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星川哲視(Hossy)の個人サイト Hossy.org は、これまでの起業・経営・卒業など、さまざまな経験からの情報をブログ記事やPodcastなどさまざまな活動を通じてアウトプットするサイトです。

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死ぬまでに使い切れないお金の行方

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ビル・ゲイツ氏の寄付に目が覚める

ビル・ゲイツ氏がまたとんでもない額を寄付をするという記事を読み、目が覚める思いがしました。ざっくり言って2,000億ドル。日本円にすると約29兆円(数字で書くと29,000,000,000,000円)です。0が12個もあるという恐ろしい金額すぎて、なかなか想像がつかないレベルだと思いますが、日本の国家予算が2025年度当初予算は約112兆円ですから、おおよそ1/4にあたります。

とはいえ、ただの金額自慢ではありません。彼が支援しているのは感染症対策や教育、女性の権利といった、世界を良くするための活動ばかり。何より「生きているうちにそこまでやるか」という覚悟に、心を動かされました。度を超えた成功者であり、超がつくほどの富豪の考えることは、我々には考えが及ばないということなのでしょう。

冷静に考えると、自分が稼いだお金を、誰かのためにここまで思い切って手放せる人は、世界にどれだけいるのでしょうか。彼の行動には、ただの「金持ちの美談」を超えた強いメッセージがあるように思いました。

スケールの違う人たちが他にも

ビル・ゲイツ氏以外にも、同じようなことをしている人たちは結構いるようです。たとえば最近引退を決めたウォーレン・バフェット氏。あの投資の神様が、自分の財産の99.5%を寄付にまわすと決めたのはつい先日のことです。しかもその寄付先の多くは、ゲイツ財団をはじめとする信頼ある団体。自分の信念に基づいて、将来世代のためにお金を移していく姿勢は、年齢を重ねた人間の理想像のひとつかもしれません。

そして、マッケンジー・スコット氏。アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏の元パートナーとして有名ですが、彼女自身がいまや寄付界のレジェンド。この数年で1,600以上の団体に、累計で172億ドル(約2兆5,000億円)を次々と寄付しているのです。**「使いどころが見つからないお金は、誰かに使ってもらう」**そんな気持ちになれるのは、どう考えても生きていくのに困らないという状況にあるからでしょう。

彼女の寄付には、支援先の選定や使途の指定がない「おまかせ形式」も多く、受け取った側が本当に必要な形で活用できるように設計されているそうです。お金は出すけれども、口も出すというのではないところも素晴らしいです。それにしても、巨額の寄付をしているのに資産が増えていくとか、考えられない世界です。

宗教と文化と、寄付という行為

なぜアメリカには、こういう寄付文化があるのか。税制の優遇があるのは事実ですし、遺産税の対策としての面もあります。でも、それだけでは説明がつかない気がします。

おそらく、宗教的な背景も大きいようです。「富める者は施すべし」といったキリスト教的な価値観や、社会的な評価として「寄付するのがカッコいい」という風土があるようで、文化そのものが「社会に返す」という流れを後押ししているのだと感じました。

カーネギーやロックフェラーのような人物が築いた「成功者は社会を育てるべし」という歴史が、そのまま現代にも息づいているのだと思います。寄付は善行であるだけでなく、「生き様」や「美学」にすらなっているのかもしれません。

『DIE WITH ZERO』という本を思い出した

そんなことを考えていたら、ビル・パーキンス氏の『DIE WITH ZERO』という本を思い出しました。「お金は死ぬまでに使い切るのが理想」というと、浪費のススメかと誤解されそうですが、そうではありません。

この本は「経験に投資しよう」と訴えています。健康、時間、お金。その3つをうまくバランスさせて、人生の各ステージでちゃんと価値ある使い方をしようという考え方です。

「後悔しない人生」は、きっと「貯金残高」ではなく「思い出残高」で決まるのだと思います。言い換えれば、お金を人生の燃料として、ちゃんと燃やし切るための設計書がこの本なのかもしれません。

実際問題としては、このDIE WITH ZEROは自分のお金を自分のために使う話なので、前述のような富豪の寄付行為とは異なるかもしれません。ただ、「今自分ができることを、今やる」ということは共通しているのではないでしょうか。

日本では、なぜ寄付が広がらないのか

そこで思ったのは、では日本はどうかというと、残念ながら大口寄付の話はあまり聞きません。理由はいろいろありそうです。

税制上のインセンティブが少ない、宗教的な背景が薄い、NPOへの信頼が足りない、さらには「良いことをしたら黙っておけ」みたいな文化もあるかもしれません。「目立つと叩かれる」的な空気が、寄付のような行動にもブレーキをかけているように感じます。過去にも孫正義氏が寄付をした時にも、なぜかネットで炎上していました。

ほとんどは「妬み」という感情だとは思いますが、その寄付行為が当たり前ではないからこそ感じてしまったことなのかもしれません。

前述の孫正義氏は本当にスケールが大きいのですが、それ以外ではアメリカの超富豪のように莫大な資産を持っている日本人は少ないというところもあるのかもしれません。会社経営者の役員報酬が欧米と比べて圧倒的に少ないので、派手に遊んで使えば使い切れるレベルなのかもしれません。

いずれにせよ、孫正義氏が炎上してしまったり、ご本人の気持ちを傷つけたような気配があったので、それに続きたいという人がいなくなってしまったとしても不思議ではありません。とても残念ですね。

「やらない善より、やる偽善」

それでも、私ができること

もちろん、私には数1,000億円の資産があるわけではありませんし、レベルが小さすぎる話かもしれませんが、それでも「どうせ使いきれないお金があるなら、誰かの役に立つことに使いたい」という気持ち自体は変わりません。

自ら創業した会社を「卒業」した際に、「一生お金のために働かなくてもよい規模の資産」としては手に入れました。そうした時に、ふと湧いて出たのが「誰かの何かのためになることをしたい」ということです。これは単に寄付することだけではありません。誰かの成長の助けになったり、困っていることに手を差し伸べることもあるかもしれません。何かが足りてない時に採算度外視で実行することも貢献のひとつかもしれません。

お金がすべてではないけれども、お金で解決できることもあるとは思います。直接的にお金の支出ではなくても、私の経験や時間を費やすことも何かのためになるかもしれません。

これからそういうことも考えて生きていきたいと思っています。

さすがにすべてを使い切るほどのマインドは小心者なのでまだ持てないですが、とりあえずは「DIE WITH LITTLE」くらいを目指していきたいと思っています(笑)

「生きているうちに、自分のお金の出口を決めておく」という考え方は、今の私にとってはとても重要なことなのではないかと、冒頭のビル・ゲイツ氏のニュースを見て感じました。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • こちらの記事に気づく前に送ってしまいましたが、パテントトロールや防衛的な特許問題を解決して、アイデアを有効活用出来ないかとアイデアサーバという仕組みを考えています
    公知のアイデアは特許にできないというので各国へおかれたアイデアサーバへ登録することで自由に使えて、紛争にならないよう解決出来ないかと考えました。
    人類には知恵しかないのに古い特許の仕組みではもうマッチしてないと思います
    いかがでしょうか?
    https://note.com/keep_robot/n/n8a4304fdd0dd

    • Toru Matsueさん、

      コメントありがとうございます。
      興味深い取り組みですね。実際に、死ぬ前に自分のアイディアを人に使われて、その人が成功したとしても自分に一切の対価を得られないという状態で、人は本当にアイディアを共有するのかどうかがポイントかもしれません。
      私の立場だと、もう誰かに返したいというフェーズなので、このような取り組みをしても良いかなと思いますが、世の中の大半はそうは思わないかもしれませんね。

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星川哲視

星川哲視

デジタルライフプロダクトを取り扱うトリニティ株式会社を起業、約20年経営の後「卒業」。

スマートフォン向けカジュアルゲーム企画・開発会社エウレカスタジオ株式会社代表取締役、投資会社コスモスタジオ代表取締役を兼任。

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