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星川哲視(Hossy)の個人サイト Hossy.org は、これまでの起業・経営・卒業など、さまざまな経験からの情報をブログ記事やPodcastなどさまざまな活動を通じてアウトプットするサイトです。

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Episode 23|「ブランドストーリーのリアル|NuAns NEO編」【Part 1】幻の企画とスマホへの挑戦。

【エピソード概要】

トリニティの10周年記念プロジェクトとして始まった、スマートフォン「NuAns NEO」の開発秘話に迫る。

数ある企業の中でも、自社でスマートフォンを開発するという極めて珍しい挑戦は、どのようにして始まったのか?

既存の概念にとらわれず、「本当に欲しいもの」を追求する情熱が、いかにして前例のない挑戦へと繋がったのか。今回はその序章をお届けする。

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    オープニング

    Hossy

    リアル経営|企業経営の成功と失敗、等身大で語る台本なき社長のリアル」

    この番組は、私、Hossyこと星川哲視が自らの体験をもとに、経営やその舞台裏などをリアルに語っていきます。

    リアル経営は、毎週金曜日朝6時に配信しています。

    Hossy

    おはようございます。自由人のHossyこと、星川哲視です。

    がじろう

    おはようございます。STRKのがじろうです。

    Hossy

    はい。前回までNuAnsのブランドを立ち上げて、そこから製品に進むところまでのブランドストーリーのリアルというところに行きましたけれども。そうですね、NuAnsとしては一番大きいプロジェクトとしてスマートフォンを作ったんですよね。

    がじろう

    僕、一番これを聞きたかったんですよ。

    Hossy

    一番? 

    がじろう

    はい。一番興味がありました。

    Hossy

    お金の話とかじゃなくて? 

    がじろう

    いや、僕の中ではこっちですね。

    Hossy

    ほう、こっちの方が? 

    がじろう

    いや、僕の周りにスマートフォンを作ったっていう人、誰一人いないんで。Hossyさん以外に。事業でうまくいってお金持ちになりましたっていう人はいたとしても、スマートフォンを作った人ってなかなかいないんで、ここをめちゃくちゃ聞きたかったです。

    Hossy

    はい。前回、Simplismの時にKATHARINE HAMNETTで自分の好きなブランドとコラボして製品を作ったっていうのがあって、それも結構なかなか少ないとは思うんですけれども、さらに自分でスマートフォンを作った人は、まあ相当少ないかなと思っていますね。

    がじろう

    そうですね、めちゃくちゃ少ないと思います。

    Hossy

    はい。大企業のね、いち担当者で担当したっていうのはあるかなとは思うんですけれども、自分でゼロからすべてスタートしてスマートフォンを作り上げた人っていうのは、そういう意味ではほとんどいないんじゃないかなと思っていますね。

    がじろう

    そうですね。どこから聞いていいやら。

    Hossy

    実際問題、同列に語っていいのか分からないですけれども、iPhoneを作ったスティーブ・ジョブズと同じぐらいの形で語ってもいいんじゃないかなと思ったりします(笑)

    がじろう

    はい(笑)

    Hossy

    時系列で説明すると、前回お話ししたNuAnsの製品群を発表したのが2015年4月でしたね。このNuAns NEOのプロジェクトを始めたのは、そこからもう少し前になります。当時はまだNuAns NEOという名前さえなかったんですが、このプロジェクトを開始した時点まで時計の針が巻き戻ります。

    10周年記念プロジェクト

    Hossy

    もともと2015年だったので、2016年には、トリニティが2006年創業で10年経つんですよ。だから10周年の記念プロジェクトを何かやろうかなと思ってたんですね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    もちろんNuAnsも進めていた頃ですが、それとは別に何か目玉になるようなことをしたいなと思っていました。10周年のイベントをただ開催するのではなく、これまで話してきた次元やNuAnsでの経験から、「ものづくり」に面白さを感じていたんです。

    ただ、ものづくりって、実際にビジネスとして成功させる場合と、そうでない場合とではかなり違うんですよね。

    がじろう

    なるほど、なるほど。はい、はい。

    Hossy

    つまり、きちんと売って利益を出すには、売れるようにする必要があるんです。そのためには、「お客さんは誰なのか」「いくらまでなら出してくれるのか」「どんな仕様なら買ってくれるのか」といったことや、「流通のチャネルはどうするのか」「バイヤーは受け入れて発注してくれるのか」など、本当にたくさんのことを考えないといけません。

    だから、「ものづくり」という観点だとちょっと窮屈に感じてしまうんですよね。

    がじろう

    価格もこの辺じゃないとダメだから、じゃあ、イコールスペックもここぐらいまで落とさないと、みたいなちょっとした妥協も出てくる。

    Hossy

    はい。結局自分の中ではすごくいいものができたなと思ったとしても、たとえば「こんな高かったらいらないでしょ」っていうことが普通にあるわけですよね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    自分がこの値段を出して買うことがあったとしても、世間の人たちからは「いや、それはさすがにいらないでしょう」って思われちゃうことがあるんですよね。たとえば、当時扱っていた保護ガラスもそうでした。昔はサファイアガラスというものがあって、それは普通のガラスよりも本当に固いんです。当然ですが、普通のガラスと違ってすごく高価なんですよね。

    「絶対に傷つかない」といえば、傷つかないんですよ。傷つくかどうかは、基本的にその固さ、どちらが固いかがポイントなんですけど、サファイアになると、ダイヤモンドなどでない限り傷つけられないんです。ただ、普通に保護ガラスにすると、やっぱり4、5万円するようになっちゃうんです。

    がじろう

    ほぉ。

    Hossy

    保護ガラスを付けても傷がつく可能性はありますよね。でも、これなら絶対に傷がつかないんです。先ほどお話したダイヤモンドでなら可能なんですが、基本は傷つかない。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    でも、4、5万円では、なかなか買わないというのが現状です。実は、以前ある事情でサファイアガラスをすごく安く仕入れられる機会があり、実際にプロジェクトを行なったことがあるんです。でも、通常のプロジェクトではこの値段で提供するのは難しいので、企画としてはなかなか通りにくいんですよね。

    がじろう

    はぁ。

    幻のプロダクツ

    Hossy

    10周年ということでイベントをやるにしても、そこに様々なお金をかけて行なうよりも、そういったことを考えずに、たとえ売れなくても面白いものを作って発表することで、トリニティが話題になったり、メディアに取り上げられたりして、NuAnsにもその話題が波及していけば、それはそれで面白いんじゃないかなと思ったんです。

    自分としてもぶっとんだ製品を作りたいという思いもあったので、10周年プロジェクトというのを立ち上げました。立ち上げといっても小さな会社なので、日常業務がある中で、普通とは違うもの、しかも利益にならない可能性が高いものというのは、直接的には広告宣伝費に換算すると違ってくるのかもしれないですけど、通常の社員だけではやりきれない部分もある。

    それで、僕が担当したんです。最初は、自転車を制作しようというアイデアがあって。

    がじろう

    へぇ。

    Hossy

    我々が創業当時から扱っていたBlueloungeというブランドがあります。NuAnsの時にも話に出ましたが、TENTがBlueloungeに提案した製品もありました。Blueloungeの創業者兼デザイナーであるドミニクという人物がいて、彼とはちょくちょくいろいろな話はしていたのですが、彼が「自転車を作りたい」みたいなことを言っていたんです。

    でも、やはりビジネス的にはなかなか難しい部分もあり、自転車は作れるなら作りたかったけれど、安全性なども考慮する必要がありますからね。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    なので、素人がいきなり作るには少しハードルが高いかなと感じました。ドミニクは欲しがっていましたが、自分自身はそこまでではありませんでしたね。自転車については一度企画で考えたのですが、やめたんです。

    僕は音楽を通じてMacに入り、Appleに触れたという経緯もあるのですが、オーディオも好きだったので、iPhoneやMacにつないで、すごく音質が良いヘッドホンアンプを作りたいという気持ちがありました。

    当時Appleもヘッドホンを出していなかったので。オーディオ製品は大量生産していくと、妥協しなければならない点が結構多いんです。だから、そこでめちゃくちゃ良いものを作って音楽を聴けたらいいなと思って作りたかったんです。MacもiPhoneも中ではデジタル音源をアナログに変換しています。

    実際に聴くときはアナログで聴くわけですから、このデジタルからアナログに変換し、アナログ信号をしっかり処理することで、最高のヘッドホンアンプを作れたらと。実際に作ると数十万円するようなものなので、10台、20台くらい作れればいいかなと。

    がじろう

    採算度外視で。

    Hossy

    欲しい人はもちろん買ってもらっていいし、自分自身がまず使いたいという思いもあって。それで、その時に本田雅一さんというですね、ジャーナリストの方がいて、彼とは昔からの長い付き合いがあるのですが、今ではAppleに呼ばれて発表会に出席したり、Apple本社で事前にiPhoneを見たり、エグゼクティブにインタビューしたりすることもあります。

    そういう意味ではPCとかIT系のジャーナリストのイメージがあるかもしれないんですけれども、出会った頃は、AV(オーディオ・アンド・ビジュアル)の評論家みたいなこともやっていました。

    がじろう

    へぇ。

    Hossy

    それで、オーディオ製品に関する記事を書いていたんですよ。これは別の機会に話そうと思いますが、たまたまその記事で書いている内容と僕が作りたいものが一致して、一緒に企画を進めたことがあったんです。というか、僕が一方的に作ってしまった、という感じなんですけどね。

    それで、本田さんに「10周年記念にこういうことをやりたいんです」と話していたら、名前を出しても大丈夫だと思うんですが、ソニーで音質を決めている方がいるんですね。何ていう肩書きだったか忘れちゃいましたけど、マイスターみたいな感じの。その金井さんという方がいらっしゃって、業界ではすごく有名で、知らない人はいないくらいの方なんですが、その方とつないでいただいたんです。

    金井さんももちろんソニーでずっと仕事をされてきた方なんですが、ソニーではできなかったことが、いろいろあるみたいで。

    がじろう

    うんうん。

    Hossy

    それで、金井さんもソニーに所属していた方なので、当時は金井さんの名前を出すことはできなかったんですが、いろいろとアイデアややり方をサポートしていただきました。もちろん金井さん本人も使えるような形のアンプを作ろうということで協力していただけるという話になってきたんですね。ただ、これもいくつか理由があって、残念ながら途中で頓挫してしまいました。

    というのも、こちらにはオーディオに関するノウハウが足りなさすぎて、どこでどのように、どう設計して作ればいいのか、というところがなかなか難しかったんです。ということで、前置きが長くなりましたが、10周年記念で自転車、ヘッドホンアンプときて。

    がじろう

    今はまだスマートフォンの話じゃないですよね。

    Hossy

    まだ始まってないんですが、この流れで重要な点として、10周年で採算度外視でやろうとしていたオーディオが絡んできました。そこで、本田さんと10周年の話をしていたんですが、それがNuAns NEOというスマートフォンを作る上で必要な要素でした。

    金井さんとのヘッドホンアンププロジェクトは最終的にはできなかったんですが、本田さんはIT系で何十年も取材をされてきた方です。マイクロソフトはもともとWindows PhoneっていうWindowsをベースにしたモバイルのOSを作っていたんですけれども、そこで新しいOSを出そうという動きがありました。ご存じの通り、今や世界のスマートフォンのOSシェアはほとんどiPhoneとAndroidが占めています。

    マイクロソフトもWindows 10というOSを出しました。Windows 95やWindows 98といった流れから来て、大きな節目となったOSです。Appleでいうとどうなんですかね、Windows自体あんまり詳しくなくて「違うよ」って言われちゃうかもしれないんですけれども、AppleもMac OS Xみたいな途中で全然コンセプトは違いますよみたいなのが出てきたのとちょっと似ているかもしれません。

    いずれにせよ、マイクロソフトがWindows 10を出し、Windows 10自体はPC用のOSでしたが、そのモバイル版としてWindows 10 MobileというOSを出していくことになりました。マイクロソフトは端末を自社ですべて作るのではなく、PCと同じように様々なメーカーにライセンスしてプラットフォームとして展開していくという戦略で、Windows 10のモバイル版をいろいろなメーカーに作ってもらおうとしていました。

    その時、本田さんが「10周年だから」という話をしていたのはもちろんですが、僕がなぜできると思ったのかよく分からないんですが、「10周年の企画でヘッドホンアンプが無理ならスマートフォンをやってみない?」と、わりと軽く言われたんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    ちょっと今ね、再確認したら、「そういう言い方はしてない」とか言われるかもしれないですけれども、僕の記憶では「スマホをやってみる?」ぐらいの感じで言ってきたんですよね。はい。

    NuAns NEO開発のきっかけ

    がじろう

    まず大前提。その前に自転車は壮大すぎるから諦めているんですよね。

    Hossy

    ああ、そうなんですよ。

    がじろう

    それで、「スマホどうなの?」と、きたと。

    Hossy

    そうですね。ちょっと自転車を諦めたのは、この本田さんとこのオーディオの話をする前のところで。本田さんと諦めたのはヘッドフォンアンプで。どうなんですかね。たぶん本田さんもこの後お話しするんですけれども、実際スマートフォンを本当にゼロから自分たちですべてを作るっていうのではなかったのをご存じだったので、「それで」っていうところもあるのかもしれないですね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    このリアル経営も、いつか僕の振り返りが終わったら、本田さんとかにゲストでお話ししてもらって、「なんで僕に勧めてくれたんですか?」って聞くのもいいかもしれません。多分、僕としては結構軽い感じで「やってみる?」って聞かれて、「スマートフォン作るって?」とは思ったんですけど、面白そうだなとは感じましたね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    もともとWindows 10もWindows 10 Mobileもよく分かっていなかったんです。けれど、「一度、ちゃんと話を聞いてみようか」と思って、日本のマイクロソフトの方々にいろいろご説明いただきました。

    がじろう

    はい。

    Windows 10 Mobileの魅力と可能性

    Hossy

    すごくテクニカルな話はなかなか理解できないとは思うんですけど、先ほどお話ししたWindows 10というPC用のOSのモバイル版についてですね。

    僕がこのWindows10で一番面白いなと思ったのは、iPhoneでもAndroidでも、当時はできなかったことです。iPhoneは今でもできませんが。

    スマホは先ほど言ったようにiPhoneとAndroidが席巻していましたが、逆にPCの世界でいうとWindowsが圧倒的なシェアですよね。Macと言っても数パーセントしかシェアがなくて。僕の周りはどうしてもなぜかAppleの人が多いんですけれど、基本的にはWindowsのほうが多いと思うんですけど。Windows 10のモバイル版ということで、スマホにもなりつつ、PCとしても使えるというような、一体型のコンセプトのものを説明されたんですよね。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    普通にこう外でモバイルのOSとしても使いつつ、ディスプレイとかキーボードとかマウスを繋げるとPCになりますっていうようなですね。

    がじろう

    はい、はい。

    Hossy

    Continuumという名前の機能で後々出てくる話なのですが、スマートフォンのパワーがかなり大きくなってきています。その中で、スマホでできることだけではなく、PCでできることもすべてできてしまう、という状況です。AppleはiPhoneとMacを別物としつつも、連携させることで非常にシームレスに使えるようにしています。

    しかし、このContinuumは逆に、もともとOSが一つで、それがPCでもスマホでも使えるというコンセプトなんです。当時のiPhoneとMacは今ほど連携ができていませんでした。たとえばMacで作業をしていて、「そろそろ出なきゃ」と外出する際、iPhoneで何かをしようとすると、クラウド経由で作業を進める形になります。

    しかし、このWindows Mobileの場合は、自宅やオフィスでスマホ自体にハブのようなものを介してディスプレイ、キーボード、マウスを繋げると、PCとして使うことができました。そのため、自宅やオフィスではPCとして作業し、それを外して外出すれば、今まで開いていたものがそのままモバイルとして使えるという形だったんです。

    クラウドで同期して開き直すような手間がまったくなく、これはすごく新しいなと感じました。

    がじろう

    確かに。

    Hossy

    実際、今もそうですね。2015年に出したものだから、もう10年くらい経ちますね。それで言うと、今でも僕が言ったようなことが本当にシームレスにできているかというと、まずiPhoneは無理ですよね。iPhoneはディスプレイにつないでも、ミラーリングと言って、iPhoneに映っているものをそのまま映すことしかできない。

    すごいパワーがあって、「世界最高のスマホです」と言っても、スマホの中だけで完結してしまうんです。サムスンが一部やってはいますが、AndroidもPCとシームレスに大きく変わるかというと、そうでもないかなという部分もあるので。そういった意味では、当時の思想が今でも完全に実現できていない、あるいは実現しづらいということですね。

    なので、仕事というくくりで言えば、かなり先進的だったなと思います。僕が使っていた当時で言うと、昔はAppleのノートPCってあまり良いものがなかったんですよ。今はMacBook Pro、iPad、iPhone、それに自宅にはMac Studioというデスクトップもあるのですが、これらはクラウドのおかげで、どれを使ってもあまり変わらずに作業できるようになりました。 

    昔のノートPCは、パナソニックのLet’s Noteのようなめちゃくちゃ軽いものや、Libretto、今はもうないですけど、富士通のLOOXといったモバイルPCにすごく良いものがあったんですよね。そのあたりはよく使っていました。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    やっぱり仕事で使うってすごく重要なところではあるので、ここでこういう新しい可能性があるものは面白いなと思ってました。

    がじろう

    確かにビジネスマン専用のスマホとして。

    Hossy

    はい。もしかするとマイクロソフトってXboxとかもそうですが、最初は低空飛行でも、徐々に改良して最後にひっくり返す、というようなことがあるんですよね。Windowsでも、Excel、Word、PowerPointは仕事をする人には必須のツールです。僕は正直、今はもう一切これらを使っていなくてGoogleのサービスを利用していますが、当時はこれらをうまくコントロールすることで、マイクロソフトが状況をひっくり返すこともあるんじゃないかと思っていました。

    それで、このWindows 10 MobileというOSに面白さを感じたんですね。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    それで、面白くても作れるか作れないかって話になると思うんですけど、マイクロソフトの方々に話を聞いてみて、自分にとってそれは面白いなと。先ほど言ったように、Continuumは面白いと思っても、自分でスマホを作るとはならないかなというところもあります。おそらくマイクロソフトもいろんな端末メーカーに作ってもらいたいんですよね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    PCと同じように。たとえばAppleは自社のハードウェアでしかOSを動かしません。マニアックな視点で見ると、昔はAppleがOSだけライセンスして、パイオニアなどの他メーカーが製品を作っていた時期もありました。ごく短い期間でしたが、その後やめてしまいました。Windowsはオープンにしているのに対し、Appleは自社でしか作らないクローズドな戦略をとっています。

    今もGoogleはAndroidをオープンにしていますが、AppleはiOSやmacOSを自社のハードウェアでしか動かさないクローズドな戦略です。結果として、世界的に見ればAndroidの方が圧倒的にシェアが高いですよね。日本は特殊な市場でiOSのシェアが高いですが、世界全体ではiOSのシェアは低いんです。

    PC業界でも同様に、WindowsはオープンでAppleはクローズドでした。スマートフォンも同じ戦略でいけば、ハードウェアは多様なメーカーが競い合い、工夫を凝らし、様々なアイデアを盛り込む。そしてOS側はMicrosoftがライセンス提供する、という形でやろうというのが、Microsoftの狙いだったのだと思います。

    当然、PCでは圧倒的なシェアを誇っていたので、製造メーカーにいろいろ頼んだと思います。頼む以前の設計段階で「簡単に作れるよ」ということを、この戦略を立てる時に決めていたのだと思います。基本的に中国で製造するのですが、「CTE(China Technology Ecosystem)」というプログラムがあり、これに沿って作ることで比較的簡単にスマートフォンを作れる仕組みをマイクロソフトが用意していたんですよね。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    これはスマートフォンって言っても、基本的にはパソコンと近いと言えば近い。通信する部分は通信する部分で。それで、どの国で販売するか、そしてCPUやメモリ、入出力の種類をどうするか、エントリーモデル、ミドルレンジモデル、ハイエンドモデルのように、松竹梅で選んでいく形です。そこの中でハイエンドだったらこういうCPU、SoCと一体化してるやつなんですけれども、その何番を使ってこうやっていきますって。

    中国には開発・製造を委託しているODM(Original Design Manufacturer)の会社がたくさんあって、そういった会社がこのCTEのプログラムに参加しています。そこの会社に我々のようなメーカーが「こういう仕様で」と伝えれば、ODM側は「ミドルレンジなので、プロセッサーはこれかこれですね」といった提案をしてくれます。もちろん自由度はありますが、「いくつ以上にしなければならない」といった制約の中で、「じゃあ、そこでいくつにしましょうか」と決めていきます。

    もともと出来合いもあって、すでにそのODMがリファレンスとして作っている既製品もあるので、そこに多少自分たちの特色を加えて選んでいくようなものを作ると、比較的簡単にスマートフォンを作れます。

    がじろう

    何かセミオーダーみたいなんで作っていけるっていう感じなんですね。

    Hossy

    そうなんですね。パソコンのセミオーダーと近い形だと思うんですよ。セミオーダーという通り、自分でケースを作ったり、たとえばマザーボードを作ったりする人はほとんどいないですよね。電源だって、どのメーカーのどの容量のものをチョイスするけど、電源自体は作らないのと同じです。

    このスマートフォンも基本的には、先ほどお話したSoCのグレードやメモリの容量を選ぶ形です。PCだったら、スロットがこれくらいあって、「このPCケースに収まるからこうです」といった仕組みがありますよね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    なので、比較的簡単に作れるという話でいくと、先ほどのようにセミオーダーしていくと作れるか作れないかで言ったら作れるんじゃないかなと思ったんですよね。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    ただ実際問題は本当に作るだけで簡単にできるのを目指していくのであれば、出来合いのリファレンスっていうモデルがあるので、そこを使えばすごく簡単にできたんですね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    比較的簡単に作れるっていうところで、スマホアクセサリーの時もそうでしたが、簡単に作れるという点だけで考えると、すでにできあがっているものを組み合わせるだけで作ったとして、僕らが作る意味ってあるのかな、となってしまうんですよね。なのでやっぱりNuAns NEOのように、基板も既存のものではなく、一から設計して作りましたし、外装も含めてすべて一から作っています。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    実際、さっきも言ったように、マイクロソフトが他のメーカーにいろいろオファーして、いろんなメーカーから実際スマートフォンが出ました。でも、日本においては僕が知る限りは本当に一から全部設計して作ったっていうWindows 10 Mobileのスマートフォンは他になかったと思います。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    外装を少し変えたり、スペックをリファレンスから少し変更したり、本当にロゴだけを入れたような製品ももちろんあったと思います。そういった形で製品が出されていたのですが、僕らは「自分たちが本当に欲しいものを作らなければならない」という思いがあったんです。だから、ODMの会社がリファレンスとして出してきたものをそのまま使うことは、最初からまったく考えていませんでした。

    作りたい構想や「やるならこのスペックだよね」といったことは、すでに決まっていましたね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    この回を収録する前に、改めて過去の時系列を確認してみたんです。NuAnsブランドの立ち上げが2015年4月頃で、マイクロソフトの方と最初にやり取りしたのは2015年2月頃なんですよね。だから、かなり時期が重なっていたんだと思います。通常のラインナップを発表して発売したのが4月で、それが少し落ち着いた5月頃から、本格的にこのプロジェクトを進め始めました。

    そして、実際に国内で発表したのが2015年、同じ年の10月。

    がじろう

    5ヶ月。

    Hossy

    実際には発表までは本当に5ヶ月ぐらいですか。

    がじろう

    へぇ〜! たった5ヶ月でスマートフォン!

    NuAns NEOが目指した「温かみ」と「触感」

    Hossy

    はい。かなり短い期間で行ないました。自分でも、こんなに早くできるのか、発表に間に合うのか、といった不安もありました。そこら辺の話はこれからしますが、ここでいったん時間が来たので、NuAns NEOでスマートフォンを始めた理由がありつつ、この決断をするまでの大きな要素は、僕としてはWindows 10 MobileというOSに未来を感じ、ゲームチェンジャーになると考えたからです。

    それに、マイクロソフト側が用意してくれた、比較的セミオーダーのような形で作れるということもあったので、「ここでやろう」という話になったんです。最後にもう一つだけ言うと、NuAnsのブランドを立ち上げた時にも話しましたが、やっぱりスマートフォン、もちろんiPhoneはずっと使っていたし、Apple好きで、OSも含めて素晴らしい製品だとは思っていました。

    でも、NuAnsのブランドを立ち上げた時のキーワードでもありますが、温かみとか、何かこう、触感が「触って気持ちいい」という感覚は、iPhone、Mac、iPadを含め、今でもないですよね。工業製品としてはもちろん素晴らしいのですが、自分としてはもう少し違う、温かみがあって、触感も楽しめる、そういったものが欲しいと、もともと思っていたんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    もしスマホ作るならみたいなことがぼんやりあったところで、ここで何かこう現実的になってきたので、「じゃあこういうものにしよう」っていうのをメモ帳にどんどん書き出していったら、なんかこれいいものになりそうだなって思えたので、そこで先ほどの要素と合わせて「これはやってみよう」と、なりましたと。

    すいません。また始まりの始まりの始まりぐらいのところで、第1回NuAns NEOの話は区切りとさせていただきます。

    がじろう

    来週はどのような内容を聞けるんですか? 

    Hossy

    来週はね。結局ここから実際に開発に入っていくんですよね。

    がじろう

    ちょっとじゃあ来週の冒頭に僕も事前に聞きたいのが、金銭的リスクをどれぐらい考えられてたのかとか、「10周年記念である程度損してもいいや」といっても、多分途中から話が変わってきていると思うんで、

    Hossy

    まあそうですね。

    がじろう

    何かその辺のお金の話はちょっと聞きたいですね。

    Hossy

    経営コンサルタントの人はすぐ金の話になりますね(笑)

    がじろう

    (笑)

    そうですね。どれだけ儲かったかのお金はそこまで興味ないですけど、本当に事業をやるのに相当リスクを背負ってるようなイメージなんで、比較的簡単だっていう説明は受けたんですけども。とはいえ、どれぐらいのリスクを背負ってやろうと思ったのかみたいな話、ちょっと聞きたいですね。

    Hossy

    そうですね。そこら辺も含めて、これからわりとどうしてもしょうがないんですけど、スマートフォンはですね、ストーリーとしては長くなるので、皆さん覚悟をしておいてください(笑)

    がじろう

    はい。

    Hossy

    なので今回はNuAns NEOの始まりの始まりというところぐらいで第1回は終わりとさせていただきますね。次は開発に入っていった後の話とかね。まあリスクとかね、どうだったっていうのを次回聞いてもらえればなと思います。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    というわけで、また来週も引き続きよろしくお願いします。

    がじろう

    よろしくお願いします。

    エンディング

    Hossy

    「リアル経営|企業経営の成功と失敗。等身大で語る台本なき社長のリアル」

    概要欄にこの番組のWebサイトへのリンクを張っております。 感想、メッセージ、リクエストなどそちらからいただければ嬉しいです。

    がじろう

    毎週金曜朝6時配信です。ぜひフォローお願いします。

    Hossy

    ここまでの相手は、Hossyこと星川哲視と

    がじろう

    がじろうでした。

    Hossy

    それではまた来週、お耳にかかりましょう。

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