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経営や趣味、時事などのブログ記事や、Podcastの発信を日々行なっています。ニュース登録をしていただければ、更新情報を配信していきますのでお気軽にご登録ください。(広告を配信することはありません)
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【エピソード概要】
装着バンドの欠点である「ベタつき」を克服するため、とある日本メーカーの素材を標準バンドに採用することを決断。それは、常時装着への強いこだわりであった。
開発の核は「運動」よりも「睡眠」。当時の日本の医療費42兆円という社会課題や、世界一短い日本人の睡眠時間によるGDP 15兆円の損失に触れ、「予防医療」の実現を目指す。最大の挑戦は、睡眠学の権威の技術指導のもと、脳波を使わずに「寝ているか起きているか」を正確に判断する独自アルゴリズムの開発。世の中に流通しない研究用デバイスと95%以上一致する精度を、いかにして一般向けデバイスで実現するのか。
さらに、正確なデータ取得のため、皮膚温センサー、高度計を含む多くのセンサーを搭載。
困難はありつつも順調に見える開発。しかし、自ら「欲張りすぎた」と語るこのハイスペックなハードウェア構成が、次なるフェーズでプロジェクトの命運を分けることになる。この先、何が待ち受けているのか。
「Podcast:リアル経営」このエピソードに関するご意見・ご感想をぜひお寄せください。今後の配信の参考にさせていただきます。
リアル経営|企業経営の成功と失敗、等身大で語る台本なき社長のリアル」
この番組は、私、Hossyこと星川哲視が自らの体験をもとに、経営やその舞台裏などをリアルに語っていきます。
リアル経営は、毎週金曜日朝6時に配信しています。
おはようございます。自由人のHossyこと星川哲視です。
おはようございます。STRKのがじろうです。
はい。前回トリニティでオリジナルで企画開発した「weara」というウェアラブルを、なぜ始めたのかというところやデザイン、そういった部分のお話をさせてもらいました。
何を解決したいんだ、みたいなそういうところですね。
そうですね。一つ言い忘れていたというか、こだわって、かなり大変な思いをしながら実現したことを追加で言うと、買った時に付いてくるバンドが一つあるんですよね。
はい。
最初に付いているのは、やはり万人受けするという意味で黒いバンドなんですが、これは簡単に交換できるんです。ただ、この黒いバンドの素材を何にするかというところがポイントになります。
ほうほう。
当時、世の中にあったバンド、実はJawbone UPもそうだったんですが、一つ問題があったのは、簡単にいうとゴムのような素材でできていたので、腕に着けていると汗などでだんだんベトベトしてきてしまうことでした。
はいはい。
Jawbone UPも、同じような問題が少しあったんです。世の中に売られていた比較的安価な製品は、だいたいそういった問題を抱えていました。少し使うと、最初はコーティングされているんですが、そのコーティングが剥がれてしまうんです。そして、剥がれた上で加水分解のような現象が起こり、少しベタついてくる、という具合になるんですよ。
うん。
そういうのには絶対なりたくないと思っていましたから、標準で付けるバンドの素材はかなり苦労しました。何がよいのかと。
それで、何年だったか忘れたのですが、ミラノサローネという、その名の通りミラノで開かれるデザインの展示会があります。このwearaとは関係なく、視察に行った時にたまたま見かけた素材があったんです。それが実は日本の会社の素材でして。これはみなさんもご存知のメーカーなのですが、ダイキン工業です。
はいはい。
エアコンのダイキンなんですよ。
そうですね。
そう。簡単にいうと、その素材はフッ素ゴムなんですよ。エアコンってフッ素技術がかなり重要なテクノロジーなんです。
へぇ〜、そうなんですね。
ここから生み出されたフルオロエラストマーという素材があって、ダイキンの正式名称というか商品名でいうと「DAI-EL(ダイエル)」という素材なんですけれども、これが加水分解していかない。ベトベトもしないし、水がかかっても撥水するし、油にも強いし、耐熱性もあったりということで、すごい、いいことばかりの素材なんですよ。
ベトベトしちゃうと埃まみれになっちゃうからとか、そういうことで研究されたんですか? そのエアコン。
ちょっとどういう形でこれができたのか、よくは分からないんですけれども。
なるほど。
これは面白いぞということで、ミラノで名刺交換した人と、その後wearaのバンドを作る時にコンタクトして、という感じで進めました。何が大変だったかというと、これ普通に買えない素材なんですよ。
ふ〜ん。
新しい素材なんですよ。なので、まず売ってくれるかどうかという話とか、中国で製造するなかで、どうやって中国で手に入れるかとか、かなり大変でした。中国でもこの素材を成型したことがないので、みんなこの素材を知らないから「どうやってやるんだ」みたいなところとか、かなり大変でした。
ただ、最終的には成功して、ベトつかないし、ずっとサラサラだし、素材としてそのままの効果が出ているんですね。
何かこの話を聞いてふっと思ったのが、標準に付けるものって、一般のメーカーだと何かしょぼいもので、オプションで買うものが良いものというイメージなんですけど、標準のものにめちゃくちゃ力を入れているんですね。パッケージしかり、このベルトしかり。
そうですね。バンドを替えない人もいらっしゃるので、最初の体験として「嫌だな、じゃあ新しいのを買わなきゃ」といった状態にはなりたくなかったんです。なので、まずは標準のものはしっかり作り込もうと思いました。
ふ〜ん。
標準のバンドをすごくこだわって作って、製造するのも大変だったという話を一度させてもらいつつ、ちょっと裏の話としては、これはダイキンのDAI-ELだと僕は確信しています。ダイキンの人に直接言われたわけではないのですが、この素材、Apple Watchのバンドでも使われているんですよ。
へぇ。
Apple Watchのスポーツバンドとか、ちょっとゴムっぽいやつあるじゃないですか。あれ、ダイキンのDAI-ELだと思います。
それはどっちが先に見つけていたんですか? Hossyさんが先なんですか?
たぶん見つけていたのはAppleなんじゃないかな。ダイキンの人ももちろん守秘義務があるからそういう話はしないんだけれども、僕らが量産する時に発注していくと「素材が今ちょっと別のメーカーでかなり押さえられてまして」と。「ウェアラブルで」みたいな。
それでAppleのところにはメーカーとしてのダイキンの名前は書いていないんだけれども、素材名がフルオロエラストマーになっているんでね。なので、おそらくそれじゃないかなと。
なるほど。タイミングも合っていると。
Appleのスポーツバンドはベトつかないんですよ。なので、結果としてApple Watchと同じだと思いました。
じゃあ、もう目利きとしてはAppleと同等の目利きということですよね、素材選びに関しては。
そうですね。言ってしまえば(笑) Appleの方が、技術的に圧倒的なものがあるから、こういう「どうやって作るの?」みたいな苦労はもしかしたら全然なかったかもしれないし、ダイキンもおそらくものすごい数を発注されていると思うんで、僕らとは桁が何桁も違う数量で発注されているから売り上げも相当だと思うんですけれども。
サポートもやはりたくさん売れているところを最優先でやっていますからね。以前も話したかもしれませんが、Appleのプロダクト担当になったら楽しいだろうなとは思います。
そうですね(笑)
やりたいことを「うちのでやってください、こういうことはできます」と、日々提案が来たりして。そこから自分たちがやりたいものと合致するのをチョイスして。売れなかった時の恐ろしいプレッシャー、何100億減ったとかいう話になっちゃうと思うんで、プレッシャーはあるにせよ、製品開発としてはきっと面白いんだろうなと思ったりします。
う〜ん。
余談が長くなっちゃいましたけれども、バンドにもすごいこだわりを持っていました。
はい。
今回はハードウェアのなかでも、見た目じゃなくてセンサーなどを付けたことで実現するものをご紹介したいなと思っています。
はい。
これ、Jawboneの話とも若干被るんですけれども、なぜウェアラブルを付ける必要があるのかというところでいうと、当時のWHOの発表でいうと、世界中で7億人ぐらいの肥満がいます。
肥満はBMI 30以上という定義になっていますが、今、人口80億人くらいだから、7億人というと、それなりの規模の人数が肥満で、肥満を起因とした糖尿病とか高血圧とか心疾患とか、健康を阻害するリスクがあって、WHOによるとそれによる死亡者が4,100万人で、世の中で死んでいる人の71%を占めています。
え〜、肥満で7割死んでいるんですか。
肥満を起因とした病気ね。糖尿病とか高血圧とか。肥満じゃなかったらそうならなかったよねという話になると。
え〜。
日本でいうと医療費が当時で42兆円で、5年間に3兆円ぐらい増えている。国家予算が90兆円から100兆円くらいなのに、医療費が42兆円なので、ここだけで4割以上を占めちゃっている状態。
僕の記憶が確かなら、30年ぐらい前は国家予算全体が40兆円ぐらいでしたからね。
年々増えているんですよね。病気になってから治そうとするから医療費がかかるんですよね。糖尿病になってから治療しようと病院へ行って、お金がかかって薬を飲んで、通い続けるからかかってくるんです。
そもそも病気にならないようにしようという「予防医療」という考え方があって、そこを目指そうというのが厚生労働省なども頑張ってやろうとしているところです。それに必要な要素が、Jawbone UPの時にも言いましたが、食事と運動と睡眠なんです。
うん。
Jawbone UPはかなり運動にフォーカスしていましたが、僕はここで睡眠にフォーカスしたかったんです。運動の計測は、摂取カロリーと消費カロリーの差なので、歩いたり走ったりすることで計測できます。
しかし、睡眠に関しては、自分でもJawbone UPの時に興味を持ち「寝る時の睡眠を測るってこういうことなんだ」というのがあって、このウェアラブルでは睡眠をしっかりやってみようと考えました。その時に出てきたのが睡眠学です。詳しく話し始めると長くなってしまうので、たとえば「経営と健康」といったテーマで、また別の機会にお話ししたいと思っています。
うん。
基本的には、日本でいうと5人に一人は睡眠に問題があると。
へぇ、20%ですか。高いですね。
日本人の睡眠時間は世界で一番短いんですよ。
そうなんですか。世界一。
あるマーケティング会社の推計によると、日本が世界と同じぐらいの睡眠時間を確保すると、GDPが15兆円増えると。
寝てなくて頭がぼーっとした状態でやっているから、だらだら働いているから。
そう。生産性が落ちていると。この睡眠を正しく計測して、自分を客観的に評価して、長い期間において睡眠の質や量をしっかり測った上で改善していく必要があるんです。
詳しくはまた別の回でやりますけど、僕は睡眠の第一人者の先生たちにコンタクトをして、睡眠について勉強しました。自分で「睡眠改善インストラクター」という資格を取ったり、「睡眠健康指導士」の上級資格を取りました。
ほう。
今はこの開発はしていませんが、睡眠はやはり面白いし大事だし、普及したほうがいいと思っていますので、最新情報を勉強しながら免許を更新しています。
へぇ。
この時に白川修一郎先生という、睡眠学の権威の先生に技術指導をしていただきました。なので、睡眠にはこだわりをもって作ろうと思いました。それで、睡眠を正しく計測するというところが一つ目の大きなハードルでした。
うん。
睡眠の計測で一番難しいのはアルゴリズムなんですよ。腕にセンサーを付けておくだけで、寝ているか起きているかを判断しなきゃいけないし、このセンサーから得た情報を、どうやって睡眠解析に活かすのかが難しいんです。
はい。
wearaはセンサーとして、加速度センサーという動くことに対してのセンサーと、あと心拍数などを計測する、光を当てて反射を見ながら計測するセンサーが付いています。この二つを組み合わせて寝ているか起きているか判定しましょうというのが基本の技術です。
はい。
世の中でApple WatchもFitbitも、XiaomiもHUAWEIも睡眠計測ができるといっていますが、僕が研究している時には、あらゆるウェアラブルを着けて寝てみました。そうすると、みんな結果が違うんですよ。つまり、それぞれのメーカーが独自のアルゴリズムで作っているから、結果もそれぞれなんです。
だけど、本当は僕という人間が寝て起きるのは、正解としては一つですよね。
そうですね。
デバイスごとに違う結果を出すのは本当はおかしい。ただ、人間が本当に寝ているのか起きているのかを測れるのは「脳波」なんです。
何かテレビとかではありますよね。寝ているかどうか測るのが。
テレビなどでよく見かける、頭に電極を付けて解析する方法ですね。寝ている状態、起きている状態、深い眠りや浅い眠りといったように、睡眠は脳の活動そのものです。それで、メーカーごとに解釈が違う。では、僕らの勝手な解釈で進めてよいのかというと、そうではないんです。
うん。
世の中で唯一、脳波を使った測定と、脳波を使わずにリストバンド型のセンサーで、脳波を使った計測と95%以上一致できるというデバイスがあるんですよ。
ほうほう。
これは「アクチグラフ」というもので、一般的には95%以上一致していれば「同じ」だとみなされます。これは加速度センサーだけで動くものなのですが、「これができるなら、我々も同じことができるはずだ、アクチグラフと同じ結果を出せるようにしよう」ということを開発の目標として掲げました。
アクチグラフって、みなさんはたぶん聞いたことがないと思うんです。なぜなら、世の中で一般販売されていないものなので。
そうなんですね。
これは研究用のデバイスなんです。睡眠研究や医療で使われるもので、脳波計を付けるのは大変だし、病院に泊まるのも簡単にはできない。だから、どれぐらい寝ているかを測るために、腕時計型を1週間着けてみてください、というふうに医療現場や学術で使われます。これは、買うとソフトウェアとセットで100万円ぐらいはするんですよ。
それは研究機関じゃないと使えないですね。
そうなんです。白川先生が協力してくださったのは、この製品が一般の人でも簡単に使えたり、手軽に買えたりするようになれば、睡眠に対する世の中の理解が深まるだろうという思いがあったからです。「メーカーによって異なる形ではなく、学術的にも使えるデータを簡単に取れるようにできるなら協力しましょう」ということでご協力いただいたんですよね。
ふ〜ん。
正しいデータをちゃんと取れるウェアラブルということで開発をしていました。歩数などの運動部分に関しては、今はセンサー技術が良くなってきていて、センサーが中で、歩数だったり、ランニングだったり、計測してくれるんですよ。
うんうん。
なので僕らが、こう動いたら歩いているねとか、こう動いたら走っているねとか、やる必要がなかったので、インフィニオンという大手メーカーのセンサーを使いました。その辺は開発せず、睡眠を独自開発するという形になりました。
なるほど。
このアルゴリズムを作るのがすごく大変で、あとはセンサーについていうと、Apple Watchの最新版では、皮膚みたいなところを見ているんです。この「皮膚温」も当時、センサーとして取れるようにしようと考えました。
寝ているか起きているかを知る上で、体温はすごく重要なファクターなんです。なので、3軸の加速度センサー、立っているのか座っているのかを気圧で測る高度計、室温を見る気温センサー、心拍計、そして皮膚を測るサーミスタというセンサー。それらを盛り込んだのが、このwearaになります。
なるほど。
僕がやりたいことを相当盛り込んでしまったので、なかなかのハイスペックなものになりました。この欲張りすぎたところが、おいおい仇になってくるんですけれども(笑)
ここまで入ってくると面白いよね、ということでスタートしました。
うん。
最後に名前の話。普通に名前を言ってしまっていましたけれども、wearaという名前について。ウェアラブルデバイスって長いし言いにくいじゃないですか。
はいはい。確かに。
だから独自の、パッとわかってもらえる名前にしなきゃいけない。いろいろアイディアを出したなかで、最終的にウェアラブルを短くして「weara(ウェアラ)」はどうかなと思いついたんです。
うん。
知っている人はなんとなくわかるかもしれないんですが、「ファイナルファンタジー」というゲームがあって、魔法のランクがあって、最後に「ラ」が付くものがあって。
ファイラ、とかですか?
そうそう。ちょっと魔法感もあって、「weara」っていいんじゃないかなと思ったんです。それで商標を調べたり、ドメインも「weara.jp」が空いていたんですよ。世の中で使われている単語じゃないですからね。5文字ドットJPってすごく短くて、すごくいいなということで。
本当は裏話として、僕はそのプロダクトにずっと仮の名称を付けていて、それは「EVER(エバー)」という名前だったんです。
エバー?
「いつも」という意味ですね。いつも身に着けているから「EVER」という名前が気に入っていたんですが、まずドメインが取れませんでした。それに、シャープが同じカテゴリーで商標を取っていたこともあって、断念することになったんです。
今、「EVERING」という指輪型のウェアラブルがありますが、ああいう風に他の言葉と組み合わせれば使えます。でも、「EVER」単体では難しかったので、途中で「weara」に変更しました。ですから、社内の初期の資料には「EVER」と書かれているんですよ。
ということは、wearaが「ラ」ってことは、次もっとバージョンアップしたら名前も「ウェアラガ」とかになる予定だったんですか?
ウェアガ(笑) ウェアラガもあるか。そこまでは考えていなかったですけど(笑)
そうですか。でも「ファイナルファンタジー」から来ていたというのは意外でした。
そうそう。名前もそういう形で、結構気に入ってますね。
分かりやすいですよね。
そう。ウェアラブルで「weara」だから。
あと「着る」ってイメージもありそうで、めっちゃいいですね。
もともと、ウェアラブルが「着る」ってことだからね。ロゴデザインも、Webで見てもらうしかないんだけど、製品のデザインができた上で、ぐるっと巻く丸いイメージを作ったお洒落なロゴデザインを、アートディレクターの謙大郎が作ってくれて。名前とロゴとデザインも、かなり大好きになれるものが仕上がったんです。
というわけで、今回は機能の話をしました。特に睡眠については、自分自身もかなりコミットして、いつも着けているからこそ、起きているときも、寝ているときも、常に計測できるのがポイントだったので、そこの話をさせてもらいました。次回はソフトウェアの話をさせてもらおうかなと思います。
一応ここまでは、困難はありつつも順調ですよね。
そうですね、ここまではそうかもですね。
了解です。ここからどういう展開になっていくのか。
また来週、ぜひ引き続きお聞きください。ありがとうございました。
ありがとうございました。
リアル経営|企業経営の成功と失敗。等身大で語る台本なき社長のリアル」
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ここまでの相手は、Hossyこと星川哲視と
がじろうでした。
それではまた来週、お耳にかかりましょう。
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