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トリニティ卒業から1年。変わったことと変わらなかったこと。

2026年5月1日。世の中的にはメーデーだったり、ゴールデンウィークの真っ最中だったりと、いろいろな側面がある日だと思います。ただ、私にとってはかなり大きな、重要な節目になる日です。

2006年5月1日。20年前のこの日、トリニティ株式会社をたった3人で創業しました。そこから約20年間、走り続けてきました。

2025年5月1日。昨年のこの日、その会社を卒業し、株式も売却して、ひとつの区切りを付けました。

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はじめの一歩、ふたたび | Blogs | Hossy.orgHossy.orgは、トリニティ卒業後にHossyがブログとPodcastで経験を発信するお知らせ。[AI概要]

このように、5月1日は私にとってかなり思い入れの深い日付です。去年の5月1日から今日まで、ちょうど1年。今回は、それまでの20年間と比べて、この1年で「変わったこと」と「変わらないこと」について書いていきます。

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「経営者脳」が止まった日

変わったことは、いくつもあります。ただ、最も大きかったのは、頭の中の変化でした。

トリニティを経営していた20年間、私は文字通り365日24時間、会社のことを考えていました。寝ている時は記憶がないのでアレですが、起きている間はほぼすべての時間をトリニティに注いでいたと思います。朝起きた瞬間から、今日やるべきこと、今月の数字、来期の戦略、採用、製品開発、取引先との関係。頭の中には常にトリニティ用のタスクリストが走っていて、それが止まることはありませんでした。

それが、卒業した日を境にぴたりと止まりました。

最初の数日は、正直なところ、何とも言えない空白感がありました。解放感と言えば聞こえはいいのですが、20年間ずっと回り続けていたエンジンが急に切れた感覚に近いかもしれません。朝起きても、トリニティのことを考える必要がない。考えてはいけないわけではないけれど、考えたところで自分にはもう何もできない。その「何もできない」という事実が、最初はどこか落ち着かないものでした。

ただ、さらに数日経つと、その空白には別のものが入り込んできます。新しいアイデア、気になっていたこと、会いたかった人、試してみたかったこと。エンジンが止まったのではなく、燃料が入れ替わっただけだったのかもしれません。

すべての権利を手放すということ

トリニティを離れるにあたって、私は口出しできないように、権利も何もない形で事業を譲渡しました。株式も売却し、経営に関与する立場を完全に手放しています。

これは意図的な選択でした。中途半端に残ると、後継で経営をしてくれている人たちがやりにくくなる。元の経営者が株主として残っていたり、顧問という肩書きで近くにいたりすると、どうしても「前の社長がこう言っている」という力学が働いてしまいます。それは、引き継いだ側にとっても、会社の成長にとってもマイナスだと考えていたので、キッパリと手を引きました。

だから、この1年間、トリニティを引き継いでくれた経営陣に、そのやり方について「ああした方がいい、こうした方がいい」といったことは一切言わずに過ごしてきました。SNSでトリニティの新製品情報を見かけることもありますし、周りから最近のトリニティについての話を聞くことはあります。そのたびに、少しだけ複雑な気持ちにはなります。ただ、それは「口を出したい」というのとは違います。自分が育てたものが、自分の手を離れて歩いていく姿を見ている感覚に近い。子離れという表現が正しいかはわかりませんが、そういう類の感情です。

ご存じの方も多いと思いますが、トリニティは私がいなくなってもちゃんと右肩上がりで成長を続けています。むしろ成長が加速しているかもしれません。ほんの少しの寂しさと、大きな誇りを持って見守っています。

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Podcast「リアル経営」Episode 4「卒業のリアル」は株式譲渡がテーマ | Blogs | Hossy.orgPodcast「リアル経営」はEpisode 4で、株式譲渡や事業承継の経緯を語る解説記事。[AI概要]

決める側から支える側へ

さて、トリニティへの関与がゼロになった上で、当初やろうと思っていたのは、もっと自由な時間の使い方でした。たとえば音楽をやったり、小説を読んだり。もともと小説は本当に好きだったのですが、会社を始めてからは仕事上で必要な技術書や専門書を読む以外、なかなか時間が取れなくなっていました。

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自由人になって、これからやってみたいこととは | Blogs | Hossy.orgトリニティの区切り後の残務整理とエウレカスタジオでの活動再配分、趣味再開方針と今後の展望を示す記事。[AI概要]

ところが、実際にはこの1年間でのんびりと過ごす時間はほとんど発生しませんでした。

今は、知り合いの会社の経営サポートをしたり、新しいプロジェクトの立ち上げをいくつか並行して進めています。結局のところ、何もしないで趣味に没頭するような日々は訪れなかったのです。

経営サポートは、近いうちにしっかりと紹介しますが、長年の付き合いの人の会社がピンチだということで経営全般や営業周りを手伝っています。当然社長は別にいて、最終的な意思決定をする人も別にいます。私はあくまでサポートという立場です。

これが、想像以上に難しい。

20年間、自分が最終決定者でした。「これでいく」と決めたら、あとは全力で走るだけ。判断が間違っていたとしても、それは自分の責任であり、自分で軌道修正できます。ところがサポーターという立場では、最終判断は他の人に委ねることになります。自分なら違う選択をするかもしれない場面でも、口を出しすぎれば相手の判断力を奪ってしまうし、自分が最終的に責任を負える立場でもないのです。かといって黙っているだけでは、サポートの意味がないので、厳しいことも言わなければいけないわけです。

この距離感を測るのが、正直に言えばいちばん苦労している部分です。前述のようなもどかしさは確実にあります。ただ同時に、今までに関わったことがない領域に足を踏み入れているという新鮮さもあります。経営者として約20年間やってきたことが、別の形で活きる場面がある。それは、自分が思っていた以上に面白い発見でした。

以前、誰かの何かの役に立つということは続けたいという記事を書いたことがありますが、まさにそれを実践できたのはいい機会だったと思います。

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変わらなかった原点

ここから変わらないことの話をします。

結局のところ、何かしら新しいことをやろうという気概は、以前とまったく変わっていませんでした。この1年で最も強く再認識させられたのは、この衝動が自分の原点にあるということです。

これはトリニティの頃からずっと変わっていなかったのです。その頃から、自分が欲しいものがなければ、自分で作ろうと考えてきました。スマートフォンを使っていて「こういうケースやアクセサリーが欲しい」と思えば自分たちで作る。それこそスマートフォン自体についても「iPhoneではなくこういうものがいい」と考えてNuAns NEOというスマートフォンまで作ったことがあります。そういうことを続けてきた20年間でした。

トリニティから離れた今の新しい活動においても、根底にあるのは同じです。「自分が欲しいものや場所」だったり「本来こうあるべきだと思っているもの」が、実際にはそうなっていない。その不遇を壊していきたい。自分の理想通りのもの、自分が理想とする場所を含めて、形にしていこうという姿勢は、根本的に変わっていません。

変わったことの話で触れた新しいプロジェクトについて、今年お披露目できるものと、来年あたりにお披露目するものがあります。まだ公に書けることは限られていますが、どちらも「本来こうあるべきなのに、そうなっていない」という現状に対する挑戦です。詳しくは形になったときにあらためて書きますが、変わったようで変わってなかったということです。

プロジェクトがオープンになったとき、私のことを知る人たちはやっぱり変わってなかったということを感じてくれることでしょう。お楽しみに。

「今しかできないこと」を選んだ1年

振り返ると、この1年は今までとはまったく違う1年でした。ただ、それが嫌だったかと言えば、そうではありません。

事前にやろうと言っていたことの多くは、まだやっていません。逆に、当時は想像もしていなかったことを今やっています。本を読んだり、映画を観たり、旅行に出かけたりといったことは、もう少し先でもできると判断しました。それよりも「今しかできないこと」に全力で取り組もうと決めたからです。社会人になった時に会社にいた50歳の「部長」は、いわゆる恰幅のいい貫禄たっぷりのザ・おじさんでしたが、そこにたどり着いた自分はまだそうはなっていないと信じています。これからもう少し、エンジンにガタが来てうまく動かなくなってきてから、のんびりとやれることをやろうと思っています。

結果として、のんびりするだけの引退生活は選ばなかった。というよりも、選べなかったのだと思います。目の前に「これを作りたい」「これを変えたい」と思えるものが現れてしまったら、手を出さずにはいられない。それが自分という人間の本質なのではないかと、改めて認識しました。

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2026年の始まりに。転機を越えて、新たな一歩へ。 | Blogs | Hossy.orgHossy.orgがトリニティ卒業や2025年の出来事、年賀状終了を語る振り返り詳細記事。[AI概要]

“The only way to do great work is to love what you do. If you haven’t found it yet, keep looking. Don’t settle.”
— Steve Jobs
「偉大な仕事をする唯一の方法は、自分のやっていることを愛することだ。まだ見つけていないなら、探し続けろ。妥協するな」
— スティーブ・ジョブズ

20年間の経営から解き放たれて1年。変わったことは少なくありません。頭の中のエンジンの燃料が入れ替わり、立場が変わり、日々の時間の使い方も変わりました。ただ、変わらないものの方が、自分にとっては大きかったように思います。

何かを作りたい、不遇を壊したい、理想を形にしたい。その衝動だけは、20年前に3人で会社を作ったあの日から、まったく変わっていません。次の1年がどうなるかはわかりません。ただ、「今しかできないこと」を全力でやるという方針だけは、これからも変わることはないでしょう。

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Hossy.orgは、星川哲視(Hossy)のこれまでの起業・経営・卒業など、さまざまな経験からの情報をブログ記事やPodcastなどさまざまな活動を通じてアウトプットするサイトです。

星川哲視

星川哲視

デジタルライフプロダクトを取り扱うトリニティ株式会社を起業、約20年経営の後「卒業」。

スマートフォン向けカジュアルゲーム企画・開発会社エウレカスタジオ株式会社代表取締役、投資会社コスモスタジオ代表取締役を兼任。

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