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Hoshikawa Tetsushi (Hossy)'s personal siteHossy.orgis a site that outputs information from various experiences such as entrepreneurship, management, and graduation through blog articles, podcasts, and various activities.

Episode 55 The Reality of Brand Stories weara Edition Part 4 The 95% Barrier and a Painful Decision

Depicts how Weara’s ambitious accuracy targets announced at a major launch led to engineer exhaustion and a development halt after its factory in China shut down, ultimately forcing the company into the painful decision to withdraw.

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    Topic

    オープニング

    Hossy

    リアル経営|企業経営の成功と失敗、等身大で語る台本なき社長のリアル」

    この番組は、私、Hossyこと星川哲視が自らの体験をもとに、経営やその舞台裏などをリアルに語っていきます。

    リアル経営は、毎週金曜日朝6時に配信しています。

    Hossy

    おはようございます。自由人のHossyこと星川哲視です。

    がじろう

    おはようございます。STRKのがじろうです。

    Hossy

    はい。それではですね、何回かにわたってトリニティでオリジナルで企画開発してきた「weara(ウェアラ)」について、コンセプト、ハードウェア、デザイン、ソフトウェアについてお話ししてきました。前回の最後の方では、独自のサジェストやゲーミフィケーション、そしてオートメーションなども含めて、ウェアラブルならではの、日常的な改善についてお話ししました。

    ウェアラブルは、自分がわからなかったことや、お医者さんに聞いてもわからないようなことまで、すべての行動がわかります。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    それがどう影響していて、どうすれば良いのかといったこともわかりますし、また、それを楽しんで使えたりもする。

    それから、朝起きることをトリガーにして、自分が何かをやってほしいと指示するのではなく、起きたら電気がつくとか、寝たら電気が消えるといった、ごく単純なことも含めてですね。ウェアラブルならではの「こうだったら面白いよね」「こうだったら良いよね」ということを実現しようというコンセプトで開発を進めてきました、というお話でした。

    がじろう

    そうですね。これ、今から何年前でしたっけ?

    Hossy

    一応ですね、まあ開発してたのでいうとたぶん2017年とか。

    がじろう

    2017年。

    Hossy

    これからお話しする、世の中に発表をするということでいうと2019年ですね。

    がじろう

    おおー。けど、今でも全然ないですよね、そこまでのものって。

    Hossy

    そうですね。となると、その「ない」のが、単に思いついていないのか、あるいは実現するのが難しいという話なのか。ちょっとそこははっきりしないんですけれども、聞いていただく限りは、これがもし製品として出たら、かなり面白くなるのは間違いないですよね。

    がじろう

    そうですね。

    Hossy

    今だったら、生成AIのようなものがもっと組み込まれていくでしょうし、作れないことはないのかな。よりハードルが下がっている状態だと思います。後々お話ししますが、今の生成AIを使える自分だったら、もっと違うことができたでしょうし、成功させられる可能性はもっとあったなとは思いますね。

    がじろう

    う〜ん。

    Hossy

    そうして開発を続けてきたわけですが、2019年9月に、この製品を発表します、という告知をしました。

    がじろう

    はい。

    驚きを追求した製品発表会

    Hossy

    それから、実際に製品の発表自体は2019年の10月に行なっています。wearaについても、ここまでお話ししてきましたが、もちろん世の中には一切発表せずに、社内で開発を続けてきました。その上で、この2019年10月に発表会を開催し、メディアの方々をお招きして発表するという形に漕ぎ着けました。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    この発表会と同時に、WEBサイトやコンセプト動画なども用意しました。WEBサイトは当時のものが今もありますので、そのまま見ていただけます。動画や写真撮影も、ライフスタイル向け製品としてかなり力を入れました。モデルを雇い、スタジオでしっかり撮影するなど、かなり気合を入れて準備を進め、この製品を世の中に伝えようと頑張りました。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    そのモデルの方にも発表会に来ていただいたりとか。以前お話しした、睡眠の権威である白川修一郎先生にも発表会に来ていただいて、睡眠の現状や、この製品でどう良くしていこうかといったことなどをお話しいただきました。

    余談ですが、僕は発表会のプレゼンテーションのスライドをかなり作り込むタイプなんです。見せ方とか動かし方とか、ストーリーをしっかり作っていくタイプなんですね。

    がじろう

    はいはい。

    Hossy

    それで、白川先生のパートは、白川先生がご自身のスライドを映して話すということで、事前に見せていただきました。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    言い方をもし気をつけないとすれば、めちゃくちゃダサいんですよ(笑)

    がじろう

    はい(笑)

    Hossy

    学者の方のプレゼン資料だなと感じました。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    白川先生に「これちょっとデータもらったら僕の方でデザインを作り直すんで、いいですか?」って聞いたら、「ダメだ」って言われちゃいました(笑)

    がじろう

    おお。

    Hossy

    「これは学術の発表としての形でやるから、変にきれいにしない方が良い」と。

    がじろう

    おおー、なるほど。

    Hossy

    その学会とかね、そういったところで発表するものと同じような形の方が逆に良いと。

    がじろう

    はいはい。

    Hossy

    ということで、まあ、確かにそこだけすごくテイストが違って、論文調の話になるんですよね。だから、逆に信憑性というか、メディアの人たちから見ても「あ、これは本当に学者の人がちゃんとデータを作ったんだな」みたいなところがわかるんじゃないかな、というのもあって。「じゃあこのままいきましょう」という感じで進めたんです。

    がじろう

    先生も来てモデルの方も来て、って、結構大掛かりな発表会だったんですね。

    Hossy

    そう。大掛かりも大掛かりですよ。

    がじろう

    人は、何名ぐらい集まったんですか?

    Hossy

    これは、NuAns NEOの時に確か100人か120人という話をしたと思うんですが、目標はだいたい同じぐらいでやりました。ちょっと少なかったかな? 100人弱ぐらいかな。

    がじろう

    おおー、それにしてもすごいですね。携帯とほぼ同じぐらい集まるわけですもんね。普通に考えたら、その中小企業が携帯を作るって、すごいインパクトだと思うんですよ。

    Hossy

    そう、携帯の時はすでにマイクロソフトの発表会でチラ見せしていたので、特に「スマホだ」という認識があって、より注目度が高かったんですよね。テクノロジー系の発表は、みんなそういう感じで注目を集めますからね。

    がじろう

    う〜ん。

    Hossy

    以前、NuAns NEOの時だったでしょうか、少しお話ししたと思うのですが、僕自身、発表会というのは、来ていただいたメディアの方々に、期待値よりもすごいと感じてもらうこと、それから驚きなどを感じてもらいたいと思っています。ですから、事前に基本的に紹介はしないんですよ。何を発表するのか、ということは言わないようにしています。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    そうですね、これ裏話として言っておこうかな。今回このwearaには、かなり気合を入れてね、やろうということもあって。

    今まであまりやっていなかった、パブリックリレーションズというPRに力を入れることにしたんです。よくPRってプロモーション的な意味で使われるじゃないですか。だけど、これはそのパブリックリレーションズ、つまり簡単に言えばメディアに正しく製品情報を伝えて、正しい内容の記事を書いてもらうということが第一のミッションとしてあって。そのために、外部の方と契約してやってもらおうと考えました。

    今回は、NuAnsの時などは本当に僕が知り合いのツテなど、いろいろな形で呼ぶという感じだったんですけれども。それを上回る形でやりたいという思いもあったので、外部の方にお願いしたんですよね。

    がじろう

    ふ〜ん。

    Hossy

    でも、割と早期に揉めて。

    がじろう

    ほう。その外部の方と。

    Hossy

    そう、外部の方との話なんですけど。揉める理由は、今言った通り、僕がメディアの方に発表会に来てもらおうと招待する時に、もちろん一斉にメールを送るんですよ。「こういう発表会をやりますよ」って、WEBサイトにも告知して。登録している、今まで何かの付き合いのあったメディアの方々には一斉にメールを送るんです。

    ただ、基本的にそういうメールって、メディアの方々にはもうめちゃくちゃいっぱい来るんですよ、そういうお知らせが。

    がじろう

    う〜ん。

    Hossy

    普通のプレスリリース、たとえば「こういう製品が出ますよ」といったものは、もしかしたら1日に100通くらい来る場合もあると思うんですよ。発表会の案内なども、それなりに来ますよね。メールで不特定多数の人に同じ文面を投げるだけでは、なかなか気づいてもらえなかったり、発表会に行こうというモチベーションが湧かなかったりすることがあるんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    特に我々の場合、これまでは「発表会をやります」としか言っていなかったんです。そこでPRの方と、発表会のKPIとして分かりやすいゴール、つまり目標を100人から120人集めようと設定しました。もちろん、その方はPR業界で長くやっているため、コネクションがたくさんあるわけです。その際、招待する方々へ個別に声をかけていくのですが、その時に製品の話をどこまでして良いかという話になりました。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    基本的には何も話しません。来て、「あ、そういう方向性の製品を作るんだ」ぐらいのところじゃないでしょうか。実際、スマートフォンを作った時も、ただのiPhoneアクセサリー屋がスマートフォンを出したことで、驚きがあったわけです。その上でNuAnsをやっていて、その後にウェアラブルを作るというのは、そこまでは予想できないですよね。

    今、このストーリーを聞いているからこそわかることですが、普通の人たちはわからないわけです。

    がじろう

    いきなり発表会って言われても。

    Hossy

    発表会で驚きを演出したいんですよ。だから、先に言っちゃったら面白くない。「ウェアラブルを出します」って言ったら、みんな「ウェアラブルが出るんだな」って分かって来るじゃないですか。でも僕は、今までお話ししてきたように、社会的な課題もありますよね、たとえば肥満の話とか。それを解決するための予防医療がありますよね、と。

    これまでのウェアラブルには、僕としてはこういう欠点があると思っていました。だから、これを作りました、という流れで話を進めたいわけです。

    がじろう

    はいはい。

    Hossy

    それをやっぱり「ウェアラブルを作る」って知っていると、入り口として、そんなに面白くないじゃないですか。というのもあって、一切言いたくありません。でも、「言わないで招待するわけにはいきません」みたいな。その気持ちもわかります。

    がじろう

    めちゃめちゃわかりますよ、僕も。

    Hossy

    たとえば、僕がもし知っている人であれば、「そんなことは絶対にないよね」ということがわかるんだけれども。たとえば、たくさんのメディアを呼んで、「新しいケースを作りました。この透明のケースはこんなに素晴らしいです」と言うだけで人を呼んでしまうと。もちろん、そのメディアの人たちだって原稿を書くとか、いろいろなことがある中で、わざわざ足を運んできて、1時間程度のプレゼンや製品紹介を聞くわけです。

    それに対して、記事が書けないものだったら、空振りで無駄足になってしまいますよね。そうなると、PRの担当者も「もしそうなら、あの人が何も言わないで呼んだやつにはもう行かない」ってなるわけじゃないですか。

    がじろう

    はいはい。

    Hossy

    ということもあって、「ダメだ」という話になってしまい、結局途中で中止になりました。PRの方と一緒にやるのをね。最終的には自分で集める、という形になったという裏話がありつつ、ここもまあ、そういう意味ではちょっと苦労したところではあります。

    がじろう

    いや、それでもちゃんと集まったんですもんね。

    Hossy

    そうですね。だから、まあNuAns NEOの時よりはちょっと少なかったですけどね。ただ、NuAns NEOはトリニティがスマホを出すという、その全容を話す場だったから、来てくれたという面はあるんです。そういう意味では、やっぱり製品が分かっている方が来やすい場合もあるとは思いますが。

    ただ、スマホはもう出してしまっているので、「スマホだよね」と思って来てくれた人たちにとって、面白さはたぶんあまりなかったと思いますね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    ちょっと余談が長くなりましたが、発表会を行ないました。価格は17,800円で、2020年1月発売予定という形で発表しました。今までお話ししてきたようなことも含めて、さまざまなプレゼンをしたんです。ただ、ここからが本当の苦しみの始まりでした。

    がじろう

    ここまでは、苦しいこともたくさんあったけれど、それでも順調だったわけですよね。

    Hossy

    そうです。ま、そこがまたちょっと難しいところで、順調かどうかっていうとそこまで順調ではなかったんですが。100%までもっていった上で、明日にでも発売できますよって状態で発表会をすると、延々と終わらないことがあるんですよね。

    がじろう

    まぁ、そうですよね。

    立ちはだかる「95%の壁」

    Hossy

    発表して、いつまでにどうする、というような期限をしっかり決めてやった方が、きちっと締まる形があるんですよね。なので、発表会をやって、じゃあその後こういう形で最後仕上げてここで出そう、というのを決めて発表したんですけれども、この時点では100%製品は完成してなかったんですよ。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    それで、発表会で見てもらったハードウェアやバンドなど、そういったパッケージについては、まあ、ほとんど終わっていたんですよ。ただ、肝心のファームウェアやソフトウェアの部分が、まだ完全に終わっていなかったんです。ゴールは見えていたんですけどね。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    ということで、まずは製品自体のファームウェアの話ですね。長いこと開発を続けてきて、先ほどお話ししたようにもう少しというところまでは来ていたんです。ただ、最終的に大きな課題として残っていたのが睡眠計測の部分でした。

    以前にもお話ししましたが、「アクチグラフ」という、学術研究や医療で使われる100万円以上する機械と1分単位で照合させ、95%以上合致するというのが目標だったんですよね。実際、90%くらいは超えていたんですよ。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    実際、かなり精度が高まってきたところはあるんです。Apple Watchとも一緒に比較していたんですけれども、Apple Watchよりもアクチグラフにはかなり近いですね。

    がじろう

    へえー。

    Hossy

    Apple Watchは結構適当でした。

    がじろう

    そうなんですか。どのくらい近いんですか?

    Hossy

    Apple Watchでは、本体だけだと1分単位の計測はできないんですが、他のソフトを使って計測しています。その結果、80%台ですね。

    がじろう

    おー、それが90%に。

    Hossy

    そう。特に寝た時間と起きた時間については、かなり正確に測れるようになってきたんですよ。一番重要なのは、寝た時間と起きた時間なんです。これが睡眠の総量を測る基準になるから、何時何分に寝て、何時何分に起きたか、ですね。起きた時間は比較的簡単なんですよ。起きると、基本的には動いたり、まあ、起き上がったりもするんでね。

    難しいのは寝る時間と、あと「中途覚醒」と言って、寝ている間に目が覚めてしまうこと。トイレに行くのは分かりやすいんですが、トイレに行かなくても目が覚めちゃうというのがあるんですよ。

    がじろう

    うんうん。

    Hossy

    意識があって覚醒する場合と、意識がないまま覚醒する場合があるんですよね。それも含めて、アクチグラフは正確に測定できるんですけれども、それに95%以上合致すればアクチグラフと同等と見なして測定できる、という話だったんです。でも、結局95%を超えることができなかったんですよね。

    がじろう

    なんか考え方によっては、90%の精度だったら良さそうな気もしますけどね。

    Hossy

    それが、白川先生が元々協力してくれたことを考えると、それだと使う意味がまずないんですよね。

    がじろう

    ああ、なるほどね。

    Hossy

    装着している人の睡眠を正しく測れるものを開発し、たくさんのデータを取得して研究に活用したり、今後それが普及していけば睡眠外来などでも活用できるようになる、というわけですよね。今は、睡眠外来に行っても、自分で「睡眠日誌」という日記を書くんです。

    でも、自分の記憶だけで書くから、あまり正確じゃないんですよ。寝た時間と言っても、ベッドに入っただけの時間なのか、本当に眠りについた時間なのか。本当に眠りについた時間は、記憶がないから自分でもわからないですからね。

    がじろう

    うーん。

    Hossy

    なので「なんとなく」で書くんです。本気で行なう場合は、睡眠外来によっては脳波を取って、一晩泊まって測るというような、すごく大変なことになってしまうんですよ。それがwearaを使えば、毎日のデータを正しく取れるんです。睡眠外来に行ったとしても、結局一晩寝たデータはその時だけなので、経過観察はできないんですよね。

    がじろう

    だから、「目指すところが本当に医療として使えるかどうか」というところだったんですね。

    Hossy

    厳密に言うと医療機器ではないので、医療としては使えないんですけどね。

    がじろう

    そのレベル感で。

    Hossy

    それに近い形でできるという話で。これからお話しする発端となったのは、この睡眠計測の精度が90%、最後追い込んで92%ぐらいだったかな? これ、ファームウェアの開発を中国でやっていたんですよね。中国のエンジニアや開発会社が日本に来て、発表会が終わってから、あとは最後の追い込みをしようというところで作業していたとき、「もうこれ以上はやりたくない」ということになって。

    がじろう

    えー。

    Hossy

    がじろうじゃないけど、90%を超えているんだから、良いんじゃないかと。

    がじろう

    はいはい。

    Hossy

    でも、95%以上ということで決めて仕様を作って、発注もしているわけですし。

    がじろう

    確かに。そこはそうですよね、契約として。

    Hossy

    90%以上というのは、確かに大枠で見たらだいたい合っているよね、という話でもあるんだけど、そういうことじゃないんですよ。Apple WatchでもFitbitでもHuaweiでも、みんなそれぞれ睡眠を測って、それが同じ人のデータでも、結果がみんな違うんです。だから、それじゃダメで、ちゃんと正しいデータを取るべきなんです。

    それが、これから日本中、ひいては世界中の睡眠を改善するきっかけになるわけじゃないですか。まず、やっぱり正しい自分の睡眠が分かっていないと、改善なんてできないんですよ。

    がじろう

    中途半端なものだと、他にもありますから、わざわざやる必要がないということなんですね。

    Hossy

    そうなんです。これは特に僕が、睡眠について勉強すればするほど、改善したいなと思う部分なんです。内容を理解すればするほど、質の高い睡眠を取ることが重要だという話になってくるわけですね。そういった背景もあって、僕としてはまず一つ、そこが譲れないポイントとしてあります。

    他の機能については、多少のことはね、発表会で仕様や機能は説明しているけれども、細かいところは我々のこだわりだったりします。そのため、発売してから直しても問題ないだろうという部分もあったんです。ですが、やはりこの睡眠の質に関わる部分が、一番譲れない部分でもあったんですよね。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    そのため、ここがまずファームウェア開発で一番大きな、高い壁になっていて、開発会社ももうやりたがらないんです。これには開発会社の言い分も少しあるんですよね。もちろん95%以上というのもあるし、「90%で良いじゃないか」と思うのはその人たちの勝手なのでダメなんですけれども。それなりに長い期間開発してきて、実際開発が終わらないと、多少前金は払っていても最終のお金はもらえません。

    基本的にファームウェアとハードウェアはワンセットなので、そのハードウェアもそこが完成しないと発売できないとなると、そっちの売り上げもないということになりますよね。そうすると、「早く売れ」という話にやっぱり社内ではなってしまうわけです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    というのもあって、向こうはそういう意味でエンジニアなどが働き続けているのに、お金が入ってきていないという状態になります。経営上、早く売り上げにするか、それとも「もうここで辞めさせてもらえ」という話になるか、という瀬戸際なんです。それに、92、3%までいったんですから、「もう良いじゃないか」という気持ちもある。

    ただ、こちらからすれば「良いじゃないか」では済まされないんです。そう考えると、ファームウェアで一番重要なのはここでしょうか。

    ハードウェア・ファームウェア開発の苦悩

    Hossy

    少し遡って、開発の最初の最初からの話ももうちょっとします。ハードウェアとファームウェアの話なんですけれども。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    このウェアラブルを作ろうと思った時、当然ですが、僕はこれをどう作るかという知識がまったくなかったんです。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    スマホの時もなかったんですけれども、スマホの時はそういう意味では一番最初はマイクロソフトがお膳立てしてくれて、OS自体は触らないという話でした。しかも、こちらはハードウェアについても、向こうが紹介してくれた会社と一緒に行なうことになっていたので、入り口としてはそれほど難しくなかったんです。

    一方、ウェアラブルの場合は、「どうやって作るの?」というところから入るので、まずはいろいろな展示会に行きました。ちょうどウェアラブルが少しずつ出てきた時代だったんです。昔、私たちが扱っていたJawboneがすごく売れたり、Fitbitが増えてきたり、Apple Watchも出てきたりという状況でした。

    時代として「ウェアラブルいくぞ」という形でいろいろな製品が出ていたので、それを作っている会社もたくさんあったんです。

    がじろう

    う〜ん。

    Hossy

    僕もSimplismの回などでもお話ししたと思うのですが、製品は最初は台湾で作っていたんですよね。

    がじろう

    おばちゃんですね。

    Hossy

    ナショナリズムの話をするつもりではないんですが、僕の肌感では、中国のものづくりや中国でのビジネスと、台湾の人、韓国、香港くらいだと、かなり違うんですよ。これはあくまで僕個人の意見ですし、違う意見の方もいるでしょうし、違う会社もたくさんあるとは思うんですけれども。率直に言うと、(難しい製品を)中国で作ることにはものすごい不安があります。

    がじろう

    う〜ん。

    Hossy

    台湾、韓国、香港、中国という選択肢の中で言うと、台湾が一番信頼できます。これは僕個人の感想ですけどね、繰り返しますけど。

    がじろう

    はいはい。

    Hossy

    技術力は韓国の方が高いんですけれども、韓国はビジネスとして付き合うのが非常に難しい場合が多いです。香港の人たちは良いんですが、実際に香港の人たちが自分たちで何かを作るということはないんですよ。

    がじろう

    そうですね。ものづくりしないですものね。

    Hossy

    そうなると、台湾が一番良いということになって、台湾の会社と始めたんですよ。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    いいおじさんがいてですね、元々自分の会社でウェアラブルを作っていたんです。そちらで作っているものとまったく同じものは一切いらないんだけれども、こちらのコンセプトのまま一から作り直したいという話をしたら、そこのおじさんが乗り気になってくれて、「やろう」という話になって、初期の頃のプロトタイプを作ったりとかしていました。

    ウェアラブル業界では経験の長いおじさんだったので、いろいろなことを教えてもらいながらやっていたんですけれども、突然その会社が倒産して夜逃げしちゃったんですよ。

    がじろう

    ほわー! 夜逃げまで。へえー。

    Hossy

    それで、台湾のその会社まで行ったんですよね、連絡が取れなくなったので。行ってみたら、机とかはそのままでありそうなのに、誰もいないんですよ。

    がじろう

    はいはい。

    Hossy

    それで、一からやり直しになるというですね。

    がじろう

    それは発表会の前の話ですよね?

    Hossy

    全然前の話です。初期。かなり時計の針を2年ぐらい巻き戻した上でのお話ですね。

    がじろう

    一からなんすね、そこからまた。

    Hossy

    という苦労がありつつ。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    ファームウェアって、独立して書くことってあまり聞かないんですよ。ハードウェアを作る会社が、ファームウェアも一緒に作るのが普通なんです。

    がじろう

    連動させるためですね。

    Hossy

    つまり、ハードウェアの会社が、自分たちのハードウェアを動かすためのファームウェアを作るということですよね。スマートフォンやPCと同じで、CPUのようなエンジンがあって、そこからBluetoothを接続したり、このセンサーとこのデータをどうやり取りするかといったプログラムを作るわけです。

    それで、結局、試作のハードウェアとファームウェアの両方を作ってもらっていたのに、それが突然リセットされてしまったんです。台湾の会社は良い会社が多いのですが、特に開発だけをやっているところは規模が小さいことが多くて、その会社も実際には20人もいなかったと思います。割と簡単に吹き飛んでしまうというか。

    結局、その後僕は仕方なく中国に渡ることになるんです。中国の会社でやることになるのですが。

    がじろう

    はい。

    Hossy

    ちゃんとやったのは3社か4社ですね。これ、本当によくあるパターンなんですけど、最初は「全然それ、やれるよ」と。

    がじろう

    そうですね。

    Hossy

    「できる、できる」と言って。契約書とか仕様書を渡して「じゃあやろう」という話を進めるんだけど、実際エンジニアと具体的にいつまでにどの機能を作るかという話になると、だんだんできなくなってくる、というパターンを2回くらい経験しました。

    1社は、先にお金、もちろん開発費の一部を最初に払うんですよ。払ったけど、何一つできないまま「止める」と言われて。そこまでいったら訴訟しようという話になって、実際に訴訟しました。裁判で勝って、その会社の財産を差し押さえようとしたんですが、その会社に現金がまったくなくて、差し押さえることができなかったんです。

    がじろう

    じゃあ着手金だけ取られちゃったという感じなんですね。

    Hossy

    そう、すごいよね、本当に。それで、ハードウェアとファームウェアを、いろいろな曲折があったんだけど、最終的に「作れる」と言ってくれた会社があったんですよ。でも、先ほども言ったように、結局のところは「できない」という話になってしまって。

    がじろう

    92%くらいまでに到達するまでに、この会社は何社変えているんですか?

    Hossy

    台湾1社、中国たぶん3社で4社目じゃないかな。

    がじろう

    4社目。

    Hossy

    話だけしたとか、「いける」と言っていたけど結局契約には至らなかった、というものも含めると、もう少し件数はあるかもしれません。

    がじろう

    ちゃんと動き出したので、4社。

    Hossy

    そう。

    がじろう

    それで、4社目も結局、途中で「やっぱり無理だ」とギブアップしたと。

    Hossy

    本当にこの苦労はですね、一言二言では語りつくせないものがあるんです。

    がじろう

    しかも、もう発表会で「いついつ発売です」と言っちゃってますもんね。

    Hossy

    そうですね。ですから、反省点としては、本当に譲れない線については、できてから発表すべきだったなというのが、まず一つ、大きな点としてあります。

    がじろう

    うん。

    Hossy

    言い始めればきりがないのですが、ハードウェアとファームウェアについては、そういうわけで「厳しいね」という結論になりました。というところで、今回は終わりにしたいと思います。みなさん、人が失敗する話は面白いと思うので、失敗談についてはもう一度続けたいと思っています。

    がじろう

    蜜の味といいますもんね。

    Hossy

    「人の不幸は大好さ」という歌を昔バンドが歌っていましたよね。ということで、来週もこの失敗について語りたいと思いますので、引き続きお聞きください。

    がじろう

    はい。よろしくお願いします。

    Hossy

    ありがとうございました。

    エンディング

    Hossy

    「リアル経営|企業経営の成功と失敗。等身大で語る台本なき社長のリアル」

    概要欄にこの番組のWebサイトへのリンクを貼っております。感想、メッセージ、リクエストはこちらからいただけると嬉しいです。

    がじろう

    毎週金曜朝6時配信です。ぜひフォローお願いします。

    Hossy

    ここまでの相手は、Hossyこと星川哲視と

    がじろう

    がじろうでした。

    Hossy

    それではまた来週、お耳にかかりましょう。

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