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経営や趣味、時事などのブログ記事や、Podcastの発信を日々行なっています。ニュース登録をしていただければ、更新情報を配信していきますのでお気軽にご登録ください。(広告を配信することはありません)
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【エピソード概要】
初代wearaの発表と発売中止という大きな挫折。その舞台裏で、次に構想していたのが「weara AIR」という幻の次世代プロダクト。
スマートフォンとの接続が不要な携帯ネットワーク通信を採用し、バッテリーも2週間持つという革新的な設計。これにより、高齢者の見守りサービスや運輸業界のドライバーの健康管理など、BtoB市場の巨大なニーズに応える「夢のデバイス」が誕生するはずだった。
実現していれば世界を変えたかもしれないこの秘蔵のプロダクトは、なぜ公の場に出ることなく、開発プロジェクト終了の判断を下されたのか。
これまで語られることのなかった開発の舞台裏と、失敗のリアルな真相が明かされる。
「Podcast:リアル経営」このエピソードに関するご意見・ご感想をぜひお寄せください。今後の配信の参考にさせていただきます。
「リアル経営|企業経営の成功と失敗、等身大で語る台本なき社長のリアル」
この番組は、私、Hossyこと星川哲視が自らの体験をもとに、経営やその舞台裏などをリアルに語っていきます。
リアル経営は、毎週金曜日朝6時に配信しています。
おはようございます。自由人のHossyこと、星川哲視です。
おはようございます。STRKのがじろうです。
はい。前回まで独自に開発をしていたウェアラブルのwearaが、発表はしたのにもかかわらず、発売できなかったということで、悲しいお話をしたかなと思います。
これ、確か僕の記憶が正しければ、その時なんかHossyさん、円形脱毛症になったって言っていませんでしたっけ?
お! よく覚えているね。そうなんですよ。
僕は事情を何も聞いていなかったんですが、wearaが遅れているということは聞いていました。ただ、具体的なことは何もわからなくて。「もう無理だ、諦めたんだ」と、その時に「円形脱毛症ができちゃったよ」って。「えっ、そんな大変なことだったの?」という記憶があります。
はい、そうです。違う時に詳しく話しますけど、僕、悩むとか、メンタルがどうこうみたいなのは、あんまり好きじゃないんですよ。
まあ、みんなそうですよね。
みんなそうというか、最近はすぐ「メンタルが」とか言うじゃないですか。僕はそういうのがあんまり好きじゃないし、悩むとかってあんまりしないタイプなんですね。
すいません。ということは、Hossyさんの中では、悩んだりメンタルいかれている人って、好きでやっているという感じなんですね。
好きというか、まあ「悩む」と「メンタル」はちょっと違う話かなと思うけどね。「悩む」は、ほとんどの人が「それ悩んでもしょうがないんじゃない?」ということを悩んでいる。
そうですよね。そこが整理できていない。
そう。材料があればもう即決した方が良いんですよ。悩んでも、あとから「やっぱりこっちが良かった」みたいなのって、悩めば悩むほどあるんですよ。
そうですね。
悩まなければ即決して進むしかないんですよ。
うん。
と思って、普段は本当に、僕と一緒に仕事をしたりしたことがある人でいうと、悩んで「いや1週間考えさせてください」とか「明日までちょっと時間をください」みたいなのは聞いたことがないと思うんですね。
うん。
まだ材料が揃っていない、たとえば「この検討事項がないと決断できない」という場合は、それがなければ進められないので、「ここを調べてからにします」という話になります。でも、材料が揃っているのなら、実際に悩んでも仕方ありません。
そうですね。
というのと、メンタルっていう言葉を使い始めたからそう言っているだけで、本当はそういうことではないと思っています。
はい。
その上で、円形脱毛症になるとはまったく思わなかったので、正直びっくりしました。それくらい、いろいろ苦労もしてきた中で、世の中に発表したにもかかわらず出せないというのは、自分にとってはかなり大きなことだったんだな、と思っています。自覚はまったくなかったですけどね。
はいはい。
という、大きな挫折と失敗を経験した、というところですね。
Hossyさんの中でも、この円形脱毛症ってこの1回だけなんですか?
うん、1回だけですね。
おお、相当でかいことですね、
それ以前もそれ以降もないですね。
僕が知っているのは、そこまでの話だったんですよ。円形脱毛症になって終わった、というところまでしか知らなかったので。前回、「けど、これで終わっていないんです」みたいなところで話が終わっていましたよね。
ここからは、実際には世の中にも出していないし、内側でやっていた話でもあるので、知っている人はほとんどいないと思います。
ほうほう。
社外となると、一緒に携わってくれていた人は知っていても、そうじゃない人たちは知らないという、この新しい話を今回、開陳しようと思います。
というわけで、wearaは失敗に終わってしまったわけなんですけど、今までやってきたことも含めて、ウェアラブル自体はやっぱり面白いと思っていました。常に身につけて、つけている人のことを知っているというのは、すごく便利になる方向もあります。違う使い方ができるなというところもあって、新しい使い道というのを考えていたんですよ。
はい。
実はwearaを発売したとして、その次のバージョンで作ろうと思っていたものがすでにあったんですよ。
はいはい。
それが、名前は「weara AIR」というんです。AppleのMacBook Airみたいな感じなんですけど、意味はあって、やっぱりAIR、空気ですね。
はい。
もともとは、Bluetoothでスマートフォンと通信して使うウェアラブルなんですよね。これはApple Watchでも、最近のスマートウォッチでも、基本的にはみんな同じです。そうではなく、今回の第2世代のweara AIRは、Bluetoothで携帯と繋がないんですよ。
ほう。
その代わりに、携帯電話と同じように携帯のネットワークを使って通信するというモデルなんですね。
なるほど。
これが何が良いかというとですね、最近は多少改善されている部分も多いんですが、Bluetoothってやっぱり使う時にちょっと面倒なんですよ。すぐ「繋がる・繋がらない」の問題が出てきますし、セットアップも手間がかかります。
そして、繋がっているつもりでいたら繋がっていなかったり、繋げたいのに通信がうまくいかなかったり、といったことがよくあります。
そうですね。
だからこそ、若者など、ある程度理解がある人にとってはそれほど問題ではありません。しかし、高齢者にとっては、このBluetoothというものがまず、「名前からして何?」という話になりやすく、セットアップも難しくなりがちです。
そうですね。
wearaの時も、その問題を解消するために、NFCというタッチするだけでペアリングできる機能を付けたりはしていました。とはいえ、やはりうまく繋がらないというケースはあったんです。
はい。
これを解消したいという思いと、あと、第2世代は個人が趣味で使うというよりは、サービス向けに作ろうと思っていました。
BtoBとして売る。
そうそう、どちらかというとBtoBですね。ウェアラブルは、装着している人の健康状態や睡眠、活動などを常に把握しています。簡単に言えば見守りサービスのような用途に使えるデバイスなんです、ウェアラブルって。
はぁ、なるほど。
カメラで見守る方法もあるけれど、やっぱりカメラで見られるのは嫌ですよね。それに、カメラで見ているだけでは、たとえば睡眠の状態を詳しく知ったり、心拍数といったバイタルデータを取ったりするのは難しいんです。
正直なところ、寝ている人がどう寝ているのか、「寝ている状態と死んでいる状態の差」がカメラだけではわからない可能性もあります。このような理由もあって、私たちはウェアラブルで見守りをしようと考えたんです。
ふんふん。
その際に一番ハードルが高いのがBluetoothだと思っていました。
病院とかだったらBluetoothは無理とかあるんですか?
Bluetoothって、やっぱり構造的に、規格で決められた周波数帯域、2.4GHz帯を使っているんです。そして、その帯域をいろんなデバイスがBluetoothで使っています。たとえば、イヤホンとか、スマートウォッチもそうだし、もちろんスマートフォンもそうですよね。だから、そこにたくさんのデバイスが集まると、混信したりして、繋がりにくくなっちゃうわけですよ。
たとえば、イヤホンなんかでも、新宿駅とかに行くとブチブチ切れてしまうというのを体験したことがあると思うんですけれど。人がいっぱいいたり、今の世の中のデバイスって本当にBluetoothをたくさん使っているんで、それらを使っている場所に行くと、どうしても混信しちゃう、ということがあるわけですね。
うん。
というのもあって、見守りといえば、基本的には病人かシニア世代が対象になると思うんですよね。今の時代、子ども世代は都会に出て、親だったり祖父、祖母あたりが田舎で暮らしている、という状況って、やっぱり多いじゃないですか。
はい。
そういった時に「元気にしているかな」と、都会にいる子供は親のことが知りたいんですよね。やはり、親と同居するのは、いろいろな理由でハードルが高いでしょう。親を東京に呼んでくる、というのも大変です。だけど、実家の親のことは、やっぱりちょっと気になるじゃないですか。ちゃんと健康でいるかな、とか。
うん。
その情報を知るために、たとえばウェアラブルがあれば、活動や睡眠、バイタル、つまり健康状態がわかります、という話があったとします。たとえば、Apple Watchを渡すとしたらどうでしょう。
毎回ちょっと例に出して申し訳ないのですが、親御さんやおじいちゃん、おばあちゃんにApple Watchを渡すケースを考えてみます。まず、Apple WatchはiPhoneがないと使えませんよね。
うん。
だから、まずiPhoneとApple Watchを買わないと、そもそも使えませんよね。それに、たとえセットアップして渡してあげたとしても、一つ目の問題は電池が持たないことです。おじいちゃんおばあちゃんに、「毎日充電しないとダメよ。つけ忘れちゃダメよ」と言っても、きっと無理でしょう。
そうですね。
それに、Bluetoothだと、うまく繋がらないということも起きやすいので、見守りにはあまり向いていないんですよ。
うん。
Apple Watchで誰かを見守りしているという話はあまり聞かないと思うんですが、やっぱり難しいんですよね。でも、需要はすごくあると感じています。これを解決してくれるのが、Bluetoothではなく、携帯電話のネットワークを使って通信するウェアラブルなんです。
なるほど。
これ、何が良いかというと、スマホがいらないんですよ。
ふんふん。
自分でバイタルデータを取って、それを携帯のネットワークを使ってクラウドにアップロードするんです。携帯の電波が届かないと困りますけど、日本はある程度のカバー率があるので、実家で電波が届かないという人は、まあ、ほとんどいないでしょう。
その携帯ネットワークを使ってデータをアップロードすれば、スマホとの接続やセットアップが一切いらないんですよ。
うん。
充電はね、1回しなきゃいけないんだけれども、最終的には2週間くらいはバッテリーが持ちます。
おお。
初代のwearaは30日間持つと言っていましたが、それよりは携帯のネットワークを使うとどうしても電池を消耗してしまうので、持ちは悪くなります。ただ、いろいろと工夫した結果、およそ14日間は持つようにしました。そして、10分に一度、何の操作もなくバイタルデータを自動でクラウドにアップロードしてくれます。
ふんふん。
これは、元々僕の父親が癌で、治療をしながら近くに住んでいたんですが、よく分からないうちに亡くなってしまったんです。
はい。
死ぬとは思っていなかったんですが、元気なのかそうでないのかも分からないまま、突然亡くなっているというできごとは、これから結構増えてくるのかなと実体験として感じました。だから、そういう用途はすごくあるんだろうなと思っていました。
うん。
その課題というのは、ウェアラブルであってもBluetoothを使ってしまうと同じことになってしまいます。セットアップなどが一切いらなくて、ウェアラブルである程度電池が持つ。具体的には、1ヶ月に1回か2回くらいは充電が必要ですが、それくらいならギリギリ許容範囲かなと。そういった経緯で作ったのが、この「weara AIR」という製品なんです。
うん。
クラウドにデータが10分ごとに自動的に上がってくるので、見守る側はスマートフォンでそのデータを見ることができます。東京にいても、たとえば北海道の中標津にいる親のデータがクラウド経由で上がっているため、いつでも東京から確認できるんです。
ふ〜ん。
近くにいなくても、そういう形で常に見守りができます。当然、今の睡眠が見られるというだけじゃなくて、その中身がどうなのか、どうしたら良いのか、という傾向がわかるサービスを提供しようと思っていました。
はい。
僕らとしては、自分たちでそのサービスをやるというよりは、そういうサービスを立ち上げた方が良いんじゃないかと思う会社に提案をしていこうと考えています。
う〜ん、なるほど。
たとえば、「見守り」といっても、ただ見守っているだけだと、実はあまり意味がないんですよ。意味なくはないんですけど、目的の半分しか達成できない。見守った上で、何かあったら、そこに行ってもらわないといけないわけじゃないですか。
その「行く」という部分は、僕らみたいな会社ができるはずがないので、僕の中で一番大きな売り込み先として考えていたのは、郵便局だったんです。
ああ、はいはい。確かに。いけそうですね。
郵便局というのは、やっぱり全国津々浦々に、必ず郵便物を配達する義務があるわけですよね。(民営化しているとはいえ)国の事業の一環としてね。どんな人のところにも、基本的にはアクセスできるんですよ。その人たちが、今仕事はなくなってきているんですよ、配達物が減っているから。
はいはい。
だけど、基本的に郵便局は法律で維持されていますよね。これを利用して、そのインフラで全国津々浦々の家にアクセスできる人たちがいるわけです。彼らは、地域の誰々さんという情報も含めてある程度把握しています。
郵便局が見守りサービスとしてこのwearaを家に渡す。そうすれば、セットアップもいらず、データは自動的にクラウドに上がります。その中で何か異常があったら地域の郵便局に通知がいき、そこの職員が見に行ってくれる、という仕組みができると、都会にいて一緒に住めない子供や家族は、まずデータとして「いつもどうしているかな」というのを確認できますし、何かあった時には郵便局の職員さんが見に行ってくれる。
うん。
ということができると、郵便局としては収益化できるし、全国津々浦々に郵便局がある意味が出てくるわけですよね。
そうですね。
ということで、郵便局。あとはキャリアとか。NTTとかね。
はいはい、携帯電話会社の。
携帯のNTTももちろんそうだし、電話会社のNTTね。
はいはい。
NTTって電話欲しいと言われたら通さなきゃいけない義務があるから。
ああ、なるほど。
固定電話はだんだん減ってきているかもしれませんが、全国どこへでも対応できるかというと、できるんですよね。いろいろな支店がありますから。たとえば、インターネット回線を引くとなれば、それをやる会社もありますよね。
そういったところとか、あとはヤマト運輸や佐川急便といった会社です。やはり、全国にリーチしている会社、地方だろうが山奥だろうが、荷物の配達とともに行なっているわけですから、そうした会社と組めば、何かあったときに「あそこの誰々さんのところ、ちょっと見てきます」というような対応もできるわけです。
うん。
そうなると、結構大きなサービスとして成り立ちますね。絶対ニーズはあるんだけど、今まで実現できなかったのは、さっき話したように、Bluetoothやデバイスの充電、そしてスマホが必須といった点が、サービス化を難しくしていた原因ではないかと思います。だからこそ、wearaをそういった形で作り上げていけたら良いんじゃないかと考えました。
うん。
wearaのオリジナルの時に言っていた、たとえば睡眠の脳波測定しているものと一致するという、アクチグラフと95%以上一致、といったようなそこまでの精度は。。。
まあ、求めてないですよね。
そうそう。失敗のところでも言ったかもしれませんが、95%と言っていたけれど93%だった、というようなことです。まあ93%でも相当一致率は高いですし、他のウェアラブルは実際もっとずっと低いんです。だから精度は高い。ただ、学術研究などの現場では、アクチグラフの代わりとして使うわけにはいかない、という形で、少しレベルを下げるという言い方もあれですが、そういうことになります。
用途を変えた。
そうそう、目的が違うので、そこまでの精度を求めすぎなくてもいいよね、というところもあって。wearaは結果としてうまくいかなかったけれど、AIRの方はBtoBにシフトして、まあ最終的にはBtoBtoCですけどね、という形に持っていけないかと思っていました。
うん。
あとはBtoBでいうと、発表もしていなかったのですが、wearaを見てよく問い合わせをいただいていたのは、いわゆる運輸系ですね。
運輸?
タクシーやトラックのドライバーなど、健康管理をしっかりしないと、安全にかなり影響が出てしまうわけですよね。パイロットなどもそうだと思うんですが、運転している時間や乗っている時間よりも、むしろ運転していない時間に何をされているのかということが重要なんですよ。
たとえば、出勤してきた時に、今日これから眠くなるかどうかは、まだわからないじゃないですか。
なるほど。確かに。
ただ、これから眠くなるかどうかは、実はその前に何をしていたかによって、かなり予測ができるんです。そういう予測をしたり、バイタルデータから眠気を感知できないかという研究ですね。結局、交感神経と副交感神経があって、副交感神経の方が優位になってくると、人は眠くなるんですよ。
はい。
まあ、リラックスするとそういう状態になる、という話なんですけどね。そういったデータを取っていくと、運転中に眠気が出てきた、ということがわかるんじゃないかと。それで、いくつかのドライブレコーダーを作っている大手の会社と、「一緒に作りませんか」というお話をしました。
結局、その際にも重要だったのが、「スマホがないと使えない」というのは、企業としては導入しづらいんですよ。
そうですね。その運転手の方に何を持たせるかも、まだわからないですもんね。
そうそう、スマホ経由でクラウドに上げるのって、アプリをずっと立ち上げていれば自動的にできるかもしれないけれど、現実的にはずっとはできないですよね。けれども、このweara AIRだと、10分に1回自動的にアップロードできるんです。
クラウド経由で、たとえば西濃運輸が全ドライバーの状況を見ることができて、その前日にどれくらい寝たかを、自己申告じゃなくてエビデンス、データベースでちゃんと確認できるようになるんですよ。
ただそうなったら、緊張して寝られなくなりそうですね。
いや、それは最初の1日か2日だけですよ。
あ、本当ですか?
毎日になったら全然。人間というのは、爆音の(音楽)練習スタジオでも、ドラムのやつが叩いていても寝られるんですよ。
はい(笑)
人間というのは適応能力がめちゃくちゃ高いんで、最初の1日か2日はそう思っても、毎日つけているからそのうち忘れるんですよ。
すごいすごい。
そう考えると、運輸関係も結構大きなビジネスチャンスとしてあり得るんじゃないかなと思っています。もともとのターゲットは見守りだったんですが、運輸関係、特に鉄道会社からも問い合わせがあり、そういった話をしました。こちらではBluetoothのwearaを発表していますが、問い合わせが来た時に「実はこういう企画がありまして」とお話しました。
ふ〜ん。
僕の認識で言うと、その話をしたら90%以上「それはめちゃくちゃ良いですね」という反応になりますね。
その話をしていなくても、向こうから問い合わせが来たわけですもんね。
そうですね。
可能性を感じてってことですもんね。
運輸業界だと、安価で質の高い睡眠が取れているかをきちんと測れるデバイスって、本当にないんですよ。適当に測定できるものはたくさんあるけれど。それと、これはスマートウォッチではないでしょう。画面もないし、自分で操作したりも基本的にはできない。そうすると、逆にBtoBとしてはその方が都合が良いんです。
Apple Watchみたいに「画像が見られます、音楽が聴けます」といった機能は、むしろいらない。全部ない方が良い。
そうですね。仕事の邪魔になっちゃいますもんね。
そうそう。いろいろな情報も含めて、体調管理に専念できるデバイスの方が良いわけですよね。
はい。
というのもあって、世の中は「こんなことも、あんなこともできる」という機能を優先したApple Watchのようなスマートウォッチが主流だったけど、こっちはそういう機能を一切なくして、その代わりに電池持ちを良くしよう、ファッショナブルにしよう、という方向性だったんだよね。
そして、もう一つだけ言わせてもらうと、作業員の方々の熱中症対策にも使える。
はいはい。
スマホと繋げなくても、クラウドにデータがアップロードされるので、本当に渡すだけで良いんですよね。つけておいてもらえれば。
へぇー。
ただ、熱中症をどのような状態と定義するのか、バイタル情報がどうなったら熱中症と見なすのか、という定義付けがなかなか難しいんです。いくつか話は出たものの、開発費をいただいて作るという受託の話や、あとは製薬会社ともいろいろお話しさせていただきました。
へえ、すごい。
製薬会社も面白いんですよ。薬を医者が処方するけれど、その会社の薬を飲んで治ったかどうか、製薬会社はわからないんですよ。
なるほど。
実験では当然行なうけれど、実際に世の中に出てどうなっているかというのはわからない。
ああ、なるほどなるほど。
だから、用途は限られちゃうんですけど、追加試験みたいな形で、実際にその薬を飲んだ人、飲むのを止めた人でどう変わるのかとか、薬屋さんが言っていたのは、「薬を飲んで治るのが一番良くて、治らないで飲むのを止めたら、また少ししたら発症してまた薬を飲む、というのは良くない」と。
どうやったらその後の健康状態を測れるのか。それを行なうのに「スマホと連動するスマートウォッチで、他のことができちゃうものは困る」という話でした。
すごく真っ当な製薬会社さんですね。
そうだね。もともとはファッション性やバッテリーライフを考慮して、機能を絞ったり、画面をつけなかったりしたんだけど、それが結果的にいろいろな用途に発展してきた。さらに、そのAIRの話をすると、「もう完璧にこれです、こういうのが欲しかったんです」という反応が返ってきました。
はい。
ただ結局、この製品も完成には至らなかったんです。携帯ネットワークに接続して、きちんと動作させるには、かなり細かい設計が必要で、本当に「夢のデバイス」として作れると思っていたんですが。
考え方を変えたら、小さな携帯電話を作るようなものですものね。
ああ、そうですね。
そういうことですよね。はあ、なるほど。前の携帯電話を作った時は、元々ある程度基盤があったりしたけれども、一から携帯を作らないといけないみたいな。
やっぱり基本的に、小さいのは設計上、損なんですよ。アンテナ設計も含めてね。なのでまあ、本当にいろいろ設計したり、SORACOMという会社にいろいろ融通を利かせてもらったりしました。どうやってデータ通信するのかも教えてもらったり、いろいろなことをやった上で、結局中国の会社にはできないと。
一応このAIRは元のwearaの失敗もあったから、当然完成するまでは世の中に出せないというのもありつつやっていました。しかし、やっぱり僕らが付き合っていた中国の開発会社にはハードルが高すぎる製品でした。
うん。
時間をかけたり、開発会社を変えたりしたんですけど、結局、完成させることができませんでした。それで、撤退の基準というか。僕とあと社内で2人くらいで進めていたんですよ。中国には別に担当者がいて、というくらいの少人数でしたが。
とはいえ、売り出せないものにリソースを割き続けるわけにもいかないので、「ある一定のタイミングでここまでに、これができていなければ、もうやめよう」と決めていて、結果的にその期限までに中国で作ることはできなかったんです。
ふ〜ん。
なので、社内でも「予定通りにここまでにこういうことができなかったので、このプロジェクトは終了にします」と伝えて、結果、終わらせたんです。
なるほど。
失敗のレベルでいうと、発表して出せなかったのとは違うので、内部だけの話ではありつつも、個人的には本当に、僕が思っているものができていれば普通に売れるかなとは今も思っています。
ただ、それで考えると、以前のwearaのほうも、92%、93%という精度で、ニーズはなかったのかな、とちょっと思ってしまいますね。
ね(笑) あるかもしれないけど、やっぱり、発表時に言ったことですしね。
まあ、それで、いったんはもう完全に終わったじゃないですか。終わって、今から、それって可能性ないんですかね? 実現したあとの話は、すごく面白かったんですけど。
そうだね、僕じゃない人が作ったら、やる可能性はあったかもしれない。
あぁ、なるほどね。
結局、自分が睡眠を深く勉強した上で、「こういうものが欲しい」というところの正確性や、数値的なエビデンスがあるからこそ、中国にたくさんある数多くのウェアラブルとは一線を画すものになっている、というところがあったんです。
だから、可能性はあると思いますよ。そこまで、あと3%なり違っていても、という感じで。
ちょっと、これを聞いているお金持ちの誰かに、僕はそれをぜひ実現してほしいですね。その世界を見てみたいです。
そうだね。ただ、今回の件でいうと、失敗に終わった初代もこのAIRも、結局のところ1円の売上にもなっていないから、投資した分はすべて損をしたことになります。とはいえ、まあ1億円にはいかないくらいのレベルの話だから、投資規模が小さすぎたのかもしれないね。
ほう、逆に。
うん。1億円で、今までになかったようなウェアラブルを作るというのは、やっぱり予算をケチりすぎたというか、少なすぎたよね。結局、質の悪いというのは語弊があるかもしれないけど、小規模な開発会社に頼むことになっちゃうし。
じゃあ、いくらだったら良かったんですか。
タラレバの話だけど、10倍かな。10億円くらいかけていればね。スタートアップで資金調達をする人たちの感覚で言えば、「赤字でもいい」っていう考え方になるじゃない。
まあ、確かに。
でも僕は、会社としては絶対に赤字を出さないという前提でこれを進めていたから、やっぱり投資が全然足りなくて。
ちょっと最後に裏話というか、もうNDA(守秘義務契約)の期限も切れていると思うので話すと、ソニーのグループ会社の中に、開発の会社だったり、製造の会社だったりというのがあるんです。
はい。
ソニーって昔ウェアラブルをやっていたんですけど、今はやっていないんですけど。ある時にソニーも「グループ会社だからといってソニーの製品だけを受託してやっていてはだめだ、自分でも稼げ」というふうになったんです。ちょっと会社名は忘れたんですけど、ソニーのそういうウェアラブルなどを作っている会社があって、そこに1号モデルとして外部のものを受託して作るという話で、このweara AIRの話を持っていったんです。
はい。
あるコネクションを通じて繋いでもらって、見積もりをもらったんです。でもやっぱり、僕たちが数千万円でやろうとしていたのに対して、ソニーの見積もりでは2億円弱くらい。一番簡単なもので、そのくらいの額が出てくるわけですよ。
うーん。
そうなると、僕らとしては無理があるよね。まずは作る最初の段階だけで、しかも研究開発レベル。つまり、すべての性能を保証しないってことだよね。
とりあえず作ってみますという。
そうなんですよ。それでこの値段ですからね。でも、ソニーがこれを作るとなると、1億円とか2億円なんて余裕で出せるわけじゃないですか。
まあ、そうですよね。
携帯事業を数百億円でやっているわけですから。「2億円ですか、じゃあとりあえず一度作ってみましょう」と判断できていれば、ソフトウェア開発でコストを削り、インドやベトナムでのオフショア開発に頼ったのが裏目に出て、結果的に意図したものとまったく違うものができたり、開発がほとんど進まなかったりといった問題は避けられたかもしれません。
やはり、億単位の金額をきちんと投じて開発していれば、結果は違ったのではないかと考えています。というわけで、まさに幻のweara AIR。一般には今回初めて明かされたお話でした。
う〜ん。
結局、失敗した大きな要因は、やっぱり投資不足だったかなと思っています。これは、メインビジネスではないから、力を入れる度合いが足りなかったのかもしれません。
うん。
これで生きていこうと決めたのなら、投資してでもこれをしっかり作り上げようという思いが、もう少し強かったのかもしれません。ただ、メインビジネスがありつつ、将来を見据えて、こういったものも新規事業としてやっていこう、と。
スマホアクセサリーだけでなく、メインの柱になるものを作ろうという気持ちはあったのですが、中途半端になってしまったのかもしれないですね。
はい。
というわけで、幻のプロダクトであるweara AIRについて、失敗した経緯も含めてお話ししました。この製品は、今でも誰かが実現してくれるなら面白いものになると思っています。
うん。
というわけで、これでweara関係のお話と、ブランドストーリーのリアルのシリーズがずっと続いてきましたが、トリニティで主に扱ってきたブランドのお話は、これでいったん区切りとさせていただきます。また来週からは、違うテーマでお話ししていきたいと思います。
はい。
ではまた来週もお聞きください。ありがとうございました。
ありがとうございました。
「リアル経営|企業経営の成功と失敗、等身大で語る台本なき社長のリアル」
概要欄にこの番組のWebサイトへのリンクを貼っております。感想、メッセージ、リクエストはこちらからいただけると嬉しいです。
毎週金曜朝6時配信です。ぜひフォローお願いします。
ここまでの相手は、Hossyこと星川哲視と
がじろうでした。
それではまた来週、お耳にかかりましょう。
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