News
letter

経営や趣味、時事などのブログ記事や、Podcastの発信を日々行なっています。ニュース登録をしていただければ、更新情報を配信していきますのでお気軽にご登録ください。(広告を配信することはありません)

About

星川哲視(Hossy)の個人サイト Hossy.org は、これまでの起業・経営・卒業など、さまざまな経験からの情報をブログ記事やPodcastなどさまざまな活動を通じてアウトプットするサイトです。

Blogs

  • URLをコピーしました!

2026年衆院選。消費税減税の先にある実質賃金という本丸

第51回衆議院議員総選挙が、2026年1月27日に公示され、2月8日に投開票となりました。定数は465(小選挙区289、比例代表176)。立候補者数は1,285名、高市早苗首相率いる与党自民党と、立憲民主党・公明党が統合して発足した中道改革連合を中心とする野党との対決構図となりました。主な争点は物価高対策としての消費税減税になっています。2月が投開票日となるのは実に36年ぶりとのことです。

Topic

コストをかけて、何を決める選挙なのか

衆院議員の任期は4年ですが、解散があるので実質的には「いつでも選挙が来る」仕組みになっています。日本政治のカレンダーは、壁掛けではなく、首相の引き出しの中にあると言われるゆえんです。

その結果、選挙は政策を問う場であると同時に、政局のリセットボタンにもなります。選挙はコストも時間もかかりますし、だいたい1回の総選挙で600億円規模の公費が動きます。特に与党自民党に閣外協力している日本維新の会は「身を切る改革」として議員定数削減を公約にしていましたが、その削減額は約40億円です。それを余裕で上回る費用を使うということですから、なかなか面白い構造です。

税金で運営される巨大イベントとして、費用対効果として考えて割に合うかどうかは別として、やる以上は「何を決めるための選挙か」が問われることになります。

高市首相が選挙に踏み切るしかなかった事情

今回の衆院選は、当初解散は考えておらず、予算成立に向けて邁進していくという姿勢を表明していた高市早苗首相が、ある意味切羽詰まって解散に踏み切った形です。言っていることが違うじゃないかと揶揄するのは簡単ですが、時と場合に応じて臨機応変に動くことも必要だと思います。

高市首相が就任する前にすでに自民党は少数与党に転落しており、自党だけで法案を通すことができない状態だったところで、信条的なところもあって公明党と袂を分かち、日本維新の会と与党運営をしてきましたが、なかなか思ったようにいかない。

自民党は維新や国民民主と比べれば議席数では圧倒的に多いのに、少数政党の顔色を窺わないと法案を通すことができないというのは本当にやりたかったことではなかったのだと思います。

政治家の仕事は本来、決めることです。決められない状況が続くなら、どこかで線を引かないといけない。本当にやりたかったことをやるために、現在の高い支持率の間に、自分に任せて欲しいと訴える選挙だという風に理解しています。

もちろん、批判は出ます。大義が薄い、党利党略だ、と。でも政治は、理想だけで動かない現場でもありますので、ここで勝つためには「今しかない」のだと思います。

中道改革連合という合流が示すもの

今回、立憲民主党と公明党が統合して中道改革連合になったことも、同じ文脈で見るべきだと思います。理屈としては政策の親和性、現実としては選挙の生存戦略。きれいごとで言えば「分断の克服」ですが、もっと正直に言えば「議席の最適化」です。

結局のところは政治家を目指す人のほとんどは、何かをより良くしたい、改革したいと考えています。それを実現するためには、大同小異、ある程度の波風は覚悟の上でそれでも中心をぶらさずにやっていこうというのが、中道改革連合の理なのだと思います。それはそれで、十分理解できることです。

そして、野党が割れていると、与党に対抗する以前に自滅します。逆に、塊になれば争点設定ができます。中道改革連合が掲げる「生活者ファースト」や「食料品の消費税ゼロ」は、まさに分かりやすい政策だったのだと思います。誰にでもわかりやすい。レジで「税がゼロです」と言われたら、支払う金額が下がっていることを実感できます。

ただ、中道改革連合にとっては予想外の展開になってしまっています。

消費税減税が主役になった選挙で何を選ぶか

今回の選挙戦で最大の争点は、ほぼ間違いなく消費税減税です。食料品ゼロ、時限的な引き下げ、一律5%、いろいろなバリエーションがありますが、共通するのは「まず下げる」です。各党の政策が似てくると、選挙は微妙な差分を探すゲームになります。各社スマートフォンの仕様比較表みたいになっていきます。前述の中道改革連合も、まさか自民党まで同じことを言ってくるとは思っていなかったはずです。自民党はそもそもは消費税減税に否定的で、給付付き税額控除がメインだったからです。

多少やり方の違いはあれど、ほとんどの政党が消費税減税になってしまったので、税率や手法の細かい論争をしても、あまり違いが出なくなってしまいました。

ただ、ここには大きなねじれがあります。選挙までの期間が短かったということもあり、各党ともに明確な財源の提示がないままに公約に盛り込んでしまっています。一部、財源案はあったとしても検証されたものではなく、それで賄えたらいいな、程度です。

仮に5兆円規模の減税を恒久的にやる。すると明確に同等の財源がなければ国の借金とも言える国債発行が増え、将来の財政不安から金利が上がり、通貨が売られやすくなります。結果として円安が進み、輸入物価が上がって、物価高が戻ってくることになります。元々物価高対策のつもりが、物価高を招くという状態になりかねないのです。

直近、為替介入らしき動きで一時的に円高に振れていますが、これをもって問題ないとは言い切れません。為替介入は単なるカンフル剤です。効いている間は気持ちよくても、根本治療ではない。むしろ、介入で得られる「瞬間的な安心感」は、減税の議論をさらに加速させます。

減税より先に見るべきは実質賃金の上昇

物価高対策というと絶対的に善のような風潮になっていますが、そもそも適度なインフレは経済成長の一部です。問題はインフレそのものではなく、賃金が追いつかないことです。実質賃金が伸びないまま物価だけ上がると、生活は痩せていくからです。

だから本丸は、減税そのものよりも「実質賃金を上げる設計」です。日本の企業の業績はここ最近右肩上がりで、預貯金も積み増されています。現在のインフレ率が3%程度(2025年度)だとしたら、それを上回る5%程度の賃金上昇率があれば、人々は生活に困らなくなるわけです。

つまり、賃上げを促す構造、労働生産性を上げる投資、成長分野への人材移動、価格転嫁ができる取引慣行など、地道な取り組みが求められます。なかなか今年度中に実現できます、というほどの即効性がない分、選挙のキャッチコピーには向きません。それでも、日本という国が人口減少をしていく中では、実質賃金の増加がない限りは衰退していくしかありません。

政策が似てきたときこそ、見るべき差分は別の場所にある

この選挙戦で本当に見るべきは、消費税の数字そのものではなく、その先にある「生活の伸びしろ」を各党がどう設計しようとしているのか、という点だと思います。減税は分かりやすい入口ですが、それだけで長期的に生活が良くなるほど経済は単純ではありません。

賃金が持続的に上がるのか、成長の果実が一部に偏らず広く行き渡るのか、その道筋を具体的に語れているかが重要です。聞こえの良い言葉に安心するのではなく、その裏側にある設計図まで読み取る。今回の衆院選は、有権者にそうした少し骨のある判断を求めているように感じます。

“The most serious mistakes are not being made as a result of wrong answers. The truly dangerous thing is asking the wrong question.” — Peter F. Drucker 「もっとも重大な過ちは、間違った答えを出すことではない。真に恐るべきことは、間違った問いを問うことだ」

企業経営の観点でいけば、借金をし続けて継続的に操業はできないのはあたりまえです。利息は払わなければいけないし、最終的にはどこかで元本も返さなければいけない。それができなければ、ビジネスの領域で生き残っていけない。短期的に国債が増えても、いますぐ日本が破綻するわけではない、だから選挙に勝つために響きやすい減税を唱える。これは、日本国民としては舐められているということです。

幸い、日経新聞によると、消費税減税は効果がないなど否定的な世論調査が出ているようです。では、どこで投票する政党や候補者を決めるのか。毎回、難しい問題ですね。

この記事をいいね!する

コメント

サインインしてコメントする

または

著者

Author

Hossy.orgは、星川哲視(Hossy)のこれまでの起業・経営・卒業など、さまざまな経験からの情報をブログ記事やPodcastなどさまざまな活動を通じてアウトプットするサイトです。

星川哲視

星川哲視

デジタルライフプロダクトを取り扱うトリニティ株式会社を起業、約20年経営の後「卒業」。

スマートフォン向けカジュアルゲーム企画・開発会社エウレカスタジオ株式会社代表取締役、投資会社コスモスタジオ代表取締役を兼任。

詳しく見る

Topic