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経営や趣味、時事などのブログ記事や、Podcastの発信を日々行なっています。ニュース登録をしていただければ、更新情報を配信していきますのでお気軽にご登録ください。(広告を配信することはありません)
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【エピソード概要】
在庫リスクが高いと言われるスマホアクセサリー業界。トリニティはいかにこの激しい市場で戦い、成功を収めてきたのか?
トリニティは、競合との差別化を図るため、単なる安値競争から脱却し、付加価値の高い製品を提供することで、価格競争を回避。結果として販売店の売上向上にも貢献する戦略をとった。
さらに、Hossyや現社長の山本洋平といった企画担当者自身がバイヤーと直接商談する、他社にない強みも持つ。これにより、バイヤーの要望を直接聞き、迅速かつ強力な商談力を発揮。家電量販店でのシェア拡大に大きく貢献したトリニティの独自の戦い方に迫る。
「Podcast:リアル経営」このエピソードに関するご意見・ご感想をぜひお寄せください。今後の配信の参考にさせていただきます。
「リアル経営|企業経営の成功と失敗。等身大で語る台本なき社長のリアル」
この番組は私、Hossyこと星川哲視が自らの体験をもとに、経営やその舞台裏などをリアルに語っていきます。
リアル経営は、毎週金曜日朝6時に配信しています。
おはようございます。
自由人のHossyこと星川哲視です。
おはようございます。
STRKのがじろうです。
はい、今週もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
それでは、トリニティ成功のリアル2回目ですね。
あのトリニティ、意外にもオンライン販売がすごく少ないっていう話も、すごい衝撃でしたし、その中で在庫リスクという話も出てきて、多分、スマホアクセサリーって他の商品よりも在庫リスクがすごい高いんですよね。
はい。高い理由の1つ目が、製品がiPhone、たとえばiPhone 16用だったら次のモデルが出ると使えなくなります。そうすると一気にゴミになってきちゃうんですね。ちょっとここ最近は、実はiPhoneも最新機種の1個前が売れるようになってきたんですよ。
これは本当にコモディティ化が進んで、たとえばiPhone 16が出たらiPhone 15が安くなるからiPhone 15でいいじゃん、といってiPhone 15を買っている人が多いので、1個前が売れるということになるんで、実はiPhone 15が出た年よりもiPhone 16が出た年にiPhone 15のアクセサリーが売れるということが、ちょっとあるんですけど。
うん。
とはいえ、製品寿命が短いというのもあって、まずは長生きできない製品なので、短期に回収しなきゃいけない。売れなくなった、在庫が余ったとなったら、1年、2年の間になんとかしない限り、最終的に行き先がなくなるというのがスマートフォンアクセサリーの、特に専用の機器の場合ですね。
ケースや保護フィルムは、やっぱり専用に設計しているので陳腐化して、最終的には廃棄しなきゃいけないというぐらいまでいくところが、難しいところですね。
ここまででいうと、利益率とかそういったところに目をやってしまって、会社全体のインパクトとして弱いところにリソースを割かなかった。
でも、在庫リスクというのがこのマーケットにおいてすごく致命的になるんだというのをいち早く見抜いて、そこを背負わなかったというのが結構ポイントになってきていると感じますかね。
そうですね。トリニティの強みの1つは、在庫がすごく少ないことです。他社は本当に在庫が多いと思いますね。これは実際、後々で言うつもりでしたけど、他社の財務状況とか見られるものに関しては、合法的に見てますので、我々と売上高や在庫や廃棄みたいなところとか、販管費を含めて自社と他社の比較というのは常にしていたので、ここら辺でわかりますけど、やっぱり競合は在庫がすごく多い。
すごくというのは、何倍ぐらいなんですか?
本当にリアルに言ってしまうと、在庫として我々の手元に残っているものだけでいうと1億円もいかないんです。だから、年間50億、60億として売っている中でも、ぜんぜん1億円もいかない形で回していたので、かなり少ないと。他社で見たものでいうと、多いところだと8億円とか10億円とか。
売上いくらで在庫が8億円なんですか?
売上でいうと40億円ぐらいとかですかね。
40億円で10億円だと25%が在庫か。
これはさっき言ったような、売れるかもしれないものを在庫として置く、ということがあるからなんですよね。もしかすると、会社によってはコストダウンさせるために、たとえば普段1万個しかやらないけど「5万個買うから安くして」みたいな話を中国の工場と交渉した上でやっていたり、というのもあるかもしれないですけど。
結果、そんなに在庫があると、結局キャッシュ、お金がいったん在庫に変わっているので、どうしても銀行からお金を借りるなりなんなり、お金の調達をしなきゃいけないというのがあるので、物販をやっている上では、基本的には在庫を過剰に持つのは本当に危ない。
ふ〜ん。
キャッシュフローの上では本当に危ないです。もちろん在庫回転率といって、10億円あったって翌月に10億円売れば別にいいんですよ。だいたいトリニティの場合は3ヶ月を指標にしていたので、3ヶ月以内に売れるんだったらいい、という形でやっていたので、それであればいいんですけど、やっぱりそれ以上長くなって1年とか置いてしまうと、さっき言ったみたいに陳腐化があるので、非常に危ないというところがあって。
これをどう解決するか、というのはすごく課題としてあった上で、僕が卒業する前はもう完成形で、もう何年かやってきているので、この形がベストというのにたどり着いています。
うん。
なので、ちょっと話が長くなってしまいましたが、4Pの話に少し戻るとProduct、やっぱりトリニティはモノづくりの会社で、製品による差別化というのをまずはやろうというのがトリニティの基本的なスタンスですので、製品の強みというのをまずはやろうと。
これ、なんで製品の強みをこう出していかなきゃいけないかというと、次のPlaceに入ってくるんですけれども、量販店が自分たちのお金でビルを買うなり借りるなりして、お店を作って、たくさんの人を雇って、広告宣伝して、お客さんを呼んでくれた場所に、我々は製品を置かせてもらうわけじゃないですか。我々は何もしていないんですよ、そこに関しては。
うんうん。
なので、その場所を貸していただいて製品を置くわけなんですけれども、じゃあ、置いてもらえる最大のポイントって、販売店のバイヤー、つまり仕入れをして、どの製品をどういうふうに売ろうということを決めている人が、「これ売れる」と思わない限り、当然ですけど仕入れをしないわけですよね。
「これ売れる」って思うポイントは、やっぱり1つ目は製品なんですよね。
うん。
僕がよく言ってきたことは、製品は目指すところが2つあって、1つ目は「独占的」、つまり我々にしか作れない、他のメーカーにはありません、というのはやっぱりもう最大の差別化ですよ。
そうですね。
はい。たとえば、後半の方にやっていた、日本電気硝子という会社があるんですけれども、ガラスの日本のメーカー大手で、車とかそういうのがメインなので、一般には知られていないかもしれないですけれども。
そこのガラスを、ある一定の量を我々が買い取って、その代わりこの期間は我々しか扱えない、みたいな交渉をすると、「じゃあこのガラス、こういう性能があって、日本のメーカーでこういう特徴があって、でもこれウチでしかやっていない」となれば、それが良ければうちからしか買えない。なので、基本がやっぱり独占なんですよ。
う〜ん。
これは初期の頃に輸入代理店をしていた頃も、独占でない限り基本的には契約しないんですよ。要は、うち以外もやっているとなったら、価格なのか何なのかで競争するしかないので。でも、うちだけでやるんだったら、全力注いでやれるわけですよね、そのメーカーもね。なので、エクスクルーシブってよく言う独占契約ですね、を必ずしていました。
我々の製品自体も、作るときにまずは独占、オンリーワンになれる素材なのか、工法なのか、何かしらの形でオンリーワンをやる。これは、そんな簡単なことではないです。特に後半は「スマホケースなんて一緒でしょう? 」ってなるかもしれないし、「保護フィルム、保護ガラスもみんな一緒でしょ? 」みたいに思うかもしれないんですけれども、我々としては毎年何かしら、必ず新しい素材なのか、本当に工法なのか、コーティングなのか、必ず新しいことを毎年やっていました。
なので、他社と比べてもおそらく製品としての優位性っていうのは、あったのかなぁと。独占の次が「圧倒的な優越」
優越?
つまり優れているということです。
はいはい。
圧倒的に他社よりも優れていて、たとえばですよ、ケースで、じゃあ「1mから落としても大丈夫です」というのがあった場合、我々は「5mから落としても大丈夫」みたいにいうと、横にもし並んでいたら、「5倍も! 5mから落として大丈夫ならこっちの方が絶対安心でしょう」ってなるわけです。
これ、数値化するというのは、ユーザー、消費者に対して一番わかりやすい。もう「丁寧に作っています」とか「頑丈です」といっても、わからないしね。
うん。
なので、じゃあ何倍違うという数値で。もちろんトリニティは、これも一応言っておきたいんですけれども、他のメーカーがやっていないという悪口を言うつもりはないんですが、我々はすべてその数値、今みたいな数値を出す時は必ず第三者機関で測定して出しています。
うん。
これは本当に、市場で他のメーカーとトリニティの製品を比較するときに、誰にでも言えることですが、自社調べじゃないですよ。ちゃんと第三者機関で測定した結果でやっています。それで、測定した結果がダメだったもので、出さなかったものもありますから。
せっかく作ったのに(笑)
はい。なので、そういったところも、しっかりプロダクトという部分としては必ずやっていましたし、ガラスなんかでいうと、これは最近はすごく定番になりつつあるガラスの貼り付けやすさみたいなもので、「貼るピタ」というシリーズをずっとやっていて、貼り付けやすさが良くて、かつ失敗しない、ホコリが入らない、気泡が入りにくい、みたいなところをずっと突き詰めて毎年やっていました。
なので、ここは本当に自社でアクセサリーを始めたのが創業して2年目ぐらいからで、それ以降ずっとやり続けてきたことですね。
これ、先ほど言ったその独占できる素材とか工法をまずは目指すんだと。これ、何かお金を積んで独占させてもらうということもあると思うんですよ。
それがさっきの例ですね。
そうですね。
たくさん買って。
資本力がない会社がそういうことをするには、どうしたらいいんですかね?
たとえば、本当にこれは初期の初期の頃の話なんですけれども、スマートフォンのケースって今も同じなんですけれども、どんなケースが一番売れると思いますか?
一番売れるケース?
はい。
割れない。
そうですね。割れないというのもあるんですけど、見た目。
ああ、見た目。人と違うって分かりやすい。間違えないとか?
マスでいうとクリアケース。
そうですね。
透明。圧倒的にずっと透明ですね。
それで、昔から透明で、たとえばそれはやっぱり僕らiPodの頃からやっているから、iPodって色とりどりの物があったじゃないですか。iPod nanoとか、10色展開みたいなもので、ケースに入れると、今もそうなんですけど、透明じゃないケースに入れると色がわからないんですよね。
うん、確かに。
なので、色がわからなかったら、自分がせっかくたとえば紫を選んだのに見えない、みたいなことがあるので、基本的にはクリアケースが一番売れるんですよね。それで、昔もこれは変わらずだったんですけれども、クリアケースって、まず初期の頃に我々が出した時というのは、今みたいにパコンと後からはめるみたいなケースって、あんまりなかったんですよ。
貝殻みたいに前と後ではめ合わせだったので、はめ合わせるタイプのケースというのはちょっと説明が難しくなるんですけれども、金型といって、たい焼きを皆さん思い浮かべてもらうと、たい焼きって金属の型に生地を流し込んで、上下で挟んで、熱をかけて焼けたら出てくるみたいなね。
はい。
金型ですけれども、似たような形で作るんです。
それをはめ合わせケースというのは、説明を端折りますけれども、必ず背中にラインが入っていたんです。
はいはい。
スライドといって。ちょっと難しい話で、若干端折りますけれども、構造上、必ずあったんですね。
はい。
そうするとクリアのケースなのに、背面にその線が必ず入っていたんですよ。しかも2本も。クリアケースなのに、後ろ嫌だなっていうのがあって。それで、これをどうにか無くせないかということで、無くすような構造を作ったんですね。そうすると、たとえばバイヤーさんと話すときに、他社のものも買って持っていくわけです。
「見てください。他社の製品にはこんなに線が入っています。我々の製品は線が一切入っていない、こんなに綺麗な透明なケースです」という形を作るわけですね。
うん。
これって、別に大きな、お金が必要なわけじゃなくて、構造の工夫なんです。でも、圧倒的に見た目が綺麗なんです。というのが、その時の「圧倒的な優越」ということで差別化だったんですね。
うん。
それで、これ、次に翌年になると、この構造は思いついてやるからその時は新しいんだけど、他社が見たら、「ああ、こうやっていたんだ」ってわかるんですよね、やっちゃえば。完成品見ちゃえばね。
うん。
なので、翌年はみんな同じものを出してくるんですよね。
でも我々は、「じゃあ、クリアケースで困ることは何ですか? 」と。次に考えたのが、クリアケースは使っていると傷がすごく付くから、ケースがみすぼらしくなるんですね。そうすると透明なだけに、iPodなりiPhone自体も傷ついているように見えちゃうんですよね。透明ケースが傷付くから。
はい。
その次は我々は、背面に線がないのはもちろん、翌年それをフォローアップしてくるメーカーより一歩先で、クリアかつコーティングで傷がつかないという「フォーエバークリア」というやつで出します。そうすると他社は、線のなくなったケースを出してきた時に、我々は線がないのは当たり前、かつ傷も付かないということで、もう一歩先に行く、みたいな形でやる。
これも、もともと「なんで傷が付いちゃうのかな」といった時に、その頃はポリカーボネート、PCって呼ばれているプラスチックを使っていたんですけれども、小傷に弱いんですよ。おおよそ耐久性はあるんですけど、小傷に弱い。それで、そこをコーティングでカバーする。これは、ヘルメットあるじゃないですか、バイクの。バイクじゃなくても、ヘルメットのシールドって、顔の前のところは透明ですよね。
あぁ、はいはい。
あれってバイクで速いスピードで走っていると小石とかが飛んできて、コツコツ当たるんですよ。あれはコーティングをしっかりして、なるべく傷つかないようにしているんですけれども、それを応用して我々の製品もコーティングするという形をやったりということで、毎年何かしら新しい形でより良くしたり、何か問題を解決したりというのは、お金で解決したというのは逆にあんまりない。
そのアイデアはどこから出てくるんですか? Hossyさんから出ているんですか? それとも社員さんからも出てくるんですか?
これは初期の頃なので、なんせもう僕がさっき言ったみたいに、「クリアなケース欲しいよね」ってなった時に、「なんでみんな線が入っているんだ」というところから線をなくして、「傷が付いて嫌だね」といって傷をなくして、みたいなところで。その後は、コーティング剤に抗菌剤を混ぜ込んで、触っていると汚い、みたいなのがあったりするので、抗菌のケースにしたりとか、色々やってきました。そうですね。
初期の頃はずっと僕がやってきたところです。ここ数年のトリニティは、開発チームがしっかりそれを受け継いでやってくれていたので、僕が1からそのスマートフォンのケースや保護フィルム、保護ガラスで提案して、というのは一部はありますけど、マジョリティーの売れているやつは、トリニティの開発チームがやっています。
また今でもね、一番売れている保護ガラスで「FLEX 3D」という製品があるんですけれども、これは当時は革命的な製品ではあったんですよね。ガラスって強そうに思うけど、実際はすごく薄いガラスを貼っているので、やっぱり弱いんですよね。それで、特に本体じゃなくて後から貼っているから、本体よりもちょっと飛び出ていますよね。薄いからそんなに意識しないかもしれないですけど。
ほぉ。
そうするとエッジ、そこの端から割れちゃうんですよね。ちょっとでも当たると割れちゃう。ガラスは手触りがいいからいいんだけど、すぐ割れちゃう。高いお金を出して、普通の保護フィルムと比べれば倍ぐらい値段するのに割れちゃう、みたいなのがあって。
それで、その端から割れちゃうのは困るな、というのがあって。端っこに柔らかい素材を構造上一体化させて、「端っこからはもう割れません」というので作ったのが「FLEX 3D」だったんですね。これはもう今でもベストセラー製品ですね。これももう本当に他社は見れば同じものが作れるので、後追いはしてきましたけれども、最初に我々がこういう形でやってきた。
毎年毎年、独自性、独占的な商品を出し続けた結果、「金のなる木」にたどり着いたという。
ま、勝ち抜いていくところで、やっぱり基本的にその販売店のバイヤーさんって、同じものを「ただ安いですよ」といって持ってくるのに飽きるんですよ。ある一定のところでは「すごく安いね、これ」となるんですけど、これ、落とし穴があって、安いからといって扱うと、販売店は売上が下がるんですよ。
お客さんの数はそんなに変わらないから、ということですか?
はい、そうです。オンラインはまた別です。オンラインはパイが増えるのでいいんですけど、販売店って、たとえば我々の製品が1,000円のところ、競合が800円で出してきたからといって、お客さんは増えないし、特に我々みたいな(アクセサリー)製品ぐらいだと。
はい。
なので、そうすると客数は一緒で、販売数も一緒なんです。そうすると1,000円で売れたはずなのに、800円で売ってしまうんです。だから、安く売るのって売上が下がるから良くない、というのに気づくバイヤーって普通にいるんですよね。
だから、「うちのほうが安いですよ」といって売り込んでくるのは、最初はちょっとそういうところもあるかもしれないんですけれども、だんだん安いというだけで売ってくるのは、あんまりやらなくなってくる。
すごいですね。この論法をちゃんとバイヤーに言って理解してもらえるだけの商品力があるから、この2つが成り立って初めて効果が出てくる、ということですね。
そうです。ただ、まったく同じものだったら安い方がいいのは間違いないんですけれども、そこに付加価値をちゃんと付けて、「販売店が安いのを売って売上削減」じゃなくて、「いいものを売って、高い方が売上が多くなった方がいいですよね」という話なんですよね。
なので、特にヨドバシカメラなんかはその志向が強くて、トリニティでやっていた「NIPPON GLASS」というシリーズがあるんですけれども、これなんかは高いけれども、そこに付加価値を出していくというシリーズで、ヨドバシカメラの「安いものをたくさん売るよりも、高くていいものを売りたい」というニーズと合致したので、一緒にすごく伸ばしてもらったというシリーズが、この「NIPPON GLASS」というのがありましたね。はい。
もう一つ聞きたいのが、その時はHossyさんが必死に考えてアイデアを出して、先鋭化して差別化していったと。そこから後半は社員の人にも引き継いでいったという、そこに再現性を持たせられた理由って何なんですかね? アイデアがすごい人がいただけではなくて、他の人に移ってもそれができたのは。
そうですね。まあ、僕から次に開発のリーダーになったのは、今の社長の山本洋平で、洋平とは、本当にね、前にもお話ししましたけれども、初期からこの形で一緒にずっとやってきているので、この考え方とかというのは、もうずっと一緒で。むしろ僕が発明したというよりも、一緒にその流れをやってきたんです。
今、これは僕が理論的に言っているように思うかもしれないけど、当時はそこまでしっかり考えた上で、というよりも、僕自身、ずっとお客さんを持っていたので、営業担当としてね。それで、洋平ももちろん持っていたし。洋平は、僕が5月1日に離れて以降はわからないですけれども、僕がいた時までは彼も社長になると決まったけれども、ちゃんとお客さんを持っていました。
それで、洋平も、自分がバイヤーに納得してもらって買ってもらうためには何が必要か。僕も自分でヨドバシカメラへ行くとか、まあ後半の方で少し販売店は減らしてきましたけれども、最初の頃は本当にたくさんの販売店を自分で回って、バイヤーと商談していたわけだから。
うん。
その時に「ああ、じゃあこれ入れたいです。これ全店舗で展開したいです」と言ってもらうためには何が必要か、といった時に、さっき言ったように価格じゃないんですよね。やっぱりまずはProductだし、次にいくら良くてもお客さんの手に届かなければ意味ないよね、ということで、次以降のプロモーションになるんですけれども、ProductとPlaceというのはやっぱり密接に関係していて、自分が営業でもある。
ここも一つトリニティの強みですね。山本洋平、そして僕が自分たちで物を企画、商品企画をして、そのまま売るというか、そのバイヤーに話しに行く。これが他社はやっていないんですよ。たとえば、エレコムみたいな大きな会社だと、商品企画の人たちは商品企画の人たちで、いっぱいいるんですよね。それで、営業は営業で別にいるんですよね。さらに、マーケティングでパッケージとかカタログとか作る人たちはまた別にいるんですよね。
うん。
だけど僕らは小さいから、というのもありつつ、僕や洋平が自分たちで「これ、他にないよね」とか「これ、絶対こっちの方が良いよね」というものを自分たちで企画して、そしてそのままバイヤーに持っていくということが、我々のPlaceにおける強い商談力で。正直、僕も洋平も商談でまるでダメ、とかってあんまりないですよ。
さらに言うと、僕らはモノを作っているので、たとえばバイヤーに「この製品は、我々がこういう特徴が他社になくてこうですよ」と言うじゃないですか。バイヤーももちろん、いろいろなものを見ているので、「これ良いけど、ここがこうだったら買うのにな」みたいなことがあるわけですよね。 商談の中でね。
う〜ん。
その時、僕でいうと、「じゃあ、そうしましょう」って言って決めちゃう。
うん。
そうするとバイヤーは、自分が「こうだったら良かったのにな」と言っているわけだから、「じゃあ、それにします」と言ったら、絶対に採用しますよね。
普通の会社はそうはいかないですよね。もう作る人と売る人が別だから。持ち帰らないとダメですもんね。「これできるの?」って。
そう。こっちはそこが、もう一つ同じ話かもしれないけれども、決定権者が直接話しているんだったら、もうやるしかないじゃないですか、バイヤーは。だってもう、自分で言っちゃっているから。他の会社だと、「そう言われましても…」「まあ、ちょっと今回はこの仕様で」という話をするわけじゃないですか。それで、こっちは「じゃあ、いいですね。そうしましょう」という。
うん。
これ、時と場合によっては、それをその会社のオリジナル製品としてやるわけですね。まあ、世の中にない製品だから、なので、そのバイヤーのオリジナルとして「御社独占でこれやりましょう」と。これ、さっき言った「独占」と「圧倒的優越」って、立場を変えるとバイヤーも同じなんですよ。量販店とか販売店も、結局うちにしかないものを売った方がいいですよね。
要は、お客さんに「いや、他でもありますよね、同じものが」ってなったら、どうしても価格競争になるんだけど、「これ、ウチにしかありません」と。それで、さっき言ったそのヨドバシカメラの「NIPPON GLASS」というのは、もうヨドバシでしかやらない。トリニティのウェブサイトにすら載っていないんですよ。
という製品をやるわけですね。そういう形で、トリニティの強みは、作り手自身が自分で作って自分で説明しているから、そもそもうまい、という言い方もあれですけど、説得力があるんで当たり前なんですね。でも、細部まで「ここ、こうできなかったの? 」と聞かれた時に、もうできない理由があったりするんですよ。
うん。
「それ試したんですけど、こういう理由でこうなっちゃうからできないんですよ」というちゃんとした理由を即答できるし、さっき言ったみたいに「まったくその方がいいですね。じゃあ、それでいきましょう」みたいなこととかが、ぜんぜんできるというのが、他社とまったく違うところで、商談ですごく強い。
だからちょっと冒頭に言った通り、トリニティの特性でもあるし、ブローカーを使わずに中国で自社で設計しているので、中国の工場が作ったものを「どうですか」と売り込んできたのを買う、というのはほとんどなくて、社内でケースは設計しているので、なんでその設計なのか、というのは自分たちがよくわかっているんですよね。
だけど他社は、自分で設計していない場合も結構あるんですよ。開発期間もないし、楽なので。それで、コストも安い。
う〜ん。
そうすると、なんでこうなっているのか、と聞かれた時に答えられないですよ。なので、やっぱりバイヤーも物が好きだったり、色々なものを見ている人たちだから、やっぱり自信満々に、何を聞いても答えられて、場合によっては自分が「こうしたら」と言ったのがその製品になっちゃうってなったら、やっぱり採用しますよ。
ということで、トリニティは、特に家電量販店なんかでいうと、ほとんど僕と洋平でカバーしていたと。
めちゃくちゃそこポイントですね。
もう勝つんですよ、ここだけでいうと。
なるほど。
ちょっとまだ話し終わっていないので、来週も続けていいですか?
もちろんです。
では、来週もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
「リアル経営|企業経営の成功と失敗。等身大で語る台本なき社長のリアル。」
概要欄にこの番組のWebサイトへのリンクを張っております。 感想、メッセージ、リクエストなどそちらからいただければ嬉しいです。
毎週金曜朝6時配信です。ぜひフォローをお願いします。
ここまでの相手は、Hossyこと星川哲視と、
がじろうでした。
それではまた来週お耳にかかりましょう。
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