News
letter

経営や趣味、時事などのブログ記事や、Podcastの発信を日々行なっています。ニュース登録をしていただければ、更新情報を配信していきますのでお気軽にご登録ください。(広告を配信することはありません)

About

星川哲視(Hossy)の個人サイト Hossy.org は、これまでの起業・経営・卒業など、さまざまな経験からの情報をブログ記事やPodcastなどさまざまな活動を通じてアウトプットするサイトです。

  • URLをコピーしました!

Episode 22|「ブランドストーリーのリアル|NuAns編」【Part 2】NuAns製品ラインナップ誕生。

【エピソード概要】

「NuAns」の製品開発の裏側を深掘りする。
工業製品では珍しいフェルト素材の採用や、機能性をデザインに落とし込むTENTの独自の手法。

コネクターを収納できるケーブル「BANDWIRE」や、一見バッテリーに見えない「ROLLDOCK」「TAGPLATE」など、革新的な製品が誕生するまでの苦悩と工夫。そして、照明とスピーカー、充電器、目覚まし時計を一つにまとめた「CONE」の、他では聞けない開発ストーリー。

困難を乗り越え、デザイン賞を受賞した製品群の魅力と、使う人の生活に寄り添うNuAnsの哲学が伝わる内容。

ご意見・ご感想・ご要望

Podcast:リアル経営」このエピソードに関するご意見・ご感想をぜひお寄せください。今後の配信の参考にさせていただきます。

    お名前 *

    ふりがな *

    番組内で紹介して良いですか?

    ご意見・ご感想 *

    Topic

    オープニング

    Hossy

    リアル経営|企業経営の成功と失敗、等身大で語る台本なき社長のリアル」

    この番組は、私、Hossyこと星川哲視が自らの体験をもとに、経営やその舞台裏などをリアルに語っていきます。

    リアル経営は、毎週金曜日朝6時に配信しています。

    Hossy

    おはようございます。自由人のHossyこと星川哲視です。

    がじろう

    おはようございます。STRKのがじろうです。

    Hossy

    今週も前回に引き続き、Simplismの次の「NuAns」、トリニティの2大ブランドだとは思いますが、NuAnsの第2回となります。

    がじろう

    よろしくお願いします。

    Hossy

    はい。

    がじろう

    これはちょっと、前回言い忘れてたんですけども、Simplismの商標が大変だったという話がありましたね。

    Hossy

    そうですね。

    がじろう

    それで、たまたま気前よく、元々取得していたところが、今使ってないから無償で提供してくれたというお話でしたね。

    Hossy

    そう、メガネの「和真」というブランドで、僕は目が悪くないんですが、もしメガネを作るとなったらもう和真でしか作りません。これはもう心に決めています、っていうぐらいありがたい形で無償で商標を使わせてもらうことができたので、Simplismというブランドが成り立ちました。

    もしそうでなかったらSimplismというブランドはなかった、というお話はしましたよね。

    がじろう

    はい。実は僕、フードロスの通販サイト「トクポチ」というのをやっているんですが、元々は「トクスル」という名前でやろうと思っていて。

    Hossy

    うん。

    がじろう

    それを商標で調べたところ、もう既に取得しているところがあったんですが、同じように既にそのサービスを何もやってなさそうで、業種も全然違ったので交渉しに行ったんですけど、その時はもう普通に「500万円で買い取ってください」みたいなことを言われて。

    Hossy

    あぁ。

    がじろう

    それで泣く泣く「トクスル」は使えず、今「トクポチ」に落ち着きました。

    Hossy

    はいはい。

    がじろう

    普通は本当にお金を取られて当たり前の中、その和真は太っ腹で。

    Hossy

    そうですね、権利を持ってて、使わなくても相手がどうしても欲しいと言ったら、「じゃあお金で解決する」となるのもわからなくはないですよね。

    がじろう

    まぁ普通のことですよね。

    Hossy

    それで、有名なのは「アイホン」ね。

    アメリカでは(iPhoneで商標が)取れても、日本ではアイホン株式会社っていうインターホンの会社が商標を持っていて、バッティングするから、Appleがこのアイホン株式会社にライセンス料を払って「iPhone」っていう名称を使っているっていう形なんだよね。

    これ、使ってない時だと、いろいろ異議申し立てできるんです。「取得したけど使ってないじゃないか」っていうのがあるんだけど、実際アイホンは使っていたっていうのもあって、やっぱりもうどうしようもないから、ライセンスして、1億円?

    がじろう

    毎年1億円って聞きました。

    Hossy

    それなりの額は払うという形になっているみたいですね。はい。

    TENTの製品開発の哲学

    Hossy

    というわけで、本当に商標というのは結構難しいところもありつつ、Simplismはラッキーな形でありがたいことに進められた、というところで、今回はNuAnsのお話としてですね、ブランドの成り立ち、特にTENTっていう2人組と出会ったこと。そこから始まったブランドで、心地良さとか温かみみたいなところを中心に、ものづくりをしていこうというブランドになった、というお話までをしました。

    がじろう

    そうですね。あとは、なるべくデジタルみたいな無機質な感じにならないように工夫していきたいね、というところで前回は終わりました。

    Hossy

    はい。TENTのすごいところの一つが、前回彼らは製品を自分たちで作って売っているというお話をしましたが、すごいのは、プロダクトデザイナーとしてプロダクトのデザインを最初のデザインとしてグラフィックで出してくるのと合わせて、試作まで作ってくるんですね。まず1回目で。

    実際の動きを紙とかそういったもので代替して、素材はもちろん違うんだけれども、動きとか、なんとなくの見た目はわかるようなものを必ず作ってきて。

    がじろう

    3Dで?

    Hossy

    いや、手作りで。手作りと言っても、見た目はそれでちゃんと綺麗にできていて、物としてもその場で触れるものを試作として作ってくる。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    すごいのはそこだけではなく、さらに言うと最終的に製品として出したものが、ほとんどそれと一緒なんです。

    がじろう

    予定通りに量産まで計算できているということですか?

    Hossy

    そうです。計算を本当にしているかはわかりませんが、彼らが出してきたものを作っていくと、最後に最初の試作品とほぼ同じ、というのが振り返ってみればすごいですね。

    がじろう

    これは多分、ものづくりを知らない人からすると、一発目の商品と量産とでは全然もう才能が違うじゃないですか。

    Hossy

    そうです。

    がじろう

    でも、そこも何か伝えないと、このすごさが。

    Hossy

    そうですね。普通はいろんなハードルがあるんですよね。構造上できないとか、実際に作ってみたら量産できない、うまくいかないとか、いろいろあるんですけれども、そこが本当になく、もちろんそれぞれの製品はかなり苦労しました。ただ、最終的には彼らが作った最初のデザイン、試作サンプルのものが、ほとんど変わらずに出てきたというのは、全製品に渡り、かなりすごいなと思ってます。微妙にサイズが違うなどはありますが、ほぼ同じです。

    がじろう

    すごい。

    MAGシリーズとフェルト素材への挑戦

    Hossy

    では、小さいものからいきましょうか。小さいものだと、マグネットを使ったMAGシリーズというのがあります。これは、前回お話ししたTENTと初めて会った時に、TENTが売り込みに来た製品がMAGシリーズに入っていたもので、簡単に言うと、小さなマグネットを基本とした製品です。

    iPhoneは今、USB-Cコネクターになってしまって使えなくなってしまいましたが、以前はLightningコネクターでした。LightningコネクターはApple純正品は磁石にくっつく仕様だったので、マグネットでLightningコネクターをくっつけて留めておく、というアイデアがMAG製品のシリーズなんですよね。

    がじろう

    ふんふん。

    Hossy

    今もその関係の製品はよくありますが、机の上でiPhoneを充電していました。充電器はコンセントからあって、ケーブルで伸ばしてきて、机の上でiPhoneを充電していました。それで、充電が終わって出かけようとケーブルを外しました。すると、ケーブルが「ポン」と机の下に落ちちゃった。

    それを拾ったという経験が誰しもあると思います。それを解決するために一番小さい形で作ったのが、この「MAGDOT」という製品です。マグネットの「マグ」に、点のね「ドット」という名前を組み合わせて。これが一番小さい製品なんですが、意外にすごく便利です。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    これをBlueloungeに提案したんですよね。それで、MAGシリーズというのを作りました。これは磁石がちゃんと付けばよかったので、そんなに難しい製品ではありませんでした。これが付いたマットを作って、MAGMATとかは、iPhone自体を置く場所としてマットがあって、その端っこにMAGDOTが付いているものなんですけれども、ここのポイントは、初代のこのNuAnsシリーズでは一つキーとなる素材としてフェルトを使っていたことです。

    フェルトってあまり工業製品では使われない素材なんですが、なんでかというと、変化するからですね。けばけばになったり、コントロールしにくいんです、毛がある素材なので。思いつくものであまりなくないですか? 工業製品だと。

    がじろう

    確かに工業製品ではないかもしれないですね。その編み物や手芸とかではもちろんありますが。

    Hossy

    だから使うとしても、何か小物入れとかお財布的な感じみたいなのはあるとしても、工業製品としては基本ないですし。

    がじろう

    僕は新卒の履歴書を送るのにフェルトで自分で封筒を作って送ったことがあるんですけど。

    Hossy

    目立つからってこと?

    がじろう

    そうそう。でも、それだと郵便局が受け取ってくれないので、結局その上にまた封筒をつけないとダメなんですよ。なので、そこにもう1枚、「なんか二度手間で本当に申し訳ないけど、僕には才能がないからこうやって目立つしかなかったんで許してください」みたいな手紙を添えて入れたら、一応受かりました。

    Hossy

    それは入社したところ?

    がじろう

    そうです。

    Hossy

    でも、それぐらい自分のアイデンティティを出すというのは面白いですね。

    がじろう

    だけど、それぐらいしかフェルトの思い出ではですね。

    Hossy

    やっぱりフェルトって毛が一定じゃないので、基本的に工業製品というのは一定の素材じゃないですか。たとえばガラスでも、ずっと上を触っても下を触ってもガラスはガラスだし、そんなにiPhoneの画面で右上と左下で触感が変わるなんてことがないじゃないですか。フェルトも、もちろん基本的な均一には作られているものの、やっぱり場所によって手触りが違うし、手触りの一つとしてフェルトを使いたいというのがTENTから提案があって。

    これが結構ね、本当は難しいんです。MAGMATはただのマットなので、たいして難しくはなかったんですけれども、後で話すバッテリーとか、そういったものはフェルトを使うのがすごく大変だったんですね。なのでフェルトというのが初代のシリーズの一つのキーポイントと、あとテクスチャーですね。表面加工というのが一つポイントになっています。

    がじろう

    そのテクスチャーの表面加工は、次元の時に出てきたやつもそのまま流用とかしているんですか?

    Hossy

    してないです。

    結局次元は日本でしか作れないので、今回も日本でしか作れないようなものにして、すごくこう手に取りにくくなっちゃうことはちょっと避けたかったので。

    がじろう

    へぇ。

    BANDWIREの誕生

    Hossy

    次にご紹介するのが、ケーブルのBANDWIREという名前で、バンドと線のワイヤーでBANDWIREと言うんですけれども、こちらは折り曲げてコネクターを収納できるケーブルだったんですね。

    短いケーブルで、使ってない時にはコネクターが収納されるものです。これは樹脂、プラスチックの一種を使った柔らかい素材なんですけれども、そこに表面に加工を入れて、普通の平らなプラスチック感や樹脂感をださないという形でつくったんですね。

    がじろう

    僕が初めてNuAnsの製品を見たのはこれかもしれないですね。それで「すげー」って、なんだかワクワクしましたね。

    Hossy

    やっぱり使ってない時にはコネクターを見せたくない、というのがここにまさに反映されている形で。テクスチャーの加工とかは試作にはなかったんですけれども、構造としては同じものが出来上がりました。これはUSB-Aという四角いコネクターとLightning、当時はUSB-Cでやるという時代じゃなかったので、USB-AとLightningを使ってない時には収納できる製品として作りました。

    USB-Cというのもその後作って発展していきました。今だから言いますけれども、このケーブルは本当は2種類で、2つ目は製品としてリリースできなかったんですが、このBANDWIREの欠点は、ケーブルが短いことでした。

    がじろう

    確かに。

    Hossy

    なので、「長いのが欲しい」という要望があって。BANDWIREはMacとかパソコンが隣にあって、その横で充電する時には、逆に長いと邪魔だということがあったので、短いものをあえて作ったんです。けれども、長いのが欲しい、長いのにすると、その収納をどうするか。ケーブルを使ってない時に、と。

    がじろう

    確かに

    Hossy

    いろいろやり続けたんですが、製品として出せるようなレベルにはいかなかったですね、残念ながら。なのでケーブルはBANDWIREのみになりました。

    モバイルバッテリー開発の裏側

    Hossy

    冒頭で「通電」と言えば、ケーブルと充電器とバッテリーが入ると言いましたけど、充電器はずっと作っていたんですけどね。世の中に出すことができませんでした。残念ながら。

    がじろう

    それは、どうしてですか?

    Hossy

    デザイン上は素晴らしいデザインが仕上がっていたんですよ。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    ですが、Simplismの回でもお話ししたように、安全性などをどこまで担保するかが課題でした。それから、ちょうどUSB-AからUSB-Cへの移行期で、テクノロジー的にもGaN(窒化ガリウム)という技術で、すごく小さくなる流れになっていました。開発しているうちに、我々のものは巨大な状態になってしまい、でも世の中はすごい小さくなっていたんです。

    テクノロジーの移り変わりに挟まれてしまい、「これ今、このサイズでこの仕様で出して本当にいいのかな?」という疑問がちょっと出てきたんです。

    がじろう

    最初にちょっと売れても、そのあと続かなければね。

    Hossy

    そうそう。それで、やっぱり長く使えるようにしたいなというのもあったので、いろいろやっていたんですけれども、実は充電器としては出すことができませんでした。これは本当に、TENTの責任ではなく、中国のテクノロジー側や安全性のところも含めた部分で、うまく製品化できなかった。

    モバイルバッテリーは2種類作りました。一つ目が「ROLLDOCK」です。

    「ロール」というのは、ぐるぐる巻くロールで、「ドック」はドッキングステーションのドックですね。フェルトをくるくる巻くと、バッテリーっぽくないけどバッテリーという、可愛らしいちょっと丸まった感じの製品なんですが、これをROLLDOCKという名前で。これはですね、製品をちょっと後でWebで見てもらうのが一番いいんですけれども、本当に使ってない時は全くバッテリーとは思えない。

    がじろう

    小銭入れケースみたいな。

    Hossy

    そうそう。フェルトだし、外から見てわからないので。商談の時でもだいたいみんな「これ何ですか?」って言われるんです。「実はこれ、バッテリーでこうやって充電できるんですよ」って言うと「おぉっ!」なるんですね。これも本当に使ってない時には、なんだかわからないけれども、フェルトの何かおしゃれな感じの小物みたいになっているのが、実はiPhoneを充電できると。

    ドックとしてバッテリー部分を枕にして置けるので、iPhoneを机に真っ平らに置くと、実は結構使いにくいんですよ。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    要は、自分が見ていると角度が真っ平らだと画面が見にくいじゃないですか。なので、ちょうど枕みたいな形で画面が上にこう上がってくるから見やすいんです。なので、iPhoneをちょこちょこ使いながら充電もできるドックとして使えますよ、というのを実現しました。実はバッテリーとケーブルが一体型の製品になっていて、ケーブルのように見えないフェルトの先っぽについている、というような製品です。

    これは相当チャレンジングで、こういうフェルトとか生地って、やっぱり工業製品に使われない理由として不確実性があるからです。伸びるんで寸法ぴったりにいかない。

    がじろう

    なるほど。

    Hossy

    なので工業製品では使われない理由はそこなんですけれども、手作り感が出ちゃうんですね。実際この製品は手で作るしかないんです。機械でできないので、布を貼っていくんですね、手で。その時にうまくサイズが合わない。あと、2枚の外側と内側に生地を接着剤でつけているんですけど、巻くという行為で、内側は縮まる方向に巻かれて、外側は伸ばされる方向に巻かれますよね。イメージはわかります?

    がじろう

    はいはい。

    Hossy

    2枚の布を貼り合わせてぐるぐる巻いた時に、内側は縮む方向に力がかかっていて、外側は引っ張られる。それがサイズを作る上で結構難しい。

    がじろう

    ほぉ。

    Hossy

    で、ちょっとでもずれるとうまく巻けない。これはね、結構中国の工場にはめちゃくちゃ嫌がられました。しかも、こういうバッテリーとか電気製品を作っている会社って、まさか布で巻かれるということが今までにないので、布を巻くことすらまず初めてだし、布を巻くやり方が分からないんですよね。実はこれ、バッテリー自体を作る会社と、布を作って巻く会社は別の会社なんです。

    がじろう

    なるほどなるほど。

    Hossy

    レザー製品とか布の製品を作っている会社がそっちを作って、バッテリーはバッテリーで作り、最後に合体させる。相当難しかったです。これは。

    がじろう

    これちょっと僕はあんまり分かってないのですが、先ほどその充電器はちょっと安全性のところでちょっと作り切れなかったというお話でしたが、バッテリーと充電器ってそんなに違うものなんですか。バッテリーは何か飛行機とかに持ち込んだらどうこうとかあるじゃないですか。

    Hossy

    ここ最近は、実際にそういうのが出てきたりしてるんだけど、回路としては、モバイルバッテリーって電圧がそもそも低いんだよね。普通の充電器っていうのは、今すごくテクニカルに言うと大変だから、シンプルに言うと、その当時で言えば、たとえば5Vという電圧があって、それで充電する。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    ただ、充電器の元は100Vで、ACから5VのDCに変換するとなると、かなりの熱変換が起きるんですよ。でも、バッテリーは3.7Vから5Vの間で変換するだけなので、熱変換が少ないんです。熱変換というか、電力変換ですね。電気の変換が少ないんです。

    がじろう

    熱が発生しづらいと。

    Hossy

    そこだけでいうとね。バッテリー充電時に熱は発生するものの、回路は比較的シンプルなんです。だからモバイルバッテリーって小さくて薄いものが多いと思うんですけど、やっぱりAC充電器とは結構回路が違うんですよね。なので、比較的簡単なんです。それで、最近だといろいろあって、中身をいじると燃えちゃったりすることが出てくるんですけど、モバイルバッテリーの方が回路としてはまだ簡易なんです。

    がじろう

    充電器を作らなかったという経営判断も結構大きいんですよね。

    Hossy

    作らなかったというよりも、作れなかった。

    がじろう

    それはもう無意識のうちに選択肢としてなかったんだと思いますけど、多分何も考えてないイケイケの社長だったら、とりあえず作って「売れてウェーイ!」ってなる人もいると思うんですよね。

    Hossy

    まぁ、そうね!

    がじろう

    結果リコールになってそれが回収できなくて倒産、みたいな会社を時々聞くので。そこをもう「そういうのはやらない」って決めていたというのも、結構危ない橋を渡らなかったというのは大きいかな、と、話を聞いていて思いました。

    Hossy

    はい。それは結果としてはそうなんですけど、実際には自分が欲しい状態になってなかったんです。つまり、胸を張って「これいいでしょ」って出せるかどうか。「これすごくない? いいでしょ?」って自信を持って言えなければ出せない、というのもあるんで。充電器は自分が本当にこれを使いたいかっていう話になるので、そこで出せなかった。

    結果として「売らないっていう経営判断」みたいなことが、カッコよく言えば言えるのかもしれません。ですけど、その時は自分が納得できるものにならなかったんで出せなかった、というのが正直なところですね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    はい。ROLLDOCKは本当に苦労して、こいつは一応第2世代まで作ったんですよね(未発売)。ですが、結構大変だったんです。

    それともう一つ、TAGPLATEという製品もモバイルバッテリーでありました。一応、基本的には1カテゴリ2つずつぐらい出したいというのがあって、毛色が違う形で。

    がじろう

    ふんふん。

    Hossy

    あと、TENTの中でも、たとえばROLLDOCKは青木さんのデザイン製品なんですよ。これはもしかしたら世の中にあまり知られていないかもしれませんが、TENTって言っても、もちろん二人なので、どちらかがメインでデザインする場合があります。もちろんお互いに情報交換したりディスカッションしてから出すとは思うんですけど、メインデザイナーがいるんです。

    それで、ROLLDOCKは青木さんがメインで、TAGPLATEは治田さんです。TAGPLATEは、プレートみたいな、ちょっと板みたいな感じのところに、タグというのは荷物とかについているタグみたいなもので、タグ部分がケーブルみたいになっていて、使ってない時に収納できるという、BANDWIREに似たようなものですね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    BANDWIREがバッテリーと合体しているようなイメージの製品ですね。TAGPLATEです。これはバッテリー容量が大きかったりするので、僕も長いことずっと使っていました。これもフェルトを巻いたタイプで、結構大変でしたね。1周巻くんですけど、生地を貼るとどうしても合わせ目ができてしまうんです。

    がじろう

    そうですね。

    Hossy

    その合わせ目が綺麗にいかないんですよ。

    がじろう

    伸びたり縮んだり。

    Hossy

    始まりの場所と終わりの場所がぴったりいかないといけない。手作業でしかできず、機械ではできないので、相当歩留まりが悪くて大変な製品だったんですけど、これは本当に素晴らしい製品ですね。巻くものがフェルトだったんですが、その後にはレザー調のものだったり、ちょっと面白いところでは、SHIBAFULというブランドとコラボして、芝生が巻かれているというものもあって。

    手触りの中ではダントツですよね。「芝生」みたいな。

    がじろう

    可愛いいし。

    Hossy

    はい。その後は、後で話すスマートフォンの「NuAns NEO」というシリーズを出した時に、さらに素材をいろいろ見つけてきていたので、その後に出したもので言うと、竹とか木とか、そういったものを巻くという感じで、色んなものを巻いていくことができたのが、このTAGPLATEという製品ですね。

    がじろう

    多分これHossyさん、知らないと思うんですけど、僕はTAGPLATEを手売りで20個は最低でも売っていると思います。

    Hossy

    どこで?

    がじろう

    伊勢丹新宿の8Fに並べていたと思うんですけど。

    Hossy

    はい、並べてました。

    がじろう

    そこに実は僕が入っていた会社の商品も並べていたんですけど、一切売れないので棚落ちしかけていたんで、繁忙期はもう土日ずっとそこに立って売り子してたんですよ。

    Hossy

    はいはい。

    がじろう

    たとえばiPhoneケースで16万とかする商品、やっぱり高すぎて全然売れないんですけど、その隣がちょうどこのNuAnsの商品ラインナップで。ちょうど頃合いの値段帯だったので、このTAGPLATEをずっと紹介して、足をとめてもらって、それも売るし、こっちも紹介する、みたいな。

    Hossy

    なるほど。ありがとうございます。でもやっぱりこれは売りやすかったと思うんですよね。

    がじろう

    売りやすかったですね。

    Hossy

    見た目が他と明らかに違うし、伊勢丹に来るお客さんは、やっぱりちょっと高くてもいいものを求めるじゃないですか。なので、伊勢丹ではすごく売れましたね。ということで、このTAGPLATEは僕が本当にずっと愛用してました。BANDWIREもTAGPLATEも、これはかなり使ってましたね。

    照明シリーズ「TILE」と「CONE」

    Hossy

    その次はですね、照明シリーズです。こちらも2種類作りまして、1つ目が「TILE」という製品です。名前の由来は、この製品は角が少し丸いのですが、上から見ると四角い正方形のような形がタイルっぽいんです。それでTILEにしました。この製品は直線をデザインのポイントにしていたので、タイルというのはTILEで、(字面として)みんな直線なんですね。

    がじろう

    おぉ、そこからも来てるんですね。

    Hossy

    もう1つはCONEですね、スピーカーを搭載しています。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    スピーカーは、音を出すところを、コーンっていうんですけど、それで、TILEとCONE。この製品の特にCONEのところで、TENTと結構揉めまして。ちょっと言い方は悪いですけど。

    がじろう

    議論した。

    Hossy

    というか、TILEは治田さん担当で、CONEは青木さんの担当でした。青木さんに僕が「こういうコンセプトのものが欲しい」と。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    普通はTILEとCONEの順で説明することが多いんですが、今回はこの流れなのでCONEからいきますね。CONEは僕がベッドサイドで欲しいものを集めて作った製品なんです。ベッドサイドで欲しいものって、まずは照明ですよね。まだ当時は全部電子書籍でもなかったし、寝る前に本や雑誌を読むのに照明が必要でした。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    もうひとつは、iPhoneを充電したり、寝る前に音楽を聴いたりするのにスピーカー、あと目覚まし時計が欲しいんです。この4つがベッドサイドにあると、製品が4つ並ぶことになりますよね。照明は照明、目覚まし時計は目覚まし時計、充電器は充電器、スピーカーはスピーカーと、それぞれ用意しなきゃいけないので、ベッドサイドがごちゃついてしまいます。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    それで、それを一つにしたいというのが、このCONEなんです。僕はデザインは思いついてないんですけど、「これが一つになったものが欲しい」って伝えたんですよ。そうしたら青木さんが「そういうのいらないんじゃないか?」と。

    がじろう

    そもそも。

    Hossy

    いや、そういうの欲しいかな、みたいな感じで、僕は結構「欲しい」って力説してたんですけど、ずっと「いらない」って言われて。

    がじろう

    なるほど。

    Hossy

    TILEはシンプルな照明と充電器。もう1つはCONEで、これはアプリまで作るっていう新しい形でやろうと。さっき言った目覚まし時計というのは、このCONEは、ドックっていう充電コネクターが付いていて、そこにiPhoneを挿すとアプリが起動するんですよ。自動でアプリが起動すると、それが目覚まし時計になるんです。

    それでiPhoneが目覚まし時計に変わりスピーカーが付いているから音を出せる、っていうものなんですけど、TILEは本当にシンプルに照明と充電だったので、治田さんがデザインしてくれて、かなりシンプルな形で。ちょっとスリムだったので、耐久性が結構難しかったですね。

    製造自体はかなり大変だったんですが、2つに共通しているのは、Lightningコネクターを使っていない時に、コネクターがドックから「ドーン」と上向きに出ているんですよね、普通は。それが嫌だったので、回転式のコネクターになっていて、回転してしまえるようにしました。

    がじろう

    ふ〜ん。

    Hossy

    そうすると、コネクターさえなければ普通の照明、使ってない時には普通の照明にしか見えないんです。だけど、ひとたび充電しようと思ったら、コネクターの部分をくるっと回すとコネクターが出てくるという。やっぱり使ってない時に生活に馴染むというのがポイントだったので、このTILEとCONEというのはコネクターを隠したい、というのがあったんですね。

    がじろう

    これちょっと聞きたいんですが、TENTさんとの関係って売上連動だったんですか?

    Hossy

    そうです。

    がじろう

    やっぱりそうですよね。そうじゃないと、そんなに「いらない」とか言わないですよね。

    Hossy

    売上連動だからというよりは、青木さんが「自分も欲しいか?」と考えた時に「自分は欲しくない」と。

    がじろう

    いや、もしデザイン1個作っていくら、みたいな契約だったら、社長の言うことを聞いておいて、とりあえず作ったらそれで売れなくても正直お金はもらえるじゃないですか。

    Hossy

    そうだね。

    がじろう

    だけど、売れるかどうかもちゃんと考えてくれてたのかな。

    Hossy

    そうですね。売れるかどうかもそうだし、やっぱり自分たちが、僕と青木さん、治田さんの3人が「欲しい」と思えるかどうかも大事です。これはちょっと僕が勝手に言うのもあれなんですけれども、僕の視点だけで言えば、青木さんは本当に情熱の人なんです。

    今がじろうが言ったように。でも、お金を出すのはトリニティじゃないですか。だから、そこの社長である僕が「絶対欲しい」って言っているのを受けて、「やります」ってなった方がいいじゃないですか。

    がじろう

    話は進みやすいですよね。

    Hossy

    そう。これは治田さんだったらやったと思うんです。

    がじろう

    なるほど(笑)

    Hossy

    青木さんが「いらない」って言うのは、それなりに尖ってると思いますね。普通は言わないですよ。この2人の性格とかいろんな成り立ちからすると、治田さんはいろんなことを受け止めて形にしていくんですけど、青木さんは本当に情熱の人だから、自分が「これ絶対いい!」って思わないとやらないんです。

    今はわからないですよ。その当時は青木さん、すごく尖ってたんです。

    がじろう

    面白いですね。

    Hossy

    ただ、覚えてるのはそこの言葉だけなんですが、「いらない」と。青木さんは当時、開発でかなり頻繁にTENTと会ってたんですけど、ある時「やっぱりいいかも」って言い始めて。これは治田さんは元々そういう感じだし、青木さんとお二人でTENTという体系になった時にそうなるのか、最終的にはね、何かしら形にするんですよ。

    それ以降の製品もそうなんですけど、僕が思っていたことをすべて形にしたデザインを作り上げてきてくれたのがCONEなんです。

    がじろう

    う〜ん。

    Hossy

    この製品は本当に素晴らしい。今でも欲しいくらいです。当時はLightningで作っていて、正直、Type-C版も進めていたんですが、製品を作っていた工場が倒産してしまって、継続して作ることができなくなりました。本当にこの製品は今でもすごく良い。TILEも充電に特化していて、シンプルで良かったし、CONEは個人的にすごく好きな製品で、LightningのiPhoneがなくなるまではずっと使っていました。

    アプリで細かいこだわりがいろいろあって、照明の明るさを変えられるのはもちろん、音楽で朝起きられるんですが、その時に照明もゆっくり一緒に明るくなっていくんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    寝る時も、「あと何分後に寝るから」と設定すると、音楽もゆっくりフェードアウトして小さくなっていって、それと合わせて照明もゆっくり消えていく、みたいなのが作り込まれていて。僕の中では「これはやったな」という、すごい製品でした。

    最後に言っておくと、ここら辺の製品を出して、展示会にも出して、デザイン賞をいろいろいただきました。日本だとグッドデザイン賞がありますけど、海外だとiFデザイン賞というドイツのデザイン賞があって、ここら辺を受賞している製品になります。はい。なので正直僕の記憶が正しければ、TENTがデザイン賞を取ったのは、おそらくここが初めてじゃないかなと思います。

    がじろう

    なるほど。

    Hossy

    TENTがまだ2人で活動されていた頃、デザイン賞もスマートフォン関係で新しいブランドを立ち上げて、という最初だったと思いますね。それで、このNuAnsの第1弾としては、ケーブルのBANDWIRE、バッテリーのTAGPLATEとROLLDOCK、それからMAGシリーズに3製品あって、MAGDOTとMAGMAT、MAGFIT。

    それと照明のTILEとCONEで、8個の製品でNuAnsというブランドをデビューさせたんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    発表会は代官山のTSUTAYAでやったんですよ。普通のガジェット系の発表会とは違って、すごくおしゃれな場所で。雰囲気がいいところでやったんですよね。これがNuAnsの第1弾です。今後の話もすると、NuAnsっていうブランドは、トリニティの歴史の中でも、僕自身の歴史の中でも、もう一大ブランドとしてすごく大きいんですけど、その中でも特に大きかったのが、次のNuAns NEOですね。

    スマートフォンを作ったんですよ。20名弱の会社がスマートフォンを作るっていうのは、かなり大きなことだと思うんですけど。一応、スマートフォンの次にもう一度WORKLIFEシリーズを作っていて、それがまた次に出てくるっていうことで、今回はNuAnsのデビュー作である第1弾のシリーズをご紹介しました。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    来週はスマートフォンのNuAns NEOです。

    がじろう

    そうですね。

    Hossy

    ここもちょっと長くなっちゃう気配がしておりますが、しょうがないですよね。

    がじろう

    それはそうでしょう。いや、僕、ホンマにこのさっき言った20人弱の会社がスマートフォンにチャレンジしているだけでも、僕はリスペクトだと思いますね。

    Hossy

    まぁ、どうやって始まったか、「なんでいきなり思いついたの?」みたいなところもね、よく聞かれるので、そこらへんも含めてお話を来週できればと思います。というわけで、来週もよろしくお願いします。

    がじろう

    よろしくお願いします。

    エンディング

    Hossy

    「リアル経営|企業経営の成功と失敗。等身大で語る台本なき社長のリアル」

    概要欄にこの番組のWebサイトへのリンクを張っております。 感想、メッセージ、リクエストなどそちらからいただければ嬉しいです。

    がじろう

    毎週金曜朝6時配信です。ぜひフォローお願いします。

    Hossy

    ここまでの相手は、Hossyこと星川哲視と

    がじろう

    がじろうでした。

    Hossy

    それではまた来週、お耳にかかりましょう。

    コメント

    サインインしてコメントする

    または
    Topic