

    トップのキャリアは、同じような理由で、こちらの提案はうまくいかなかったんです。けれども、断られるときにね、少し褒め言葉のように、「一緒に作って、2年後ぐらいに作り上げるのなら、可能性はありますよ」ということを、一応3社とも言ってくれました。まあ、これが本音かどうかはちょっと分からないですけどね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    まあ、Y!mobileは直営店だけでの扱いだったので、特にカタログに載るということもなかったんですけど、IIJはMVNOとしては最大手。あと、NTT系はOCNモバイルONE、ここかIIJが1、2を争うくらいでしたよね。ここでも取り扱いはしてもらえて一応やらせてもらったので、キャリアという意味で本当に本命のところはいけなかったものの、それなりには扱ってもらえたという状況でしたね。

    がじろう

    いや、すごいっすね

    Hossy

    めっちゃ余談なんですけど、初代のNuAns NEOをやってくれたU-mobileは扱ってないですね。売れなかった分の返品をするかしないかでのいざこざがあって。

    がじろう

    まぁ、しょうがないですね。

    Hossy

    細かい話もと言いつつ、本命の話をしていて、時間をかなり長く使ってしまったんですけど、この話はなかなか聞けないかもしれません。

    がじろう

    そうですね、なかなか。この3つのキャリアに入れたというのは、すごいことですよね。

    トップ層の仕事の流儀

    Hossy

    分かる人には面白いかもしれないなと思いますし、リアル経営という意味でのリアルさは追求できたんじゃないかなと思いますね。

    あと、最後にすごい余談なんですけど、さっき話していたソフトバンクの宮内さんと、その賀詞交換会で5分間話したって言ったじゃないですか。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    名刺交換は一応しているので、メールアドレスはいただいているわけですよね。それで、メールをしたんです。「ありがとうございます。プレゼンをさせてもらうことになりました。最終的にはY!mobileの直営店で扱っていただけるようにはなったんですが、ちょっと力不足で、ソフトバンク自身ではまだ扱えなくて。今後、機会があれば一緒にやらせていただけたらと思っています。お忙しい中、ご紹介ありがとうございます」などの感謝を込めたメールを、ちょこちょこ送っていたんですよ。

    これは僕もよく話すことなんですけど、キャリアのトップで、当時ソフトバンクグループの中でも孫さんのナンバーツーといってもおかしくないような方だったんです。もう今は引退されているんですけど。その方が、僕がメールを送るだけで、5回ぐらいメールしたと思うんですけど、僕の記憶が正しければ、5回とも1時間以内に返事が来るんですよ。

    がじろう

    はぁ。

    Hossy

    1行か2行程度の話なんだけどね。「それなら良かったです。頑張ってください」とか。

    がじろう

    なるほどね。

    Hossy

    すごくない? 社内も含めて、他にもたくさんのメールが来ているはずなのに、それでもすぐに返事が来る。

    がじろう

    それ、すごいですね。その余談でいうと、あのPayPayってあるじゃないですか。PayPayの営業本部長か何かの役職の人が僕の友達なんですけど。その彼が話していたのが、一番最初の立ち上げの時って、ほんの数人でやっていたそうです。

    プロジェクトを回す時に、日曜日の友達の結婚式で2時間連絡が取れなかっただけで、同僚のシステム部門のトップの人がブチキレて電話がかかってきて、「やる気ないんやったら辞めろ」って言われたらしいんですよ。

    Hossy

    (笑)

    がじろう

    連絡が2時間取れなかっただけで、「このプロジェクトからもう抜けてくれ」みたいな、その温度感のやりとりがあったんです。それを言われた本人も、「いやいや、せめて日曜日でも対応するけど、友達の結婚式の2時間ぐらいは勘弁してほしい」とは思ったらしいんです。ですが、それだけ熱量を持って来てくれていることが嬉しくて、頑張ろうって思った、と。

    Hossy

    なるほどね。もう完全にスタートアップの感じだよね。分かるよ、その気持ちも、もちろん理解できる。

    がじろう

    だけど、ソフトバンクグループ全体がそんな温度感なのかなと、今の話を聞いて思いました。

    Hossy

    そう。やはりトップ中のトップの方々はそうです。普段僕が付き合っているSB C&Sの方々も、上のレイヤーに行けば行くほどレスポンスがめちゃくちゃ早いですし、たとえそのレイヤーじゃなくても「仕事ができるな」と思う人は、だいたいレスポンスが早いんですよ。

    だから、僕は社内でもいつも「スピードと情熱」が大事だと話していました。いずれにせよ、スピード感を持って取り組まないといけないことばかりなんです。特にデジタルライフという分野はそうですね。たとえば公共事業などだと、そんなにスピード感を持って世の中が変わっていくわけではないですけど、私たちの分野では「明日」と言ったら、他社が同じものを発表しました、ということがありえます。

    だから、やはりスピードというのはすごく重要なんです。これも結構有名な話ですが、スティーブ・ジョブズとかAppleのね。あと今のティム・クックだって、めっちゃレスポンスが早いらしいですよ。

    がじろう

    ふ〜ん。

    Hossy

    僕は、この2人とやり取りしたことがないから知らないけど、ものすごく返信が早いらしいよ。本当に1、2行だけど、「それは誰に言ってくれ」みたいな感じで。

    昔はジョブズもみんなにメールアドレスを公開していたし、クックも昔は普通に名刺交換をしていた時期があったから、名刺に載っているメールアドレスに送ってくる人もいるみたいだけど、本人から直接返信するか、すぐに社内の担当者に転送して対応させるか、という感じで対応が早いらしいです。

    がじろう

    へぇ。

    Hossy

    チャットみたいな感じでメールをやり取りしていたんだよね。まあ、ちょっと余談が長くなりましたけど、本当にソフトバンクのトップでいてもこんなにレスポンスの早い会社はすごいですよね。普通はなかなか、ましてや100人以上と名刺交換をしている人に、こんな対応はできないですよ。

    がじろう

    そのとき何歳くらいでしたか?

    Hossy

    たぶん60歳くらいかと。

    がじろう

    すごいですよね。年々レスポンスって、人って遅くなっているって、僕は感じるんですよ。

    Hossy

    そう、めっちゃ早いし、本当にこういう形で仕事をしているから、ソフトバンクは正直3キャリアの中でも他とは違う形で、最初は「ダメ」っていろいろ言われてたけど、今や通信品質だってソフトバンクが一番いいんじゃないか? ってくらいで、いろいろな形で追いついてきたのは、そういうベンチャー気質とか、トップがすぐ動くっていうあたりが関係しているのかなと思いますね。

    がじろう

    いや、今日めちゃくちゃいい話が聞けました。

    Hossy

    はい、ありがとうございます。というわけでNuAns NEO[Reloaded]の話は、もうちょっとだけあるんですが、そろそろ終わりの回に入っていきます。というわけで今回はここまでとさせていただきます。また来週よろしくお願いします。

    がじろう

    よろしくお願いします。

    エンディング

    Hossy

    リアル経営|企業経営の成功と失敗。等身大で語る台本なき社長のリアル」

    概要欄にこの番組のWebサイトへのリンクを張っております。 感想、メッセージ、リクエストなどそちらからいただければ嬉しいです。

    がじろう

    毎週金曜朝6時配信です。ぜひフォローお願いします。

    Hossy

    ここまでの相手は、Hossyこと星川哲視と

    がじろう

    がじろうでした。

    Hossy

    それではまた来週、お耳にかかりましょう。 

    コメント

    サインインしてコメントする

    または
    Topic