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経営や趣味、時事などのブログ記事や、Podcastの発信を日々行なっています。ニュース登録をしていただければ、更新情報を配信していきますのでお気軽にご登録ください。(広告を配信することはありません)
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以前に記事で書いたとおり、私は普段からPodcastを聴いていますし、その中には定期的にフォローしている番組もいくつかあります。その中の一つが「経営中毒」でした。他に聞いているPodcast番組はあれど、この経営中毒は私が自分自身でもPodcastをやろうと思ったきっかけになった番組でもあります。

この経営中毒のパーソナリティの一人である徳谷氏は経営コンサルタントで、自らの体験を踏まえながら番組の主軸として語っており、もう一人の野村氏はどちらかというと聞き役でもありつつうまく話を構成したり徳谷氏から面白い逸話を引き出していたと思います。

番組開始当初は、徳谷氏の起業前後の具体的な経験や苦労したことなどを赤裸々に語っていて、これは本当に面白い番組だと思っていました。しかし、回を重ねるごとに、私には体験談の温度が薄れ、一般論の比率が増えていったように聞こえました。少なくとも私が「経営中毒」という言葉から期待していた生々しさとは、ズレてきたと感じてきました。元々のサブキャッチコピーが「誰にも言えない社長の孤独」でしたから、誰にも言えない赤裸々な内容が出てくるものと思っていたからです。
そういう意味では、聞いていて当初感じていた魅力が少しずつ薄れてきていましたので、期待も込めてXに投稿したこともあります(ただ、もうその時には「リアル経営」を始めていましたが)。そんなところから、私が会社を卒業し、しがらみもなくなるので実際にあったことを中心に、将来的に自分の話ではないトピックがあったとしても実務的で具体的な話をする番組を作ろうと思い立ったのです。
その経緯はさておき、経営中毒は長く続いてきた番組であり、受賞や書籍化もあったことから、一定の支持を得ていた番組だったと言えると思います。

ところが、ここで突然の出来事が発生します。
Podcast番組「経営中毒」が突然休止すると聞いたとき、正直なところ、私はそこまで深刻な事態だとは思いませんでした。

番組内で徳谷氏が語っていた説明をそのまま受け取る限り、話の筋は大きな問題ではないように聞こえたからです。
代理店が暴走した可能性があること、制度の解釈にズレがあったかもしれないこと、そして自社としては社労士など専門家に相談し、問題ないと判断して進めていたこと。そうした説明を聞く限りでは、よくあるとまでは言わないまでも、経営の現場では起こり得るトラブルの一つ、という印象でした。

むしろ私は、その内容で番組を休止する必要があるのだろうか、という違和感の方が強かったです。少なくともPodcastを聞いているリスナーの立場からすれば、番組の中で語られていたのは反省と説明であって、逃げや隠蔽のようには感じませんでした。だからこそ、この話題についてブログを書こうとしたときも、「惜しまれつつ一時休止する人気番組」という文脈でまとめるつもりでいました。
ところが、その後に一次情報や複数の報道、専門メディアの記事を読み始めると、その風景は一変しました。同じ出来事を扱っているはずなのに、そこに描かれている世界は、Podcastで語られていたものとはまるで別物だったのです。


東京労働局が公表している資料や、労務分野を専門とするメディアの記事を追っていくと、問題は単なる解釈の違いや現場のいき違いといったレベルではありませんでした。
さらにこの問題を大きく取り上げているメディアもあり、一次情報とあわせて読むと、「不正受給への関与」として公表されている事実が、経営中毒で語られている内容や、エッグフォワード社のウェブサイトに記載されている説明とは大きく異なっていることが分かります。



構造として示されていたのは、助成金制度を前提に組み立てられた仕組みです。研修を実施するという名目の裏で、実質的な自己負担が発生しない、あるいは逆に利益が出るような流れが設計されていました。

その全体像を見たとき、私の中で最初に浮かんだ感情は、思っていた以上に重大な話だということでした。公表資料には「不正受給への関与」と明記されていたからです。
そして、金額の規模についても軽視できるものではありません。報道によって示されている金額には幅がありますが、全国各地の不正受給総額や推計で20億円弱だということです。総額は推計であり一次情報ではないのですが、いくつか調べたところ、研修という利益率の高い役務提供を通じて多額の助成金が動いていたことは、その他の公開情報からも確認できる事実です。
この点については、単なる認識のズレとして済ませることはできないと感じました。
ここで問題だと感じたのは、法律違反かどうかという点だけではありません。Podcastで語られていた説明と、一次情報から読み取れる事実とのあいだに、あまりにも深い溝があったことです。代理店の暴走という説明は、部分的には事実なのかもしれません。しかし、制度の仕組みを理解し、その上で成り立っていた構造を見ると、果たしてそれをすべて外部のせいにできるのか、という疑問が残ります。

そもそも、厚生労働省が公開しているドキュメントでは「エッグフォワード株式会社は不正のスキームを考案し、訓練委託元企業に提案するなど、不正受給に関与していた。」と明記してあるのです。公共機関がここまで名指しで書くというのは相当なことだと思います。

また、社労士に相談して問題ないと言われていた、という説明についても同様です。相談したという行為そのものと、その相談が全体構造を正確に把握した上で行なわれていたかどうかは別の話ですし、具体的にどこにどのような質問をしてどのような回答を得ていたかは、厚生労働省の調査で回答をしているはずです。その結果として厚生労働省が不正受給と認定し、社名を公表するに至った以上、「知らなかった」「聞いていた」という説明だけでは、成り立たないと感じました。
私は冒頭に書いたように不満はあったり、別の番組を立ち上げたということもありつつ、経営中毒という番組自体は好きでしたし、野村氏とのやりとりも微笑ましいものがありました。だからこそ、最初は番組が戻ってくることを、どこかで期待していたのだと思います。しばらく休んで、整理がついたらまた戻ってきてくれたらいい。Podcastを聞いているだけなら、そう思えたのです。

しかし、一次情報を読み進めていくうちに、その期待は現実的ではないと感じるようになりました。もしもリスナーに対して伝えられていた説明と、実際の構造や評価が大きく異なるのであれば、それは単なるトラブルではなく、信頼の問題です。信頼を前提に成り立っていた番組である以上、その信頼を裏切った形になってしまったのであれば、元の場所に戻るのはほぼ不可能に近いと思います。ビジネス上も、顧客だけでなく助成金という国民の税金が不正受給に関与する形で使われていたという事実は、これからも重くのしかかるでしょう。
それでもなお、私の中には複雑な感情が残っています。裏切られたと感じつつも、経営中毒という番組が持っていた価値そのものまで否定したいとは思いませんでした。むしろ、あれほど経営を語ってきた番組だからこそ、この出来事そのものを包み隠さず語ってほしかった、という思いがあります。

うまくいっているときの話だけではなく、取り返しのつかない失敗や、判断を誤った結果についても含めて語る。それができていたなら、この番組は別の意味で、さらに価値のあるものになったのではないかと感じています。経営中毒というタイトルが持つ重さを考えれば、なおさらです。
この一連の出来事を通じて、私は自分自身が関わっているPodcast「リアル経営」のことも考えました。もしも自分が何かを間違えたとき、あるいは説明責任を果たさなければならない状況に立たされたとき、果たして同じような態度を取らずにいられるだろうか、と。

少なくとも今の時点では、私はダイレクトに説明する姿勢を取りたいと思っています。耳障りのいい言葉でまとめるのではなく、何が起きて、どこで判断を誤り、どう責任を取るのか。そのプロセスまで含めて語ることができなければ、リアル経営という名前を掲げる意味はないと感じています。

これは私が個人であり、何か大きなものを背負っている立場にないから、ということがあります。徳谷氏は社員を背負っていたので、このままだと会社が倒産してしまう危険もあるということで守りたかったものがあったのだと思います。そこは同じ経営者として同情する部分でもあります。しかし、結局、現実にもそうなったとおり、ごまかしても白日の下にさらされてしまうわけです。そうすると、単に起こした問題以上に大きく燃え上がるということが、改めて証明されました。
そして最後に、どうしても気になっている点があります。それは、経営中毒という番組が、どのような形で制作され、誰が費用を負担していたのかという点です。エッグフォワード社がスポンサードしていた番組だったのか、それとも野村氏のクロニクルが、面白い番組を作ろうとして主体的に動いていたプロジェクトだったのか。
この違いは、単なる裏話ではありません。番組の立ち位置や、発信される内容の責任の所在を考える上で、とても重要なポイントだと感じています。これはあくまで私の憶測ですが、経営中毒はエッグフォワード社のスポンサードで制作されていて、その宣伝的な側面があったのだと思います。番組の最後にエッグフォワードに相談したいとか、働きたい人はこちら、という案内もされていたからです。であれば、なおさらその前提は明示されるべきだったのではないか、と感じています。

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この出来事は、経営や情報発信の難しさを、あらためて突きつけてきました。現時点での私としての解は、ビジネスにおいては「嘘をつかないで正直にいること」だと思います。いつか、私にこのことがブーメランとして返ってくるかもしれませんが、今はそう断言しておきます。
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