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経営や趣味、時事などのブログ記事や、Podcastの発信を日々行なっています。ニュース登録をしていただければ、更新情報を配信していきますのでお気軽にご登録ください。(広告を配信することはありません)
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【エピソード概要】
「トリニティ成功のリアル」ではトリニティが、なぜ約20人という少人数で市場トップシェアを獲得できたのか、その成功の秘訣に迫る。
大手との価格競争を避け、市場を勝ち抜くために店頭で最も重要視した「価格以外の価値」とは何か。
さらに、多くの企業が注力するオンライン販売に、あえて本格参入しなかった戦略的理由も明らかになる。短期的な利益の裏に潜む、物販ならではの“見えないリスク”とは。
成功の裏にある冷静な市場分析と、「やらないこと」を決める勇気。机上の空論ではない、リアルな経営判断が語られる内容。
「Podcast:リアル経営」このエピソードに関するご意見・ご感想をぜひお寄せください。今後の配信の参考にさせていただきます。
「リアル経営|企業経営の成功と失敗。等身大で語る台本なき社長のリアル」
この番組は私、Hossyこと星川哲視が自らの体験をもとに、経営やその舞台裏などをリアルに語っていきます。
リアル経営は、毎週金曜日朝6時に配信しています。
おはようございます。自由人のHossyこと星川哲視です。
おはようございます。STRKのがじろうです。
今週もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
はい、Episode 7までやってきて、なかなかいい形で進んできているのかなと思いますので、今日はEpisode 8ということで、今日のテーマは「トリニティ成功のリアル」というところを、お話ししていきたいなと思っています。
一番ここを知りたい人、多いんじゃないですかね。
そうですね。「トリニティの強みのリアル」って最初は思ったんですけど、「の」が重なるので「トリニティ成功のリアル」と。まあ、結果的に、強いから成功するというところはあると思うんで、このテーマでいきたいと思います。
ちなみに、トリニティの強みを言ってしまうと他社が真似するんじゃないか、と思われるかもしれないですけど、正直、今このマーケットにいる競合他社には真似できないと思います。
かっこいいですね。
はい。それに、1つだけ真似するということではなくて、やはり総合的な部分の話でもあるので、これをちょこっと聞いて、競合他社が「じゃあ、やりますよ」といって真似できるようなものではないかなと思いますので、話していければなと思っています。
はいはい。
トリニティは、3人から始めて、僕が退任する時には25人くらいいたんですけれども、実際に強くなってからの期間としては、僕がいた期間のほとんどは、僕も含めて20人くらいの体制でやっていました。
それで、20人でスマートフォンアクセサリーの中でトップシェア、テクニカルにいうとAndroid、iPhoneも含めたスマートフォンというくくりだと1位ではありませんでしたが、iPhoneに限って言うと、1位のシェアが取れていたという実績があります。
これも本当にリアルにいうと、1位になったり2位になったりというのも含めてありましたけど、もちろん機種によってとか、1年経ったらちょっと変わったとか、上がったり下がったりみたいなのはあるんですけれども。いずれにせよ1位を取ったことが何回もあるという点で、この人数で考えると、すごく効率的ですよね。
効率的ですよね。
はい。効率的ですし、すごいことかなと思っていて、そこには秘訣がいくつかありました。まずは、マーケットの話をさせていただくところからですかね。スマートフォンアクセサリーの市場というところですね。スマートフォンは今やもう、本当にほとんどの人が使っているものかなと思います。
生活になくてはならないものですよね。
ええ。生活の一部としてなくてはならないですし、本当に誰もが使っていて、誰もが接する時間が一番長いんじゃないかなと。
まあ、スマホを忘れて家から出たら、ちょっと不安になりますもんね。
そう。思い浮かべてもらうと分かりやすいかもしれません。いつも必ず使っているもので、ずっと同じものを使い続けることって、あんまりないと思うんですよね。
なるほど、なるほど。
時計くらいで、服とか靴とかは、毎日変わっていくわけですし。車といっても、ずっと乗り続けている人は結構稀だと思いますし。そう考えると、本当に普段肌身離さず持っているという意味で、スマートフォンの普及率は非常に高くなっています。
うん。
ただ、このあたりはですね、よくニュースとかでも言われている通り、高額になってきたうえで、性能もある程度行き着いてきたので、たとえば、今iPhoneの16というのが最新モデルですけれども、じゃあ15と16を比べて、本当にどれだけ違うの? みたいなこととか。
ちょっとテクニカルにいうと、15と16ではAppleが推す「Apple Intelligence」という、AppleのAIが使えるか使えないかという違いが少しあるんですけど。とはいえ、見た目はほぼ一緒。カメラの数も含めて踏襲されています。画面サイズも一緒という形なので、「買い替える理由がないよね」という感じです。
そして、買い替えないと、ほとんどの場合、まず最初に端末を買った時にケースや保護フィルム、保護ガラスといったものを買うわけですよね。なので、買い替えない場合は、あまり最初に買うモチベーションがないんですよね。
うん。
ケースだったら、何か壊れたとか、すごくいいものがあったという時に買い替えますけど、ずっと同じものを使い続けている人もたくさんいるので、やはり買い替えのサイクルというのは、端末を買う時が一番盛り上がるところがあるので、買い替えサイクルが長くなっていけばいくほど、スマートフォンアクセサリー側も買われる機会が減ってくるんですよね。
なので、その意味ではスマートフォンの売れる台数も、買い替えサイクルが長くなったり高額になったりすることで頭打ちになってきます。さらに、それに付随してスマートフォンアクセサリーも、今は縮小しているという状態です。マーケットリサーチ会社のデータを見ても、やはり毎年どんどん縮小していっている市場ではあります。
僕の知っているiPhoneケースメーカーさんとかもどんどん撤退していったり、すごく厳しい市場だなと感じます。
そうなんですよ。逆に、これがこれからの一つ目の本題に入ってくるところでもあるんですけれども、マーケットは縮小しています。とはいえ、日本国民やインバウンド、つまり外国の方も含めて、ほとんどの人が使っているデバイスではあります。
そして日本だと、iPhoneの市場占有率、つまりシェアが50%を超えている状態なので、2人に1人。本当に前の機種も含めれば、たぶん日本だと6割、7割くらいはiPhoneを使っているでしょうね。そうなると、市場自体はシュリンク(縮小)していますけど、そもそもの市場規模はかなり大きいわけですね。
そうですね。
ただ、シュリンクしているマーケットに新規参入するメーカーは、やはり基本的にはないんですよ。伸びている市場に対して、「そこは儲かっている市場だから新規参入しようよ」みたいな形で参入していくんですけれども。
もちろん、iPhoneアクセサリー、スマートフォンアクセサリーも、10年くらい前からだんだん市場が大きくなった頃は、新規参入、新規参入という形で、「こんなメーカーあったっけ?」みたいなメーカーがたくさん参入してきたんですよね。
ただ、結局シュリンクしてきた中で、新規参入するメーカーがなくなりつつあり、今残っているメーカーだけでパイを分け合っていくということになるので、逆においしいマーケットになる、というところが一つあります。
なるほど。
これは、トリニティがどうこうというよりも、市場環境としてそういう状況があるんですね。
これからお伺いする、その成功のリアルを聞いていけば、競争が激しすぎた先にある「おいしい旨み」を手に入れるための強み、強さを手に入れられる、と。
そうですね。あと、撤退していくメーカーもいます。さっき、がじろうも言っていた通り、特にケースメーカーなどは、やはりいろいろな色やデザイン、キャラクターものなどがあって参入しやすいんですけど、結果的にはやはり生き残っていけない。
海外メーカーも、アメリカでは本当に有名なメーカーや、あとはApple Storeに行くと、Appleと特別に契約して製品を置いているメーカーがあります。これらの会社はアメリカに行くとすごいんですけれども、日本ではアクセサリーメーカーとしてはほとんどビジネスができていないんですね。
ふ〜ん。
このあたりも、おいおい話していきます。日本のローカルな我々のやり方についていけないということがあって、海外メーカーはもう、ほぼいないというような状態です。
まとめると、マーケットは縮小している。そして、海外メーカーも含めて、メーカーはどんどん減っていきました。海外メーカーも最初はいたんですよ。ですけど、撤退してしまって。
いろいろなメーカーがどんどん減っていき、残ったメーカーだけでやっている、と。そして、シュリンクしているので新規参入がない。新規参入がないことの大きなメリットの一つは、価格競争が起きにくいことです。新規に参入してくるところは、基本的に「うちの方が安いですよ」といった形で仕掛けてくる場合が多いんですよね。
うん。
そうなると、たとえば我々が1,000円の製品を売っているところに「うちは900円でやりますから」ということで販売店などに提案をしていくわけです。そうすると販売店も「じゃあ、同じようなものだったら安い方がいいんじゃないか」ということが過去にはあったので、そういった新規参入がなければ価格競争がそれほど起きないということです。
僕はそんなにマーケティングや経済学を勉強したこと自体はないんですけれども、今の状態は、いわゆる「金のなる木」というやつです。
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント、通称PPMというものがあって、「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」という分類があります。たぶん元々は英語だったんでしょうけど、「Star」「Cash Cow」「Problem Child」「Dog」みたいなのがあるんですね。
そして、今「金のなる木」です。この「金のなる木」というのは、基本的に市場の衰退期に発生するんですね。なので、まさにこのスマートフォンアクセサリーの市場は衰退期なんです。シュリンクしていて、衰退期で、かつマーケットシェアが高い会社はめちゃくちゃ儲かるということで、「金のなる木」と言われるんですね。
ここを狙う人はいないですよね。
狙っても狙えないんですよね。なので、順番でいうと、僕らも最初は「問題児」という分類のところに入るんですよ。一番最初は。市場は成長している。ただ、自分たちのシェアはそれほど高くない。まあ、みんなが割と参入してきた頃は、市場がどんどん伸びていて、プレイヤーが多いので一つ一つのシェアが低い、みたいな状態が「問題児」です。
ただ、この「問題児」からさらにシェアを上げていくことができると、この分類でいう「花形」になります。市場が大きく広がっていき、なおかつ自分たちのシェアも高まっている状態。これが最高の状態として「花形」になるんですね。ただ、儲かるのは「金のなる木」の状態です。
う〜ん。
市場が広がっていて、自分たちのシェアも上がって「花形」になるんですけれども、そこでは結局、市場自体も大きくなっているので、たとえば自分たちがシェア1位になっても、そこを狙ってやってくるライバルがいっぱいいるわけですよね。そこと戦っていかなければいけないので、大変なんです。
ふんふん。
ただ、これを我慢して生き残っていくと、次にマーケットがシュリンクしていった時に、撤退する会社は撤退したうえで、新規参入ももうない。その中でシェアが高いというのが一番儲かる。
頑張った会社へのご褒美なんですね。
本当に別に狙ったとかではなくて、後々そういうフレームワークを見てみて、「ああ、今ってこういうことだったんだな」と思った、という話です。なので、市場環境としてはそういう状況で、トリニティも実際、スマートフォンアクセサリーにおいて、オンラインは後で話しますが、いったん除外します。Amazonや楽天やアリエク(AliExpress)などですね。
そういったオンラインは別として、お店で売っている製品ということで考えた時のマーケットシェアでいうと、やはりエレコムがトップです。これを聴いている方はご存知の方も多いんじゃないかと思いますけれども、スマートフォンアクセサリーのみならず、いろいろな家電量販店に行くと、各フロアにエレコムというブランドの製品が並んでいるくらい、総合的なメーカーとしてエレコムがいます。
スマートフォンアクセサリーでも、もともとKING、つまり一番シェアを取っていた会社です。 そして、ここと我々は切磋琢磨というか、戦いながらやってきて、我々が1位になったり、エレコムが抜き返したり、そういったことをやっていたんですね。このエレコムとトリニティで、実は市場のマーケットシェアの中で、だいたい70%くらいを占めているんですよ。
はい。
そして3番手として、ちょっとAndroidも含めると我々より上にいくところがあるので一概には言えませんけれども、全体的にみて3番手に、テレホンリースという会社があります。ラスタバナナというブランドでやっている会社ですね。ここはもう本当に歴史がある会社で、携帯、いわゆるガラケーの頃からの携帯アクセサリー会社なので、本当に老舗です。この3社でおそらく80%を超えてきます。85%とか。
そういう意味では、3社でほぼ寡占状態ですね。そして、さっき言ったようにマーケットがシュリンクして新規参入がなく、この3社、しかもトリニティとエレコムが圧倒的にシェアが高いという状態なんです。なので、こういう市場環境にあります、と。
ええ。
ちょっと今のは、トリニティのリアルとは関係なくマーケットの話でしたけれども、結構ここも重要ですよね。
大事ですね。
はい。モノを売る場合、これも僕が最初からそう思ってやっていたわけではないですけれども、あとから知って「そういうのがあるんだな」と思ったものに、マーケティングの4Pというものがあります。Product(製品)、Price(価格)、Promotion(販促)、Place(流通)ですね。ただ、僕の考えは普通の並びとは少し違っていて、トリニティでいうと、まずProduct(製品)が一番重要です。
次にPlace(流通)。Placeというのは場所のことですけれども、我々でいうと流通チャネルを含めた場所ですね。たとえば、ヨドバシカメラに我々の製品を置いて売ってもらうには、我々がヨドバシカメラに直接販売しているわけではないので、間に問屋などの流通が入ります。
中国の工場に生産委託してから、ヨドバシカメラの店頭に並ぶまでっていうと、このPlaceがすごく重要なので、Productの次がPlace、そしてPromotion(販促)です。このプロモーションといっても、いわゆる広告宣伝というよりは、我々でいうとお店での見せ方です。パッケージだけでは伝えきれない製品の特徴を、少し大きめのパネルを作ってお客さんに分かってもらうとか。
場合によってはサンプルがあって、ケースをはめてみたり、ガラスの違いを触って確かめられたり、そういったものも含めてプロモーションです。そして、最後にPrice(価格)かなと思っています。
Priceが最後というのは、すごいですね。
そうですね。これが、我々がまずエレコムを目指して、エレコムに勝つということを考えた時に、やはりPriceではエレコムのような超大手の方が絶対に強いんですよ。はい。やはり発注量も多いですし「今は利益がなくてもいいからシェアを取れ」ということが大手はできますから。いったん利益なくてもいいから、安くして大量にばらまいて、他社が生きていけなくなってから価格を戻す、みたいなことができますよね。
ということは、このマーケティングの4Pを鵜呑みにするのではなく、自社が戦える強みの順番に並べ替えろ、というのが大事だということですか?
はい。僕は実際に勉強したわけではないですけど、よく言われるのは、やはりProduct、Price、Place、Promotionという順番だと思うんですよね。
やはり製品と値段を最初に決めて、それをどこで売って、どういうふうにプロモーションするか、というのが普通の流れだと思うんですけれども、まあProductが最初なのは間違いないんですけれども、お店でどう見せられるかが一番のポイントだったので、Productの次はPlace、それでPromotion、Priceという順番です。
価格勝負だけをするとエレコムには勝てないというのがあったので。もちろん、エレコムと比べて違いが出せていないのにすごく高い、というのはダメですけどね。競合の価格は見たうえで、「こういう違いがあるから、じゃあ200円高くても、こういうふうに伝えていければ売れるよね」ということで、Priceをおろそかにしているわけではないですが、Priceが先ではない、という理解です。
ここでオンラインの話を少し挟むと、トリニティは、これは結構勘違いされることが多いんですけれども、オンラインでの販売はすごく少ないです。
ほう、どれくらい?
ほぼやっていないと言ってもいいくらいで、最後の期でも、売上高に対して2%もいかない。それくらいの割合なんです。これも話すと長くなってしまいそうですが、どうしましょうか。まず、必ず言われるのが、「なんでオンライン販売をもっと伸ばさないんですか?」ということです。まず、「そもそもオンライン販売の比率はどれくらいですか?」と、よく話の中で聞かれるんですよね。
うん。
それで、今言ったみたいに「いや、もう数%ですね」と答えると、だいたいほとんどの人が「オンラインは伸びしろがありますね」「もっと売れますね」「成長できますね」と言います。もちろん、できないとは言いませんが、これからのトリニティは分かりませんが、僕がいた時の状態でいうと、オンラインで勝つのは相当難しいなと思っていました。リスクが高いのにリターンが少ない、と。
う〜ん。
なので、これからは分かりませんが、これまではそこまで力を入れていませんでした。やれるならやりたいという気持ちもあったので、小さくトライはしていたんですけど、逆にオンラインは、小さくトライするのが一番ダメなのかなという気もしていて。やめるわけではないですが、製品は買えるけれども、それほど真剣にプロモーションはしていないという状態で、割合は低い、と。
理由の一つは、販売店との関係です。要は、家電量販店とか、我々の主力でいうとドン・キホーテとか、あとは携帯キャリアショップ、ソフトバンクショップなどですね。そういったところが販売ルートの主流なんですけれども、そこの人たちと競合になるのも困るじゃないですか。
うん。確かに。
ヨドバシ・ドット・コムとか、ヤマダウェブコムとか、今はいろいろな家電量販店もオンラインをやっているじゃないですか。珍しいところでいうと、ドン・キホーテとか、あとはケーズデンキもほとんどやっていないかな。オンラインをやっていない、みたいなところもありますけど。
基本的にはオンラインでもやっている中で、じゃあ同じ製品を、その量販店のお客さんと同じ商品を、我々がオンラインで売った時に競合になって、たとえば、我々の方が売れてヨドバシ・ドット・コムが売れないとなれば、困るじゃないですか。
うん。
短期的には、直販の方が儲かる。これを聴いている人は分かると思いますけれども、直販なら儲かるんです。なので短期的には儲かるとは思いますが、我々は販売店としっかりやっていこうという方針があったので、ここと競合しないということが一つありました。
そうなると、絶対に値引きしない、というのがポイントですよね。たとえば、ヨドバシカメラで1,000円で売っているものを、我々が800円で売っていたら、ヨドバシカメラから怒られるというか、「自分たちより安く売るな」となってしまいますし。実際、後でも話しますが、やはり在庫のリスクを販売店は持ってくれていて、商品を買い取って在庫を抱えて販売してくれている。
そこを出し抜いて、メーカーが値段を下げて売るというのは違うな、という思いがあったので、我々は値引きしないで売らなければいけない、と。値引きしないで売るんだったら、「ヨドバシで買った方がいいじゃん」となるわけですよね。
う〜ん。
我々のスマートフォンアクセサリーしかない(トリニティの)オンラインストアで買うよりも、Amazonでもいいですけど、他のものもたくさんあって、アカウントを持っている会員も死ぬほどいるところで買った方がいいじゃないですか。だから、我々のオンラインストアの存在価値は、同じ製品を売る限りはないですよね。
たまに、「メーカーからしか買わない」という人もいるんですよね。安心感なのか、「メーカーから買いたいです」みたいな。でも、それはごく一部です。どうしますかね、これ。オンラインで難しいところが、もう1つあるんですけど、話しますか?
そうですね。いや、たぶん「オンラインで直販の方が儲かる」という幻想を抱いている人は多いと思うんですよ。
はい。では、一応話しておきますかね。まず、やはり流通というのは、当然他の人に売ってもらうわけです。先ほどの例でいうと、ヨドバシカメラのような家電量販店で売ってもらうには、その人たちの利益なしでは売るわけにいかないので、利益を確保してもらわないといけません。
同じものを売る場合でいうと、いわゆる卸価格という形で、定価1,000円のものをヨドバシカメラに1,000円で売っているわけではなくて、ヨドバシカメラがちゃんと利益を確保できるような形で卸します。たとえば、売上の50%はヨドバシカメラの利益にするとなると、1,000円のものは500円で卸します。
さらに我々の手前には問屋などの流通もあるので、そこにも利益が必要で、もっと低い価格で出さなければいけません。一方、オンラインストアで直販で売ると1,000円で売れる。だから、利益率は高い。基本的にはこれがあるんですけれども、ただ、さっき言ったように、同じものを同じ価格で売るしかない場合、まず我々のところで買う理由がないですよね、という問題があります。
それに、同じ商品をいろいろなところで売る場合、結局ユーザーにとっては同じものなので、価格だけが勝負の決め手になるわけですよね。価格と、あとは使いやすさですね。Amazonで買えば明日届くとか、他のものと一緒に買えるとか、ポイントを貯めているとか、いろいろな利便性です。
なので、我々がオンラインストアで、販売店に迷惑をかけずに売上を伸ばすためには、独自製品を販売するしかないわけです。
ほぉ。
そして、この独自製品が結構難しいところなんです。要は、ヨドバシカメラでもビックカメラでもヤマダ電機でも売っていない製品を、我々が独自にオンラインストアで販売すれば、先ほどのような価格競争をして販売店に迷惑をかけることはなくなります。ただ、今度はAmazonや楽天でもいいんですけど、値段が安いものはいくらでもあるわけじゃないですか。
うん。
だから、安くするにも限度がある、というくらいの価格で売っているわけですよね。だいたい我々が2,000円で売っているようなものが、500円とか300円とか、そういうレベルで売られているわけです。これは構造として、中国の工場が直接出品したりしているので、我々のような輸入業者も、流通も、販売店もすっ飛ばして、直接販売しています。
すごく構造がシンプルなだけに値段を安くできる。じゃあ、そこと戦えるのかというと、値段だけでは勝てません。そうなると、値段以外のところで勝負するしかないんですけれども、ここで最大の難しいポイントが出てきます。トリニティの強みの、逆パターンになるんですけれども、「在庫リスク問題」というのが出てきます。
これはもう物販の宿命ですけれども、売れるためには、モノがいいだけじゃなくて、在庫がないといけないんです。
うん。
Amazonですごくいい製品を、いい価格で出品したとします。それでお客さんが「いいね」と買ってくれると、やはりAmazonだと、最近は本当に経験がないので分かりませんが、昔ちょっとやっていた頃は、1日で4,000〜5,000本と普通に売れるんですよ。1個の製品が。
へぇ。
そうなると、どれくらい売れるかの予測がまったく立たない。出してみなければ分からないわけじゃないですか。なのに、4,000〜5,000本の在庫がなければ、その売上は立たないわけですよ。じゃあ、4,000〜5,000本売れると思って作ったのに、10本しか売れないなんてことはザラにあります。
なので在庫リスクがすごく高い。何度か小さなチャレンジはしましたけれども、ほとんどの場合うまくいきませんでした。では、どうやって今までやってきたのかというと、最近の事例では、やはり先行予約とか、受注数を決めてから生産する、みたいな形ではやっていました。ただ、これだとやはり、よっぽどでない限り、売上の規模として影響を出せるほどの金額にはなりません。
20人くらいでやってきた中でいうと、ここにたくさんのリスクがあって、売上の規模もそれほど取れないのに、商品開発もしなければいけない。その中でやるのは結構難しいというところもあって、トリニティとして、すごくリソースと計画を割いてオンライン販売を、たとえば売上が60億円、65億円ある中で、その10%くらいはオンラインで取ろう、となると6億円とか7億円になるわけです。
この6億円とか7億円というのをオンラインだけでやっていく計画には、とてもじゃないけどできませんでしたね。
なるほど。すみません。Hossyさんお話の途中、ほんと申し訳ないんですけども、在庫リスクのことをこれだけ長く話す人って結構珍しいと思うんですよ。
そうですね。
ただ逆に言うと、そこがトリニティの強みでもあるんだなっていうのを少しずつ私も理解してきているんですけども。
はい。
お時間が来たので、話の続きは来週お願いしてもよろしかったでしょうか?
はい。
ではその続きはまた来週お願いします。お願いします。
お願いします。
「リアル経営|企業経営の成功と失敗。等身大で語る台本なき社長のリアル。」
概要欄にこの番組のWebサイトへのリンクを張っております。 感想、メッセージ、リクエストなどそちらからいただければ嬉しいです。
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ここまでのお相手は、Hossyこと星川哲視と
がじろうでした。
それではまた来週お耳にかかりましょう。
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