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星川哲視(Hossy)の個人サイト Hossy.org は、これまでの起業・経営・卒業など、さまざまな経験からの情報をブログ記事やPodcastなどさまざまな活動を通じてアウトプットするサイトです。

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WWDC 2025に見るAppleの挑戦への期待と懸念

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WWDCをリアルタイム視聴しなくなったわけ

Appleの年次開発者会議であるWWDC(Worldwide Developers Conference)。かつて私は深夜でも視聴するほど熱心でした。それが今年(2025年)は深夜に行なわれたキーノートのライブ配信をリアルタイムでは見ませんでした。

Apple Developer
基調講演 - WWDC25 - ビデオ - Apple Developer Appleの最新のソフトウェアとテクノロジーに関するエキサイティングな発表をお見逃しなく。

これは、Appleの発表内容の性質が変化したことと、私自身の心境が移り変わったことが理由です。開発者向けイベントでハードウェアのサプライズも少ないWWDCは、あえてリアルタイムで見る必要性が薄れていました。また、私自身がiPhoneアクセサリーを開発する立場でなくなったことも理由の一つです。

朝起きてから、Apple TVで視聴しました。

年齢を重ねてきた今、真夜中にキーノートを視聴すると高揚して眠れず、いいことも悪いこともアウトプットしたくなります。結果、その日1日が睡眠不足で台無しになる――それだけは避けたい気持ちもありました。

これはおそらく、今後のiPhoneの発表においても同じになるでしょう。とはいえ、Appleに興味がなくなったわけではないので、朝起きてからキーノートは確認しました。その上で、少し遅れましたが簡単な感想など記しておきたいと思います。

OSナンバリング「26」統一の狙いと懸念

今年のWWDCでまず驚いたのは、Appleの各OSのバージョン番号が一斉に「26」に揃えられたことです。

WWDC 2025 — 6 月 9 日 | Apple – YouTubeより

iPhone向けは「iOS 26」、iPadは「iPadOS 26」、Apple Watchは「watchOS 26」、Apple TVも「tvOS 26」、さらにはApple Vision Proの「visionOS 26」まで、番号が一気に年次ベースに統一されました。もっとも、どれかのOSだけ旧来のバージョン番号を継承するのは不自然なので、これは自然な流れでしょう。ただしmacOSだけは例外で、新バージョンは従来どおり「macOS Tahoe 26」となり、地名シリーズは継承されました。ここはmacOSチームの強い主張があったのかもしれません。しかし、おそらくは今後「macOS 26」と呼ばれるようになり、地名シリーズは廃れていくと見ています。

過去にもソフトウェアの名称を年号化する例はあり、例えばWindowsが「95」「98」「2000」と年号を入れた時期がありました。Appleも今回、製品ごとバラバラだった数字を揃えることでブランドの一体感を演出したのでしょう。深読みするならば、今年は刷新感が欲しかったのかもしれません。すべてのOSに共通する番号という分かりやすさは一般ユーザーにも響きますし、デバイス間の統合を強調する狙いが見えます。

WWDC 2025 — 6 月 9 日 | Apple – YouTubeより

本当は今年2025年にリリースされるOS群なので「OS 25シリーズ」となるべきところが「OS 26シリーズ」となっているところが、名称に年次を入れることの最大の難しさです。基本的に6月に発表して9月にリリースされる(場合によってはハードに合わせて9月と10月に分かれる可能性もあります)OSなので、割とすぐに2026年になり、そのOSの大半が2026年になるからという意味で「OS 26シリーズ」になったのでしょう。「OS 25シリーズ」だと、2026年には1年前のものという古い印象になってしまうのを避けたかったのだと思います。

ただ、「2025年リリースのOS 26」という表記は分かりにくくなることは否めません。また、毎年必ず更新をしないとWindowsのように数年前の年次OS番号を引きずってしまうという悲しいことになりかねません。

Apple、楽しくて優雅な新しいソフトウェアデザインを発表 – Apple (日本)より

Appleは過去に「新しいiPad(The New iPad)」という名前のiPadを出したことがあります。本来は第3世代iPadだったのを、そのようなナンバリングを嫌ってつけたのがこの名前でした。しかし、当然ながら次に出たiPadは「新しいiPadよりも新しいiPad」になってしまうので無理があり、すぐに世代表記に戻りました。今はプロセッサー名になったことで、さらに分かりにくくなっている状態です。

このようにAppleは時に名称については迷走することがありますので、今後どうなっていくのかはまだわかりませんね。

「Liquid Glass」は挑戦的なデザイン

Appleが発表した新デザイン「Liquid Glass」によりアイコンやウィジェットがガラスのように光沢を帯び、背景に溶け込む透明感を実現しています。従来のフラットデザインから一転し、インターフェースに立体感とOS間の一体感を持たせた意欲的な挑戦です。個人的にはとても好きな方向のデザインではありつつも、この美しさは、視認性とのトレードオフという側面もあります。

OS – iOS 26 – Apple(日本)より

透明感は背景との一体感を演出してくれるものの、視認性やアクセシビリティへの懸念があります。背景画像や周囲の色によっては文字やアイコンのコントラストが低下し、「デザインが優先されて情報が読みにくいのではないか?」という不安が残ります。実際にベータ版ユーザーからは「背景が明るいと文字が消えて見える」といった指摘が早速出ていて、アップデートで改良も加えられているようです。

Apple、楽しくて優雅な新しいソフトウェアデザインを発表 – Apple (日本)より

すべてのアイコンを単一トーンで揃え、一見美しく見せるデザインも見られますが、実際にはアプリアイコンの見分けがつかなくなったり、ボタンの強調表現が乏しくなったりするため、ユーザビリティの低下につながるのではないかと懸念しています。

それでも、さすがにAppleなので、フィードバックも受けつつ改良していくことと期待しています。前回のフラットデザインも、少しずつ改良が重ねられ10年ほどかけて完成度を高めていったように、新しいLiquid Glassデザインも同様の道を辿るのかもしれません。

Appleほどの巨大企業で多くのユーザーを抱えているソフトウェアにおいて、デザインを刷新するというのはリスクでもあるので、私としてはこの挑戦を歓迎し、応援したいと思っています。

visionOSの継続進化に期待

昨年「One More Thing」として華々しく登場したAppleの空間コンピューティング向けOS「visionOS」は、その後も着実に開発が続けられていることに安心しました。徐々にトーンダウンしていつの間にか消滅するのではと危惧していました。しかし、ちゃんと大型アップデートが用意され、Liquid GlassデザインもvisionOSからインスピレーションを得たという話もあることから、今後も着実に進化していってほしいと願っています。

visionOS 26、Apple Vision Proにパワフルな新しい空間体験を導入 – Apple (日本)より

特に期待しているのは、複数ユーザーで映画鑑賞やゲームを共有できる“Shared Spatial Experiences”です。この機能が、Apple Vision Proの素晴らしい体験を誰かと共有したいというニーズを満たしてくれるといいなと思っています。

実際、Apple Vision Proがどれくらい売れているとか、こんなに素晴らしいといったことをAppleがあまり言わなくなったように感じます。これは、現時点でのハードウェアが高価すぎるということなのでしょう。それでもAppleがvisionOSを継続する意義は大きいと考えます。なぜなら、iPhoneという小さなデバイスを操作する時代はどこかで終わり、新しいユーザー体験をAppleが提示してくると考えているからです。そのキーになるのが、Apple Vision Proの「シリーズ」だと思っています。

後々を見据えた長期投資として、今はニッチでも将来のプラットフォームの種を蒔いていると感じています。Apple Vision Proの未来像(より軽量なメガネ型デバイスなど)を描きつつ、現行モデルの実用性を少しずつ高めて、次のハードウェアに活かしてもらいたいところです。Proと冠しているのだから、ノーマルモデルやAirなどというモデルも出てくることを期待しています。

進化するiPadOSとMacとのすみ分け

今回のWWDCではiPadOS 26が「史上最大のアップデート」とうたわれるほど多くの新機能を搭載しました。数あるOSの発表の中でも、刷新感が最も強かったのはiPadOSだと感じます。

OS – iPadOS 26 – Apple(日本)より

中でも注目はウィンドウ操作の刷新です。複数アプリを自由にリサイズでき、Macのようにタイトルバーや閉じるボタンが表示される新しいマルチタスク環境が導入されました。ついにiPadにも本格的なウィンドウシステムとメニューバーが搭載され、iPadのMac化がさらに進んだ格好です。

たしかにハードウェア性能も向上したiPadは、一部クリエイティブ作業ではMacに匹敵する生産性を発揮します。しかし私自身を振り返ると、iPadの主な用途は依然としてウェブ閲覧や動画・雑誌の視聴などビューアー的な使い方にとどまっています。Magic Keyboardを接続してメールやドキュメント制作も「できなくはない」のですが、より高度な作業をするとなると、結局はMacBook Proに手が伸びるのです。

iPadOSを本格的な仕事用途に使えない最大のボトルネックはアプリだと思っています。長年開発が続けられたmacOS用アプリと、圧倒的なユーザー数を誇るiOSと比べると、iPadOSはユーザー数が少なく、その多くがクリエイティブやビューアー用途に偏っています。それゆえに、アプリ開発会社が本腰を入れてiPadOS向けアプリを作り込んでいません。

OS – iPadOS 26 – Apple(日本)より

Appleですら、純正アプリの対応は遅れ気味です。iPadOSのリリースから5年経ってようやく計算機アプリが搭載され、6年目となる今回、ようやくプレビューアプリが紹介される、といった状態なのです。

この変化にどれくらいの会社が追随してくれるのか、そこが鍵になると思います。今後もiPadOSがMacに迫る機能強化を続けるのか、それともiPadならではの体験をキープしていくのか。ハードウェアの変化を含め、期待と不安が入り混じっています。

私個人としてほしいのは「iPadOSのタッチインターフェースに最適化されたmacOSが動作するiPad Pro」ですが、そうはならないのかもしれません。

なんだかんだ、軽く感想を書こうと思ってキーボードを叩き始めると、これくらい長くなってしまうのが私の欠点かもしれません。これを書くのに2時間くらいかかってしまったので、今後はもう少し軽く書きつつも日々の更新頻度を上げていきたいと思っています。

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星川哲視

星川哲視

デジタルライフプロダクトを取り扱うトリニティ株式会社を起業、約20年経営の後「卒業」。

スマートフォン向けカジュアルゲーム企画・開発会社エウレカスタジオ株式会社代表取締役、投資会社コスモスタジオ代表取締役を兼任。

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