News
letter

経営や趣味、時事などのブログ記事や、Podcastの発信を日々行なっています。ニュース登録をしていただければ、更新情報を配信していきますのでお気軽にご登録ください。(広告を配信することはありません)

About

星川哲視(Hossy)の個人サイト Hossy.org は、これまでの起業・経営・卒業など、さまざまな経験からの情報をブログ記事やPodcastなどさまざまな活動を通じてアウトプットするサイトです。

  • URLをコピーしました!

Episode 42|「輸入ブランドのリアル|Jawbone編」【Part 3】先駆的ライフログリストバンド「UP」

【エピソード概要】

Jawboneは、第3のプロダクトとして「ライフログリストバンド」である「Jawbone UP」を市場に投入した 。肥満問題や予防医療の観点から「運動・睡眠・食事」を記録し、自己の健康状態を定量化することをコンセプトに掲げる 。

初代はバッテリーの問題からイヤフォン端子で同期したが、UP24でBluetoothに対応し、UP3では心拍数など高度なセンサーを搭載するなど、劇的な進化を遂げた 。先駆的な存在として、Apple Watchなどのスマートウォッチのヘルスケア分野に大きな影響を与えたと推測している。

なぜ、ディスプレイすらないこのリストバンドが、世界中で爆発的なヒットを記録したのか。既存のスマートウォッチの源流とも言える、Jawbone UPが切り拓いたライフログの真価に迫る。

ご意見・ご感想・ご要望

Podcast:リアル経営」このエピソードに関するご意見・ご感想をぜひお寄せください。今後の配信の参考にさせていただきます。

    お名前 *

    ふりがな *

    番組内で紹介して良いですか?

    ご意見・ご感想 *

    Topic

    オープニング

    Hossy

    リアル経営|企業経営の成功と失敗、等身大で語る台本なき社長のリアル」

    この番組は、私、Hossyこと星川哲視が自らの体験をもとに、経営やその舞台裏などをリアルに語っていきます。

    リアル経営は、毎週金曜日朝6時に配信しています。

    Hossy

    おはようございます。自由人のHossyこと星川哲視です。

    がじろう

    おはようございます。STRKのがじろうです。

    ウェアブルへの大胆な拡張

    Hossy

    はい、前回まではJawboneの、もともとのオリジナルヘッドセットであるJawboneシリーズからICON、そして特に取り上げませんでしたがERAというシリーズもありましたが、その辺の話をしました。ヘッドセットを発売していたJawboneが、次にいきなりスピーカーのJAMBOXを出してきた、というところまでお話ししました。

    そして、Jawboneはここからさらに新しい分野へと進出します。驚きのピボット(方向転換)と言えるのかどうかは分かりませんが、前の製品がうまくいかなかったために転換するピボットというケースもありますよね。ただ、今回は拡張の仕方がかなり大胆で、Bluetoothヘッドセットから急にBluetoothスピーカーに変わり、さらに今回は「UP」という名前のウェアラブルを投入してきたんです。

    がじろう

    ほぉ。

    Hossy

    手首につける、今でいうウェアラブルバンドみたいな形で、当時はね、彼らの思想を反映させて、僕が付けた名前は「ライフログリストバンド」でした。彼らが一番最初にコンセプトとして言っていたのが「ライフログ」だったんだよね。

    がじろう

    生活の。

    Hossy

    リストバンドとして手首に付けておくだけで、自分の生活を記録していくことができるということで。もう本当に、JAMBOXが結構売れていた中で、次の製品ということで急に説明されたのがこのリストバンドです。驚きというか、こういうものを作ってくるんだというところがあって、すごい会社だなとは思いましたね。

    がじろう

    うん。しかもよくあるのは、何かで一つ当てた企業って、それをさらに超えるのを生み出すのってなかなか難しいじゃないですか。

    Hossy

    そうだよね。前回もね、ヘッドセットがうまくいっていたのに、さらにスピーカーを開発し、それもヒットさせるっていうね。

    がじろう

    そうですよね。それもすごいし。さらに3つ目ですもんね。

    Hossy

    そう。だから3部作として、実際売れたのは金額ベースでも数量ベースでもこの「UP」。3作目が一番売れたんですよ。

    がじろう

    すごい。

    Hossy

    売れたことの裏返しもあるので、そこはちょっと後で話しますね。

    このJawbone UP、実はこれ、すごく細かい話なんですけど、最初は「UP」と言っていたんですよ。それが、商標の問題か何かで「UP by Jawbone」と名前が変わったんです。だけど、日本語としてはちょっと長いし難しいじゃないですか。定着しないと困るので、メーカー名はJawboneだし、UPはUPなので、僕らはもう「Jawbone UP」という形で呼ぶようにしていました。

    がじろう

    うん。

    ライフログとヘルスケアへの問題意識

    Hossy

    当時は、ライフログというスタイルが少し定着し始めていて、自分の行動や睡眠などを数値化しようという動きが出てきていました。

    Fitbitという、今もあるメーカーで、今はGoogleに買収されたんですが、このFitbitというメーカーが、見た目は万歩計のようなクリップ型のデバイスを作っていました。それで歩数をカウントしたりすることができて、さらにスマートフォンと連携してデータを可視化できるというものが出ていたんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    そこでJawboneがそのさらに上をいく形で、リストバンド型の小さめのもので、歩数や睡眠などをこの加速度センサーを使って計測していくと。すべてアプリの中だけにデータが入ってくるので、リストバンド側にはディスプレイとかそういったものが一切ないというのが最大の特徴だったんですよね。

    がじろう

    ふんふん。

    Hossy

    これまでのJawboneと同じように、イヴ・ベアールというデザイナーがデザインをしていて、これまためちゃくちゃかっこいいというかオシャレというか、本当に素晴らしいデザインで、アクセサリーのような形でリストバンドを手首につけるということができるものでした。テクノロジー感はほとんどない。見た目としてね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    ただ、中には加速度センサーが使われていて、それを着けているだけで、日常生活での歩数や、それによって消費されるカロリーを記録してくれます。そして「寝る」という睡眠も測ってくれるんです。実際には「起きているか」「寝ているか」だけを測るものではないので。

    この二つを、ただ手首に、かっこよくておしゃれで、テクノロジー感のないデバイスをつけておくだけでいいというのがポイントでした。彼らがプレゼンテーションの最初で言っていたことですが、特にアメリカではそうですが、世界中で肥満が増えている、という背景があるんですね。

    がじろう

    はいはい。

    Hossy

    肥満が増えているうえに、それに伴うさまざまな病気が発生することで、医療費が高騰しているという話があります。実際、かなり前なので僕も具体的な数字は忘れてしまったんですが、もちろんプレゼンで数字を示しながら話をしていたんです。

    このように、世界はどんどん悪い方向に向かっている。その中で、基本となるのは「食べるもの」「運動」「睡眠」なんですよ。人間が健康で生きていくために必要なもの。これは今も昔も変わらないことですよね。

    がじろう

    そうですね、うん。

    Hossy

    ちょっとね、いつか僕もそれに気をつけてやっているので、そういったあたりもね、別の回で詳しくお話ししたいと思うんですけれども。UPは、この3つをコントロールすることで健康になります。

    主な機能としては、歩数と睡眠、つまり消費カロリーと睡眠を計測して、自分自身を見直しましょう、というのがこのUPのコンセプトだったんですね。

    がじろう

    ふ〜ん。

    初代UPの仕様と技術的制約

    Hossy

    コンセプトもそうだし、当時は本当にすごく美しいデザインのアプリで、初代は実はBluetoothではなく、イヤフォン端子にガチャッと繋いで音声信号で同期するという、ちょっと珍しい形でデータを送っていました。

    ポイントは、これもPodcastでなかなか製品をお見せできないのが心苦しいのですが、このバンドが比較的小さくて、細いんですよ。それぐらい、あまり存在感を出したくないというデザインが最初にあってのことだと思うんですが、そうすると、バッテリーをそこまで搭載できなかったんです。

    これ、2011年とかそれぐらいの話なんで、もう結構前なんですよね。今でこそ、小さくても長持ちできるとか、いろいろあるんですけど、当時はそこまでできなかったんです。なので、最初からBluetoothにすると、これはちょっと内部の技術の人が言っていたんですが、実際問題、10時間とか12時間くらいしかバッテリーが持たないという状況でした。

    がじろう

    なるほど。

    Hossy

    そうするとずっと着けているだけで勝手に記録していくというコンセプトから外れちゃうんだよね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    バッテリーがなくなって充電が必要になると、その充電している時間は記録できない時間になってしまうんですよね。ということで、初代と第2世代のモデルはイヤフォン端子を使っていました。そういった点から、UPは非常に面白い製品で、僕もすごいなと思いました。

    予防医療とApple Watchへの影響

    Hossy

    そして、生活習慣病を減らそうという社会的な課題もあり、予防医療という考え方があります。今もこのコンセプトは、日本でも厚生労働省などが提唱していますよね。病気になってから対応するのではなく、病気にならないようにしようという話の中で、食事と運動と睡眠という形で取り組もうと作られていたんです。

    がじろう

    う〜ん。

    Hossy

    なので、ちょっとこれは正確な情報ではなく、僕個人の想いというか、僕がそう思っていることなのですが、このUPという製品がきっかけで、後にAppleはApple Watchでヘルスケアという分野に切り込んでいったのだと思っています。今もApple Watchはスマートウォッチとしての機能はもちろんありますが、かなりの部分がヘルスケアに機能を割り当てていますよね。

    心拍数を取るというだけではなく、心電図(ECG)の機能があったり、酸素飽和度が測れたり、テクノロジーの進化とともにいろいろな形でヘルスケアの機能を追加していきました。この始まりは、僕はUPだったと思っています。

    先ほどお話ししたFitbitも、当初は万歩計のような感じだったので、クリップ式の最大のデメリットは「着替える時になくす」ことだったんです。

    がじろう

    うんうん。

    Hossy

    服にクリップでつけておくんですけれど、歩くとその振動をセンサーで拾って「何歩歩いています」という話になるんですが、だいたいなくしちゃうんですよ。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    はい。もうほとんどの人がなくしてしまうんですよね。ただ、Apple Watchって、そんなになくさないじゃないですか。常に腕に着けているから。それと同じように、なくさないというところもありつつ、常に着けておけるという点で、本当にこのUPはなかなかすごいものが出てきたなと、僕も個人的には思っていました。

    がじろう

    あと、たぶん日本よりもアメリカでの肥満の社会問題は、かなり深刻ですよね。

    Hossy

    そうですね、本当にここの市場はすごく大きくて、どういう経緯でこの製品を作り始めたのかはちょっとよくわからないんです。それに、センサー技術や、センサーで取得したデータから歩数をカウントするというのは、かなり高度なテクノロジーだと思います。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    それを最初に自分たちで作っていったというのは、なかなかすごいことだと思います。睡眠に関しても、睡眠を計測するというのをセンサーで、しかもこんなリストバンドくらいの大きさでやるというのは、なかなかありませんでしたね。とにかく、製品としてはもう素晴らしいものができてきたというところがあります。

    がじろう

    うんふん。

    UP24〜UP4への進化とNFC

    Hossy

    実際、僕もずっと使っていて。初代は、先ほど言ったようにヘッドホン端子を繋げる形で使っていたので、ちょっと面倒くさかったんです。それで、途中からUP24という、Bluetoothで最終的には同期できるデバイスが出てきたんですよね。これが2011年に初代が出た後、2013年にUP24が出てきて、ハードウェアを繋げなくても同期できるようになりました。

    その後、どんどん進化していって、UP2というモデルが出てきました。ちょっとこれ名前どうかな、とその時話していたんですけれども、24が出た後に今度「2」が出てくるから、少し似ていて分かりにくいんですよね。

    がじろう

    たしかに。

    Hossy

    「24」というのは24時間使えるという意味での24だったんだけれども、「UP2」は第2世代という意味で、ここでね、デザインが刷新されるんですよ。

    がじろう

    これもかっこいいっすね。

    Hossy

    そうなんですよ。UP24は、実はちょっと問題を抱えていて、UPもUP24もハードウェアの部分に課題があったんです。UP2は、その辺りを根本的に見直して、構造を大きく変えました。

    がじろう

    ふ〜ん。

    Hossy

    それで、見た目もデザインも含めてリニューアルして、これもかなりファッション寄りというかたちで完成しました。その後、「UP3」というモデルが出てくるんですね。「UP2」とは比較的近い時期に出たんですが、「UP3」は今のスマートウォッチの先駆けだと思います。というのも、「UP2」までは加速度センサーといって、動きだけをセンサーで感知していたんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    このセンサーの動きで、歩数や睡眠、そして歩数から消費カロリーなどを測っていたんですが、UP3では劇的に進化して、心拍数や皮膚温、発汗といったものまで取れるようになったんですよね。ただ、その代わりにセンサーが少し増えて、裏側に金属のセンサーがいくつか付いていて、そこから電気を通して心拍数などを測るんです。

    今のApple Watchなんかもこの辺は似たような仕組みで、皮膚から心拍数が取れます。Apple Watchは今、発汗は測れないと思いますが、逆に酸素飽和度などが測れるようになってきているので、少し違いますね。とはいえ、この2015年の段階で、心拍数や皮膚温、発汗に加え、もともとの加速度センサーも入っていたというのは、テクノロジー的には相当最先端をいっていたんですよね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    確か、この辺りで大きな資金調達を、もう少し前だったかもしれませんが、したんですよね。そして、この前後に医療機器向けの製品を作っていた会社を買収し、その技術を使って、今お話ししたようなセンサーを搭載して開発を進めていったんですよ。という感じで、とにかくどんどん進化していって、最終的にUP4というモデルが登場しました。

    このUP4あたりが、このシリーズの終着点になります。実は、このモデルは機能自体はあまり変わっていないんです。当時の、これもね、結果的に今につながる話なんですが、NFCという技術を搭載しました。NuAns NEOの時にも少し触れたかもしれませんが、分かりやすい例でいうと、スマートフォンの決済機能のようなものです。

    SuicaやEdy、iD、QUICPayといった、近接で通信する技術のことですね。これを搭載して、それで支払いができるというところにたどり着いたのがUP4なんですよ。

    がじろう

    それも早かったんですか? 世界的に見て。

    Hossy

    そうそう。だから、今はApple Watchでできるじゃない、みたいな話なんだけれども、Apple Watchがここまで進化するよりも、もっと前の話だからね。

    がじろう

    相当Appleに影響を与えている企業なんですね。

    Hossy

    そう思います。

    がじろう

    うん。

    Jawboneの成功要因とデザイン思想

    Hossy

    僕は、Appleはこの形が彼らにとってのAppleのデザイン思想や何かを含めて、本当はやりたかったんだと思うんですよね。ただ、少しイヴ・ベアールのデザインでアクセサリー感というか装飾感があるので、Appleのデザインとはちょっと方向性が違うんだけれども、すごくシンプルにしたものをAppleはやりたかったんじゃないかな。

    最終的に、Apple Watchというディスプレイを付けるところにいき着いたんですよね。ただ、初期は本当にヘルスケアについてはほとんど謳っていなくて、睡眠が計測できるようになったのも比較的最近ですし、ヘルスケア系というよりも、機能がすごいというところで売っていたんですよね。

    がじろう

    ふんふん。

    Hossy

    ちょっと方向性は違うんですけど、最終的にこのJawbone UPがApple Watchや今の他のウェアラブルのスマートウォッチに対して影響を与えたのは間違いないと僕は思います。本来、人々の健康って、さっき言ったように運動と睡眠と食事なんですよね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    今お話ししていたのは、運動と睡眠を記録して、自分を数値で定量化して見直す、ということですね。それを改善した時に、「なんとなくいつもよりも歩いているよね」とか、「なんとなくいつもよりも寝たよね」ではなく、数字としてわかるようにしようというのが、この定量化のコンセプトなんです。

    自分で努力したら、8,000歩だったのが1万歩になって、「1ヶ月平均するとこれぐらい伸びたね」みたいなのが、アプリで見られるようになっているんですよ。

    ただ、結果としてそういったものを定量化するんですけど、健康にすごく重要な「食事」というところが、リストバンドでは何を食べたのか一切分からないので、実はJawboneも、食事に対するアプローチとして、食事を記録するのをアプリだけで実現しようとしていたんです。

    がじろう

    それはもう別で。

    Hossy

    アプリ内で、同じ製品を使いながら食事の記録も統合できるという機能があったんですが、これだけは結構難しかったんです。自分でメニューから選ぶ必要があって。今なら何か写真を撮って、そこから自動で判別するようなのを想像できると思うんですが、この当時はね、メニューから選ぶんですよ。

    マクドナルドに行って、チーズバーガーとフライドポテトを食べたとしたら、それをメニューから選ぶんです。まずマクドナルドを選んで、次にチーズバーガーを選ぶ、といった流れで。当然ですが、日本で同じメニューがなければデータベースを別にしないといけない、ということになって。

    一時期、そういうデータを売っている会社があって、その会社からデータを買って入れたりしていたんですが、みんながチェーン店だけに行くわけではないし。

    がじろう

    そうですね。

    Hossy

    メニューも分からないものが多くて、当然手作りは無理だし、ということでやりかけて、僕もいろいろ協力してやっていたんだけど、そもそも入力が超面倒くさいし、結果として全然記録できないんですよね。自分で入力できるんだけれども、分かんないよね、自分が作ったラーメンのカロリーどれくらいだろうとかって。

    なので、ちょっと食事に関しては頑張ってみたけど、できなかったというのが苦い思い出というわけではないですが、僕も「それまでできたらいいよね」って言っていたんだけれども、結果できなかったというのがJawbone UPの製品全体の話かな。

    がじろう

    このJawboneってトータルで10億ぐらい資金調達したんですか? 10億ドル?

    Hossy

    そうだね。最終的にはちょっとそこら辺は、これから別のところで詳しく話していきますけれども、いわゆるユニコーン企業みたいに、かなり大きな資金調達をして、さっき言ったように医療機器メーカーを買収し、その技術を導入するといった形で進めています。

    実際、これはめちゃくちゃ大きな市場で、アメリカだけでも相当大きいですし、世界で考えると、この段階ではリストバンド型のこういう製品は本当になかったんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    なので、うまく展開することができれば、世界でもかなりの売り上げ規模になり、会社自体も当然巨大化するぐらいの、ものすごいポテンシャルを秘めていたと思います。

    がじろう

    今、JawboneのUPシリーズの特徴を教えてもらいましたが、UP以外も含めて、Hossyさんが思う、Jawboneがこれほど成功しているポイントは何でしょうか? 話を聞いていると、デザインという言葉がHossyさんからよく出てくるように感じました。

    Hossy

    そうですね、ただデザインだけで売れていたわけではないんですよね。ちょっと話が脱線しますが、やはりデザインだけで勝負している家電メーカー、いわゆるデザイン家電のようなものは、だいたいうまくいかないんですよ。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    見た目だけに付加価値を置いても、だいたいうまくいかない。そこにはまず、製品としての本来の価値がしっかりあることが大切なんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    初代のJawboneのヘッドセットで言えば、骨伝導によって、車に乗って運転していて風切り音が鳴ったり、車のゴーっという音がしていても、相手に自分の声がクリアに伝わるという、明確な結果とユーザーが期待している機能がありました。

    JAMBOXもこれまでのBluetoothスピーカーにはない音質と、バッテリーライフ、そしてテクノロジーを使った通話など、いろいろなことができた上で、このUPもそれまでにはなかった、センサー技術を使って活動と睡眠を記録できるものでした。

    この3つに共通するところとして、彼らはヘッドセットを「イヤーウェア」と呼んでいましたが、アクセサリーのように使えるということ。テクノロジー感が出過ぎて、すごく格好いい服を着ているのに耳だけダサい、というようなことにならない。スピーカーも同様に、置いておいてもインテリアとして十分成り立つ、という点がありました。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    UPもテクノロジーは使っているんだけど、アクセサリーみたいに手首につけておくだけで記録できるっていうのがポイントだよね。デザインは最終的な製品の価値を上げているけれども、デザインだけで売れているわけじゃないんですよ。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    僕が本当に一番惹かれたのはそこなんです。めちゃくちゃかっこいいというだけでは買わないですよね。そこにちゃんと機能だったり、独自のものがあって、価値を感じられる。その上でデザインがプラスされてすごく良い、というのが僕が一番好きなタイプなんです。だからJawboneはずっとそういう製品を出していて、これはもう本当にイヴ・ベアールの力だと思います。

    製品については、社内の企画会議に参加させてもらったわけではなく、できあがったものを紹介されているだけなので、どういう経緯で急にヘッドセットからスピーカーへ、そしてスピーカーからセンサー技術とリストバンド型になったのかは、本当に全然わからないんですけれども、3部作があって、3つ目が一番売れて世界中に衝撃を与えた製品だった、というのは間違いないですね。

    がじろう

    時代の変わり目を捉えるのがうまい、という感じですね。Hossyさんの話を聞いていると、一番最初の時、携帯が普及することで車を運転しながら電話する人が増えたというところを、世の中の人の生活が変わった瞬間に、さっと手を差し伸べた商品だなと感じます。

    Hossy

    そうですね。

    がじろう

    ちょっとうろ覚えなんですけど、たぶん2000年前半ぐらいに、肥満の遺伝的な理由は30%ぐらいで、70%ぐらいはその人の食生活だ、みたいな発表があったんですよね。その時に、「もう結局自己責任じゃん」ってなって、ある程度の肥満はリストラの対象にするかもよ、みたいなニュースになってたんです。

    Hossy

    アメリカには、そういう考え方があるよね。自分で自己コントロールができない人は、最近はどうか知らないけど、以前はね、管理職になれないという風潮があった。なぜなら、自己管理ができない人は、マネージメントもできないと考えられていたから、みたいなのがあったよね。

    がじろう

    そうですよね。そういった何かの変わり目を、技術とデザインでさっときちんと捉えている、そんなイメージがありますね。

    Hossy

    そうですね。

    日本市場での反響

    Hossy

    ということで、事前に彼らといろいろ準備をしながら、日本で、そして世界でもデビューをするというところだったんですけれども、僕が思っていたすごさは、日本においても多くの人に受け入れられて、発表した時にはものすごい反響がありました。

    実際、予約販売をしたんですけれども、ちょっと値段としては高かったから、JAMBOXだったり、ヘッドセットもそうだったけれども、数としては安いものよりは売れないんじゃないかなと思ったんだけど、ヘッドセットとスピーカーとUPの明らかに違うところは、Bluetoothヘッドセット、Bluetoothスピーカーというのは自体は世の中にあったんだよね。

    もちろんね、さっき言ったようないろんな差別化はあるにせよ、一言でいうと他にもあったんだよね。

    がじろう

    なるほど。

    Hossy

    だけど、UPというのは同じものがなかったんだよね。そこが僕が思っていたよりも人々が絶対これが欲しくて、これしかなくて、安いものの代わりがないと。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    そこがポイントだったんじゃないかなと思います。僕が最初にJawboneと話していたときには、1ヶ月に1万台か2万台くらいはいけるんじゃないかな、という見込みだったんですよね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    やっぱり、万歩計が、どちらかと言うとこれに近い製品なんだけど、まぁ実際は全然違うんだけれどもね。それで、万歩計って2、3,000円くらいのものから1万円を超えてくるくらいで。

    でも、このUP24というBluetoothを搭載したモデルだと、確か16,000円とか17,000円くらいしていたかな。結構高い製品だったんだよね。だからそこまではさすがにいかないだろうって思ったんだけれども、実際蓋を開けてみると、ものすごい反響と売れ行きがあったというところがUPの製品周りのところになります。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    ということで、今回は、まずそもそも製品がいかにすごいか、そして世界を変える可能性があるぐらいの製品になったということをしっかり伝えたかったので、長くなってしまったんですが、ひとまず今回は「製品編」として区切らせていただきます。

    最後に言った通り、「思ったよりすごい売れました」の続きとして、まず僕らが量販店にどう展開していったのか、バイヤーの反応や、実際店舗展開してどうだったか、そしてその後起こったいくつかの事件など、その辺りの話を次回させてもらえればなと思っています。

    がじろう

    了解です。楽しみです。

    Hossy

    というわけで、Jawboneシリーズについては少し長くなりますが、もうしばらくお付き合いいただければと思います。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    ではまた来週よろしくお願いします。

    がじろう

    よろしくお願いします。

    エンディング

    Hossy

    リアル経営|企業経営の成功と失敗。等身大で語る台本なき社長のリアル」

    概要欄にこの番組のWebサイトへのリンクを張っております。 感想、メッセージ、リクエストなどそちらからいただければ嬉しいです。

    がじろう

    毎週金曜朝6時配信です。ぜひフォローお願いします。

    Hossy

    ここまでの相手は、Hossyこと星川哲視と

    がじろう

    がじろうでした。

    Hossy

    それではまた来週、お耳にかかりましょう。 

    コメント

    サインインしてコメントする

    または
    Topic